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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「馬という生物がいなかったら、我々の歴史はまだ古代だった」

ユリアン、馬という生物が地球にいなかったら、この宇宙歴799年は、まだ古代だったろうね」。銀河英雄伝説「旅情編」より)

…すいません、なんて言葉は当然ヤン・ウェンリー閣下は語っていないが、あるところでこの名言を読み、いかにも言いそうなアレだったので偽名言に仕立て上げました(笑)。
「ヤンの偽名言」に関する経緯は
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20111213/p3
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120330/p5
をご参照ください。

そんで元ネタですけど

 
トグリル・ベク セルジューク朝築いた兄弟愛 東大名誉教授・本村凌二
2013.9.12 07:29 (1/4ページ)

http://sankei.jp.msn.com/life/news/130912/art13091207320001-n1.htm

 馬がいなかったら21世紀はまだ古代だった。かつて自分の口から出た言葉だから、名言とも迷言ともいえる。人類は馬を飼い慣らし、車を引かせ、さらには騎乗するようになった。人、物、情報の移動が速くなり、しかも遠くにいたる。だから、馬は速度と馬力の観念を育んだ人類の友だった。それが世界史の歩みをどれほど進めたことだろうか。

 中央アジアに住むテュルク(トルコ)系諸民族には「馬はテュルク人の翼である」と言い伝えられている。11世紀半ば、これらの騎馬遊牧民の勢力が…

産経新聞のこの「世界史の遺風」は教科書に載るか載らないか微妙な、しかもヨーロッパや中国中心でないいろんな地域の英雄名君を紹介し、実に面白い。この企画の前の先行企画は、例の「歴史家のふりをした講談師(褒め言葉)」山内昌之の「幕末に学ぶ現代」(タイトルうろ覚え)で、こちらも実によかった。トーダイレッケン(東大の歴史研究者)は、どうもなんか一筋縄ではいかない。
本村先生も、自分で警句を作って自分で広めてドヤ顔っていうところが、愛嬌があっていいよな(笑)。

だけどホントーにこの言葉は名言で…一度書いたこともあったけど、人を乗せて、ぽこぽこ歩いたりドカドカ走ったり、重い荷物を運んだりするこんな動物が、偶然、地球にいました。しかも家畜として繁殖させることができる動物でした…、って、ラノベやSF的にも実にご都合主義すぎる展開だ。
昔のこち亀でご都合主義のパロディとして、逃亡する犯人が
「おや、こんなところになにげなくフェラーリのキイが…」
「見てください、さりげなく車が!」
というのがあったけど、人類史的にはこれぐらいご都合主義だと思うぞ。

あ、昔書いた記事はこれか。

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110814/p7
うまっていう、人や荷物を載せて長時間移動できる動物がこの地球に存在し、しかも家畜化が可能だったってのがいまさらながら「できの悪いラノベみてーな(※偏見です)、ご都合主義的な展開だなおい!」と思ったりする。
でも「じゃじゃ馬グルーミンUP!」や「銀の匙」で、乗馬の大変さをあれこれ追体験すると、今度は「これだけ長い時間をかけて品種改良したのに、まだ馬の馬たる弱点って克服できてないの?」と思ったりもする。


もし、馬が世界にいなかったらどうなっていたかな。
ラクダが主流の家畜、運搬手段となり、ラクダの産地が世界に覇を唱えていたかもしれない。ぶたを必死で品種改良し、人を乗せて歩けるぶたや、四頭立ての豚車が生まれていたかもしれない。
インカ帝国が生き残り、今頃王朝XXXXX周年を祝っていたかもしれない。、


「もし馬がいなかったら」の世界のSF的想像は、いろんなことを感じさせてくれる。

その「銀の匙」にコサックの末裔登場


コサックか…その節は、秋山好古がおせわになりました、というべきでしょうか(笑)。
ロシアの酷薄な農奴制に耐えかねて、その苛政より荒原のリスクを選んだ逃亡農奴たち。
それなのにかそれゆえにか、皇帝こそを救世主とする幻想を強くもち、絶対の忠誠を尽くす勇猛果敢な「ロシアの新撰組
前人未到ウラル山脈を越えて、ロシア帝国の版図を東方に拡大していく前衛。


いろいろ、「コサック」という言葉ひとつで連想がひろがるもんだね。
この、主人公八軒の義理の姉となったロシア娘にも言葉を送りたい。
「ひとりひとりは小さいけれど ひとつになれば ごらん無敵だ。」

やっぱり人間、こういうしょうもないサブカルチャーで異民族や異文化のイメージは固定してしまう(笑)。かっこいいイメージをつけるドラマを、補助金つけて輸出する「韓流」政策はやっぱり正しいと思う(笑)。