日本への「元寇」をモデルにしたゲームがPS4で作られ、話題を呼んでいる。元寇そのものについての話や、剣術や、時代考証や、「文化盗用」についてまで…
そんなテーマのどれもこのブログは以前から一枚かんでいるので、興味ある単語で検索してもらえればありがたし。
それはそれとして…今回のその話題で強く思ったのは「そもそもアメリカのゲーム会社に『モンゴルvsサムライをテーマにゲーム作ったら面白いんじゃね?』と思わせる基盤があったのは有難いことである」というものだった。
【PS4】Ghost of Tsushima (ゴースト オブ ツシマ)
- 発売日: 2020/07/17
- メディア: Video Game
こういうのを強く思ったのは、そもそも「ウィザードリー」だったんだけど、実はパロディ、おふざけ的な意味合いもあったらしいウィザードリー(当時は知らなかった)に、まずプレイヤーの属性的にそのまんまサムライやニンジャがあり(たしか戦士や盗賊の上位互換だったよね?)、また敵の怪物に「ドラゴン」とは別の、オリエンタルな「ロン(龍)」がいたりした。
なんでそうなったかといえば、近代的なメディアやエンタメの中心が西洋だった近代初頭、新渡戸稲造の「武士道」から嘉納治五郎の「講道館」まで、非西洋文明の中では比較的早く、あちら(西洋)のルールに入り込んで知名度を高めることができたこと、戦後に映画やテレビドラマが発展した時も、クロサワやザトーイチ、そしてサニー千葉が知名度を高めたことがあるだろう。
この時代には「眠れる超大国」である清、チャイナも相当なもので、チャーリー・チャンやフー・マンチューらが活劇で活躍したりもし、「東洋の神秘的なアレコレ」を中国人が体現していたので、そういうご都合主義的な魔術で解決したり犯罪を実行させたりするなよ!!との意味で「推理小説に中国人を出してはならない」とノックスが言ったりした。
このへんの時代、そういう情報に地域や国ごとの濃淡があるのは、ある種已むをえないことといえる。
中国人は拳法とかそういう部分で「漫画的に映える文化」あるから登場する確率多いんですよね。アメリカ人やフランス人も同様。
— もへもへ (@gerogeroR) 2020年7月2日
すごい残酷なこと言うと韓国は漫画というかエンタメ的に受けそうな「わかりやすいネタ」がない。 https://t.co/k3OUC8SFZH
ドイツ人なんて日本のエンタメでは「ナチ絡み」じゃないとなかなか出れなかったからなwwwwとくに70-80年代。
— もへもへ (@gerogeroR) 2020年7月2日
だが、それは「グローバリズム」のおかげで、相当に解消されてきている。
いまだにエンタメやメディアの中心が英語圏的なものであるのはやや残念ではあるが、ここでのギミック、設定…想像力に、非西欧圏のあれこれが加わっていくのは慶賀の至りだ。ブルース・リーやジェット・リーもそうだし、チュモンやチャングムや、例の「愛の不時着」もそうだろう。
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バーフバリなどの「ボリウッド」も、ムエタイなどのタイ文化も同様だ。中国の「西遊記」が堺正章や夏目雅子が演じて、日本で作られ、それがイタリアその他で大受けだった、なんて展開もある。
そんな中で、日本の大ヒットを受けて、「鬼滅の刃」もやっぱり世界でファンが増えている…その結果、角が生えてて人を食っちまう狂暴な「鬼(ONI)」が、…伝統的な解釈はともかく、世界のエンタメサブカルのガジェットのひとつになっていくのだろうな、と思う。最近はメディア・エンタメの中心も西洋以外に生まれているし(たとえば中国で人気を博せば、(元は中国思想でもあるが)「陰陽師」が世界的に知名度を上げるだろう)。
www.oricon.co.jp以前も気になっていたが「ノブナガ」って、世界的にはどれぐらい浸透してるのかなあ?なにしろ戦国サブカルには欠かせない人物だし、タイムスリップした現代人に会いまくる特殊技能を持っている(笑)
それが世界に広まっている可能性も大ありだ。
ちょいと興味があるのは、
外国人がありがたいことに、逆にjapanの「サムライ」「チャンバラ」「ニンジャ」を愛してくださるじゃないですか。でも、ノブナガ、ヒデヨシ、イエヤス、シンゲン、ケンシン・・・などのイメージや意味、あるいは「センゴクジダイ」をどの程度把握してくだすっているのか、とか、幕末の「ローシ」「シンセングミ」、あるいは「イシンレボリューション」をどう把握してるのか…そんな知名度やイメージが、なかなか計りづらい。こっちも測りづらいんだから、あっちも計測しがたいでしょう。
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日本だって、どんどんどんどん、こういうエンタメサブカルの想像力の中により多くのものを取り込んでいきたい。
三国志は80年代ぐらいから、日本のサブカルチャーに一段と浸透して、我が国のコンテンツだ!と簒奪できるぐらいに定着した。
実際、いまは中国の三国志イメージは大きくKOEIに左右されている、ということである。
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中東のサラディンの知名度などもここ数十年で上がってきたし、FGOは世界の英雄偉人を集めているはず。鬼(ONI)のような、宗教迷信伝承に関わるガジェットも、どんどん世界中から遍く伝わり、こちらからも広げていい。
初対面でかなり深めな依頼がくる、ちょっとヤバいなこの人は・・そっと離れます。フォローで応援、喜びを腕立てで表現します!リツイートで犬がニャンと鳴いてそんな自分に驚きます。いいねで子供の見る悪夢が放送中止になります。#アルリカ #黒魔術 #やばいよ #エッセイ #漫画 #危険 pic.twitter.com/gSNxeNTO2W
— 星野ルネ (@RENEhosino) 2018年7月5日
アメリカのゲーム会社が元寇をテーマにサムライのゲームを作った、は、ナショナリズム的に喜ぶのもいいが「負けてられん!わが国もこれまで以上に、世界中からエンタメサブカルのネタを吸収せねば!!」と考えるべきだと思うのです。