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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

「ドキュメンタリー映画で、そこに登場する人物の承諾」は必要か〜村西とおる映画と「靖国」と

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 「アダルトビデオ(AV)の帝王」と呼ばれた村西とおる監督による1990年代のビデオ撮影を追ったドキュメンタリー映画(昨年11月公開)で、登場する女性の一人が承諾なしに過去のヘアヌード映像を使われたとして、配給元に抗議した。製作側は女性が映った場面を削除し公開したが、こうした映像の使い回しに疑問を投げかける専門家もいる。

(略)
 配給元に抗議した東京都の40代女性は2019年夏、ある映画館の上映作品をネットで調べていて、公開予定になっていたこの映画の存在を知った。

 映画の一場面とみられる画像では、裸の女性たちが水につかっていた。モザイクや目隠しの線といった画像処理はされていなかった。かつてこの場面が撮られた北海道ロケに自身が参加し、ヘアヌードビデオに出たことを思い出した。20年以上前の映像だったが、「近しい人には分かってしまう」と弁護士に相談した。

 弁護士は東映ビデオに対し、女性は映画への出演を承諾していないとして、「重大な肖像権侵害になる」と指摘。ロケに参加した別の女性も含め、映画を公開するにあたっての同意の有無を問い合わせた。
(略)
東映ビデオは昨年12月の朝日新聞の取材申し入れに対し、「日本映画配給機構と協議の上、お断りさせていただく」と回答した。

 こうした過去の映像の使い回しについて、著作権に詳しい小倉秀夫弁護士は「一般的に公開を望まないであろう裸の映像を本人の同意なく使用すれば、人格権の侵害となる」と指摘。撮影当時はアダルト向けのセルビデオとしての流通だけが想定されていた場合、一般の映画館で上映されるような作品への使い回しは元々の視聴者層を大きく超えるもので、「裸の映像や画像を使い回してよいというまでは、(当時の)同意や承諾の効果は及ばないだろう」と話す。

そういう話で思い出す事

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再度発掘。

考えれば分かるように「了承してないのに勝手に撮られた+それをドキュメンタリー映画として勝手に公開された」ということの民事責任を問う裁判は、これはイデオロギーを超えて
ザ・コーヴ」にしろ
森達也「A」にしろ
カウボーイズ・イン・パラダイス」(参考http://hazama.iza.ne.jp/blog/entry/1579660/ )にしろ
在特会が、自分たちの活動(への抗議対象者の反応)を撮影してYOUTUBEにアップロードするにしろ、


・・・すべてに大きく関わってくる問題なんじゃないすか。

映画「靖国」上映中止をめぐる大議論 (TSUKURU BOOKS)

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これ、コメントを森達也氏に求めるのが一番いいんじゃないすか?

被写体の了解があるかないかも、どうだっていいんです。踏みにじらないとドキュメンタリーなんて作れない。それによって人を加害します。その責任なんてきっと取れない。映像メディアはそれほどに強烈な加害装置です。その覚悟をしなくてはならない。(略)
 
僕ら製作者が覚悟すべきは、責任を取れない覚悟です。明らかに規範を超えています。それほどに悪辣で乱暴なことをしても、伝えたいからです。伝える価値があると信じている。ギリギリでやっているんです。そこに手を突っ込まないでもらいたい。

ラーメンを食べる前に「こんなまずいラーメン作りやがって」と怒っても仕方ない。まずは食べるべきです…(略)観る前に抗議するべきではないとはぼくは思わない。自分も観たくないし人にも見てほしくないと意思表明する権利はあります。それに対しては「観てから言え」と反論すればいいだけの話です(53P)

責任を取るなどと気軽に言うべきじゃない。責任なんて取れない…僕ら製作者が覚悟すべきは、責任を取れない覚悟です(61P)

ちなみに「ゆきゆきて神軍」は、”出演者”に「断ると奥崎氏の暴力が怖い」と思わせて成立したという

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ゆきゆきて、神軍 [DVD]

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ただ「裸の映像」ということ一本で、例外化できるか?

イルカ漁をしているところや、南の島で現地人の『ボーイ』にナンパされているところ、かつての軍隊の同僚に暴力を振るわれるところ…などと比較してどうか。何十年か前のAVは、少なくとも当時は、確実に同意している(詐欺的手法でなければ、だが、それならそこを普通に問題に出来るだろう)から、止めさせるハードルはむしろ高いと言えるかも。それこそ新聞の過去記事、過去写真も関係してくる話だしね…

追記

id:sadamasato さんのブクマご意見を材に再論。

「ドキュメンタリー映画で、そこに登場する人物の承諾」は必要か〜村西とおる映画と「靖国」と - INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

本当にこの人は、物事の区別がつけられずに、ただ「ダブスタだ〜!リベラルは卑怯だ〜!」と喚くことしかできないね。ドキュメンタリーの撮影と、ポルノ映像の同意なき二次使用と、区別できないほど認知が歪んでる。

2020/01/13 21:51
b.hatena.ne.jp
まず枝葉で言えばリベラル云々って、最初から「在特会youtube映像」すらこの問題は関係している、と言っているのですけれどね(2011年の段階でな!安田浩一「ネットと愛国」2012年)。
そして、今回も外形的には『ドキュメンタリー映画(昨年11月公開)』の話ですね。ドキュメンタリーでは、自ら撮影した映像に加えて、過去の関係者の映像などを挿入する手法も普通に行われています。それは文字のノンフィクションでも、過去の記録や本から引用するのと同様に、でしょう。それがポルノ映像だ、ということが、今後立法などがあり、法律的に同意が必要な例外になる可能性もありましょうが、現状そういえるか相当に微妙なことは元の朝日記事でも読み取れます。逆に、日活ロマンポルノなどのように、18歳未満禁止の作品ながら普通に芸術性や文学性、批評性などが評価されてる作品はまたどうなるのか。それらの批評でも出演者が拒否したら引用不可能なのか。
また当事者が(何年も経った後に再度映像が多くの人に見られるのは)嫌がるだろう、という点では今回の映画のような映像と、
いきなり馬乗りになられて殴られる光景を映された映像、
www.nicovideo.jp

バリ島での観光客と地元男性の男女交際の映像
www.youtube.com
あるいはイルカ漁に漁師さんらが従事する映像… 
www.youtube.com

では、どちらが大丈夫だとか、どちらが再度の許可を本人などからとる必要がある…とは決め付け難いのではないですか。というか、先に述べましたが、むしろ今回の件のほうが止めさせる法律的なハードルは高い可能性すらあります。