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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「ダダ漏れグローバリズム」…非民主国家の”機密”を自由国家が「可視化」したら?

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130129-00000035-jij_afp-int

グーグルマップで北朝鮮地図が詳細に、強制収容所の場所も
AFP=時事 1月29日(火)19時28分配信
 
【AFP=時事】米グーグル(Google)が28日、北朝鮮の詳細な地図を公開した。ブログで同日、明らかにした。更新された地図には強制収容施設とラベル付けられた場所もある
・・・最新版地図は、一般ユーザーがグーグルマップ(Google Maps)やグーグルアース(Google Earth)に表示される地理情報を追加したり修正したりすることのできるサービス「マップメーカー(Map Maker)」のもとで、「市民地図製作者コミュニティー」が数年間にわたって協力し実現した・・・(略)・・・都市サイズの灰色の領域が複数確認できる。拡大表示すると、そこは強制収容所であると表示される

あんたんとこの会長、北朝鮮に行って接待されたんとちゃうか(笑)。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1301/21/news030.html

Googleエリック・シュミット会長は1月20日(現地時間)、7〜9日の訪朝について自身のGoogle+で語った。同氏は、米ニューメキシコ州の前知事である政治家、ビル・リチャードソン氏率いる代表団の一員として、19歳になる娘、ソフィーさんを伴って朝鮮民主主義人民共和国北朝鮮)を訪れた。 同氏は、今回の訪朝はあくまでプライベートなもので、インターネットの自由とオープン制について語るのが目的だったと説明する。
(略)
シュミット会長の訪朝に同行したソフィーさんはブログに、金日成総合大学や国会議事堂を訪れた際の写真を掲載し、印象をつづっている。

ところが、娘、
こら娘。
http://japanese.joins.com/article/120/167120.html

訪朝したグーグル会長の娘「北朝鮮は『トゥルーマンショー』みたい」
2013年01月22日14時48分


ソフィー・シュミットさんのグーグルサイト。 最近エリック・シュミット・グーグル会長(58)と一緒に北朝鮮を訪問したシュミット会長の娘のソフィーさん(19)が、北朝鮮を映画『トゥルーマンショー』に例えた。

ソフィーさんは20日、ブログに写真を載せ、北朝鮮入国過程、訪問日程、感想などを詳しく書いた。 北朝鮮を「非常に寒くて変な国」と表現したソフィーさんは「北朝鮮住民は自分が北朝鮮で生まれたことが幸せだと信じるように教育を受けたような感じ」とし「彼らは自分も知らずに国に捕まっている人質」と述べた。

また「哀れという以外の感情を感じることができなかった。最もよい表現をしても、これは国家的スケールの“トゥルーマンショー”のようだった」と説明した。

トルーマンショー』とは、30年間にわたりすべてのものが統制され、視聴者に露出されている生活を現実と信じて生きてきたある男性の話を扱った映画。

ソフィーさんは北朝鮮金日成(キム・イルソン)大学の電子図書館を訪問したことも“凄まじい”経験として記憶している。 ソフィーさんは「90人の男性がコンピューターの前に座っていたが、画面を操作したりマウスをクリックしたりする人はほとんどなく、ほとんどが画面を見つめていただけということ」と振り返った。

これに先立ちシュミット会長も前日、グーグルプラスにコメントを載せ、「世界インターネット網から自ら孤立するという北朝鮮の決定は、経済難の打開をさらに難しくするだろう」と指摘した。

いいたいこともいえないこんな世の中に
ずいぶんとポイズンな娘さんである。

もうひとつ、関連の話を紹介する。

北京などで大規模な大気汚染。一部は日本にも被害?

http://www.asahi.com/international/update/0130/TKY201301300457.html

 【北京=奥寺淳】中国で深刻な大気汚染が連日続き、市民生活にも大きな影響が出ている。北京では30日、有害物質を含んだ霧が街を覆い、日本人学校や欧米の国際学校は屋外での体育の授業を取りやめた。高速道路では約40台の衝突事故が起き、工場は操業を停止した。

 特に深刻なのは、北京市や河北省、山東省、天津市など。北京の米国大使館などの測定で、肺がんやぜんそくなどを引き起こす微小粒子状物質「PM2・5」の大気中濃度が29日には一時、世界保健機関(WHO)の環境基準の約20倍に達した。

 北京紙・新京報によると、汚染物質を含む霧に覆われたのは全国で約130万平方キロに・・・(略)

中国嫁日記」でもレポートが挙がっている。
http://blog.livedoor.jp/keumaya-china/archives/51518064.html

経済発展の引き起こす大きな問題であり、まずはお見舞い申し上げたい。しかし、今年「特に」ひどいのは何か理由があるのだろうか?風や天候のせい?

ところで、朝日新聞2013.1,30の社説にちょっと注目した一節があった。

 社説 中国大気汚染 改善は日中の利益だ(※会員のみ)
http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201301290617.html
環境に対する市民の意識は大きく変わりつつある。
中国政府はもともと、PM2・5の数値を明かしていなかった。ところが、北京の米大使館が独自に公表していた数値に市民の関心が高まり、政府も発表せざるを得なくなった

非民主体制に、民主体制の”可視化”は大きな武器(民主体制間でも)。だが発生する「摩擦」に耐えられる?

ふたつの記事、トピックを並べた意味はお分かりでしょう。
どちらも独裁体制がひたかくしにしていた情報を、あっさりと自由国家・あるいは自由国家内の民間企業がオーヤケのものにしてしまう。そして後者に関しては、その公開が独裁体制へのプレッシャーとなり、ついには根を上げる・・・
・・・こんなことが、起き得るのですよ。
面白いのは、どちらもその非民主体制の「ディープ・スロート」から極秘情報を得たり、重要機密のコンピューターにハッキングしたわけではない。
強制収容所のほうはまたちょっと機密情報的な部分もあるけど、基本「グーグル・アース」で大気圏外の上から覗かせていただければ、平壌の街並みも分かるし、巨大な不気味な建物もわかる。周辺の一般住民の口にだって戸を立てることもできない。彼らは少なくとも「そこにそれがある」ことは認識している。その情報を組み合わせれば造作もない。


米国・北京大使館の大気汚染状況はさらに典型的で、中国当局がどう隠蔽したって空気は大使館にも流れ込んでくる。治外法権のその地に計測機器を設置し、その数字をUPすれば国家機密もへちまもない話なのである(笑)

グーグル・ストリートビューや盗撮問題、監視カメラ問題のとき、当ブログは何度も「見る、撮るは実質的には『パワー』だが、物理的には相手に触れも殴りもしないから基本『他者危害』の原則に抵触しない。昔のCM風にいれば『見ーてーるだーけー』なので、そこに新しい問題がある」と書いてきました。
今回はそれがポジティブな方向に働いた、と評価していいでしょう。
はーかーってーるだーけー」とでもいうか。

また、
どんどん世論調査とか「民主化された中国で大統領選挙が行われた!あなたは誰に投票?」みたいな模擬投票をネットなどで仕掛け、意識変化を促すという過去の当ブログの記事(チャイナ・イーグル作戦)はここに繋がってきます。

■架空の「民主化された中国」を、バーチャル世界に建国できないかな・・・という空想について
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121117/p5


しかし!
これってやっぱり、中国に唯一対抗しえる地球のスーパーパワー、世界の自由主義諸国の盟主たるアメリカだから、・・・あるいは北朝鮮を1ダースほど買収できそうな(笑)超巨大企業グーグルだからこそできたんじゃないか?とも思う。

実際、シミュレーションです。
日本大使館」、あるいは「日本メディア」が、独自に中国当局が機密扱いにしている北京の大気汚染状況を計測、数字を出した・・・とする。
んで「それを発表するのは日中友好を損なう行為である!」「日中間に政治的緊張をもたらす!」と言われたら・・・・・・??(あちらの報道官のせりふか、わが国の「友好人士」のせりふかは任せる)
 
それでもなお、米国大使館のように発表できたか。
ひとつのIfとして。
 
【追記】中国はホントに、アメリカ大使館に「大気汚染を測って公表するのは内政干渉だ、中止せよ!!」と申し入れて、無視されたらしい。

http://d.hatena.ne.jp/maukiti/20130203/1359847266

うわっ、はずかしー。だが、日本大使館が同じことをできましたか?というIfは、まあ「できない」に賭けたほうがいいようだね(笑)


 

自由主義国家間でも「こっちの秘密をあっちがばらし、優位に立つ」という手段はある。

記事を引用はできないけど、よく言われるのが「米国のほうが外交文書の公開が進んでいるので、研究者はそれに頼って書かざるを得ない。すると、やはり公開の方向性には米国の意思も働くから、自然とそれに都合がいい論調になってしまう」
「同様の事例が、最近では韓国と日本の間でも生まれることがある。これもまだら模様だが、(過去の政権の糾弾の意味も込めて)韓国のほうが歴史文書公開が進んでいるものもある」
というはなし。