よく言われる「戦争のプロは兵站を語り、戦争の素人は戦略を語る」の出典がよく分からない。ブラッドレーが言ったとか、海兵隊のロバート・H・バロウ大将が言ったとか。時々「素人は戦術を、安楽椅子将軍は戦略を、戦争のプロは兵站を学ぶ」ということもあるが、結局出典は何なんだろう?
— 白土晴一 (@manetoke) March 24, 2020
こういう常套句が結構テキトーなのはよくあるねぇ。「戦争は戦争を養う」は「ワレンシュタイン」のセリフでシラーが書いたという記述をよく見るけど、 Bellum se ipsum aletという「ローマ建国史」の中での大カトーの言葉が元なんじゃないかと言われているし。
— 白土晴一 (@manetoke) March 24, 2020
「プロは人事と福利厚生と遺族年金を語る」を付けたそう!
— 白土晴一 (@manetoke) March 24, 2020
こういうことみたいですが……https://t.co/MLpYnJXNvq
— Satoshi Saitou (@sasaitou) March 24, 2020
日本人起源説!でも、Amateurs talk about tactics, but professionals study logistics.って言葉は、海外の文献でもよく眼にしますがねぇ?
— 白土晴一 (@manetoke) March 24, 2020
わたしとしては引用先の方が書かれている以上のことは何とも言えません。言葉として整理されているかどうかはともかく「前々から良く言われていた」ので(だから起源ではない)引用元も何もなくその言葉を使われたのではないでしょうか。
— Satoshi Saitou (@sasaitou) March 24, 2020
たぶんそんな感じだとは思います。1983年のアメリカ下院軍事委員会で、ある提督が「古いクリシェなんだが」と前置きして、「the amateturs like to talk about strategy and the professionals like to talk about logistics」と紹介している記録があったりしますので。
— 白土晴一 (@manetoke) March 24, 2020
面白い、出典探しでした。
以前から言うてること
・言葉の出典探しは、「みんなで」やった方が間違いなく効率がよく信憑性も高くなる。
・彗星探しが大勢の「コメットハンター」に拠っているようなもので、プロがアマに教えられてだらしない、とかは絶対ない
・むしろ「〜の出典はなんだろう?」という”問題設定力”が重要
・あと、造語者を自認する人は「この言葉つくったのはオレオレ、母ちゃん俺だよ」と俺オレアピールを積極的にしてください。異論が出た時はそれなりに対処。
・元ネタは、過去にAさんが語ってるだけど、すっきりとした、人々の口の端にのぼりやすいような「テーゼ」「ことわざ」「エッセンス」に抽出した人は別にいる、ということもよくある。小生もいくつかの言葉を、そういうふうに加工したことがあるのでよくわかる(笑)
そんな過去記事的なもの
m-dojo.hatenadiary.com
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白土晴一氏はアニメ「ドリフターズ」の考証を担当したことで有名。
kai-you.net
横田順彌氏の「弟子」と自他ともに認めた唯一?の人でもある。
togetter.com
あと、途中に出てくる知識も抜粋してメモしておこう
『「戦争は戦争を養う」は「ワレンシュタイン」のセリフでシラーが書いたという記述をよく見るけど、 Bellum se ipsum aletという「ローマ建国史」の中での大カトーの言葉が元なんじゃないかと言われている』
自分は「戦争『で』戦争を養う」というふうに覚えている(まあ翻訳の加減だろう)。ナポレオンの戦略がそれだった、とか聞いたな。
ワレンシュタインとは、傭兵から王に”なりそこねた”ものの、ある意味で歴史を変えた一代の風雲児。三十年戦争の時代(というか当事者)で、漫画「イサック」にも登場する。
コメント欄より
通りすがり2
Dアイゼンハワーの言葉で第二次世界大戦で決定的に重要な兵器は何ですかの問いに答えて。
「ダコタ(DC47)とジープと原爆」って答えた話がある。
これもルーツの一つじゃないだろうか。
id:gryphon
へえ、そんな言葉が。DC47って輸送機ですよね?
通りすがり2
自分が書いた事ながら、訂正というか異説というか「ジープ・バズーカ・DC47」って書いてある本もありました。
実際のところ「兵站」って物を移動する軍隊にタイムリーに必要なものを届けるって定義するなら、第二次世界大戦のアメリカだけが実行しえた(他の国は失敗した)ので、時系列的に言うと第二次大戦後の言葉じゃないだろうかとは思います。
通りすがり2
兵站という言葉自体は当然戦前からありました。アルフレッドハマンの海軍戦略を訳した尾崎海軍中佐が作ったらしいです。
また第一次大戦期の米海兵隊のソープ中佐は「戦争を演劇に例えると、戦略は脚本、戦術は役者の演劇、ロジテクスは舞台管理、舞台装置、舞台の維持」と定義したそうです