中国で指導者交替、日本で衆院総選挙・・なんて月は二度とないかもしれないので、聞いても誰もが「?」と思うかもしれないけど、以前から温めていた話を。
ただ、これからの話は前提となる例、自分がこういう案を思いつくにいたる経緯となった事例を読んでもらったほうがいいな・・・
(1)■「沈黙の艦隊」と誌上総選挙
ウィキペディアの「沈黙の艦隊」・・・には載っていないのだが(笑)、この連載中、記事にあるようにストーリー上で総選挙が行われ「やまと」に対する対応をめぐって生まれた政党が政権を争った。
こんな党首討論も実施されたね。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20100704/p7
と、同時に、雑誌とじこみはがきで一票を投じる「誌上総選挙」も行われたのだ。
当時の関連記事はみつからなかったけど、2003年に少年マガジンも政治漫画を連載していた関係で、同様の模擬選挙を実施したとか。
http://mimizun.com/log/2ch/newsplus/1067130931/
03/10/26 10:15 ID:???
11月9日投票の衆院選に合わせ、少年向け漫画誌「週刊少年マガジン」(講談社)が
誌上模擬選挙を行う。実際の選挙の争点や各政党の公約を事前に伝えたうえで、
どの政党を選ぶか、読者に郵送で投票してもらう。民主党の菅直人代表のインタビューも
掲載する予定で、漫画誌では異例の試み。担当者は「気軽な“投票所”を用意することで、
若い人たちにも選挙に関心を持ってもらいたい」と話している。同誌の発行部数は約300万部で、読者は10~20代の男性が中心。少年誌には珍しく、
政治をテーマにした漫画「クニミツの政(まつり)」を連載中だ。地方都市を舞台に、
市長選立候補者の私設秘書・武藤国光が数々の困難を乗り越えていく物語。作品上でも
選挙が近づく。単行本も15巻発売されている。この漫画を担当する20代の編集部員3人が、模擬選挙を企画した。22日の発売号では、
今回の衆院選を「10~20代のための選挙」と位置付けた特集第1弾を3ページにわたって
掲載し、「選挙いこうぜ」と呼びかけた。「年金」や「治安」「失業」について、主人公たちが
「若い世代に重大な影響を与えるテーマ」と解説している。
(2)■同じかわぐちかいじの「イーグル」
これは以前書評をかきました。直接的には今回の話は、この(2)と、次に紹介する(3)に一番関係している。
■オバマ死闘の末に勝利…の今こそかわぐちかいじ「イーグル」再読を
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20080606#p3
(3)■「”超女”が、中国を揺らす?」という、上村幸治の2005年の論考
これは知る人が少ない話だろうから、短縮編集して再掲載したい。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20051019/p5
元毎日新聞の中国支局長・上村幸治氏が現在は大学教授となり、「サンデー毎日」で隔週連載の「インサイド中国」を執筆・・・抗日戦争勝利60年だというのに「盧溝橋事件」記念日の前後は余り盛り上がらなかった。なんでかというと、今中国で大大大大ブームになっているのが、みんなの投票で候補者の中から一番を選び、そいつがアイドルとなるという番組らしい。その投票日に近かったから(笑)という説があるのだ。
いわば、中国のリアリティ・ショーですね。「超級女声」略して「超女」という番組。
さて、上村氏は、この人気に共産党が脅威を感じてるのではないか、という話も紹介する。なんでたかがオーディション番組が?
つまり、「投票で選ぶ楽しさ」を庶民が全大陸のスケールで味わえば、その目が当然「指導者選び」にも向かっていくのではないか・・・ということ。もちろんすぐに自由選挙が実現するわけもないのだが、例えば携帯を使って「指導者の人気投票」をどこかがお遊びでもやり始めたら・・・・・・・・・
(4)■福島香織氏らがリポートする、中国のネット上での「ゆるい反体制感覚」
これは、このあと提言する話の”基盤”になるものですね。
■中国のネット界が「2ちゃんねる」的文化を吸収し、体制に対し微妙な立ち位置を築いてることについて(予告編)。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20100224#p2
さて、過去の関連情報をお伝えしたところで提言。
ある意味中国の体制を揺るがそうという、「和平演変」の大陰謀。
・かわぐちかいじ「イーグル」なみの緻密さ、リアルさで、現代中国の政治劇漫画をスタートする。いっそかわぐち本人に描いてもらってもいい。
・ただし、その舞台は架空の「民主主義下の中国」。ここでの「中国大統領選挙」・・・あるいは多数の政党があらそう「中国全人代総選挙」でもいい。
・できるかぎり現状に即し、あるいは登場人物は実名でも、すぐにモデルが分かる人でもいい。彼らの主張、政策、個性、経歴に沿って・・・例えば習近平vs胡錦濤の大統領選、をシミュレートする。
・そしてネット上で「あなたは(架空の民主中国下の)習候補、胡候補どちらを支持しますか?」の投票をつのる(笑)。その結果にそって、架空世界の大統領当選者を決めてもいい。
厨二的に名づけて「チャイナ・イーグル作戦」。
いまの中国は、民族の赤い赤い太陽たるマオさんが支配していた時代とはやっぱり違うのだ。そして情報化社会、グローバル化した社会では、アメリカの大統領選挙も日本の総選挙もダイレクトにディテールまで伝わる。
それを見た中国の若者たちが、まさにひとつ上に小生が書いた記事http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121117/p5のように「おれたちの体制、政治の仕組みのほうがいいわ。おれは今の体制(個別の指導者とかじゃないよ)を支持するわ」となるだろうか?
気の毒なことに、やっぱりマルキシズムは啓蒙思想からの系譜の中で生まれたから、全人代なりなんなり、やはり民主主義の正統性には完全には挑戦しきれず、民主主義的な手続きの衣をまとわねばならない。しかし、それが偽物のブランドなら、本物に対して見劣りするのは道理・・・
ならば、おやぶたこぶたのチュチェ思想の国のように情報を完全遮断して「なにひとつうわやむもののない国」のファンタジーランド建設でもすればいいのだが、その一手ももはや打てない。
いや、本当に上の「チャイナ・イーグル」が実現したら、ネット上の「習候補vs胡候補」投票なんかは絶対に遮断されるだろう(笑)。
だけど、じわじわと架空の、幻想の、もうひとつの「民主中国」は現実の中国の中に浸透していく・・・農村を宣伝と土地分配策と軍事力で支配した八路軍のように(笑)
と、いうのが、中国にかんする、とある夢想でした。