MMAの「最適解」が試合をつまらなくする?高阪剛が、不吉な予言(kamipro)
年末のUFC、Dynamite!!、戦極の乱などをレポートしたkamipro増刊出ました。
kamipro Special 2009 FEBRUARY (エンターブレインムック)
- 作者: kamipro編集部
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2009/01/10
- メディア: ムック
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で、問題はUFCについての高阪の話。
「やっぱりMMAの試合って言うのは、スタンド状態から始まって、そのスタンド技術の優劣っていう部分が最初に出るんで。
ただ、今はそこの部分だけで勝負がついてしまう試合がほとんどで、要は持っている技術を使いきっていないと思うんですよ。その中の本のひとコマで試合が終わっているのがすごく残念というか、もったいないというか。」
(略)
「いまはほとんどの試合が打撃で決着が付くので、スタンドのレベルがどんどん上がってると思うんですよ。その半面、大事なテイクダウンの攻防とかグラウンドの技術を見失ってスタンドばかりに走ってしまう可能性もあると思うんですよね。」(略)
−−まあ、ノゲイラvsミアという柔術家同士の対決がボクシングだけで終わるわけですからね(笑)
「あれなんか「もったいない」試合の極地ですよね。みんな、どんなグラウンドの攻防が見られるか、すごく期待してたと思うんですよ。」
−−ところが寝技は一切無しですから(笑)
書いてて気付いたが「最適解」の本来の意味って聞かれたら分からないや(笑)アラン・ソーカルに怒られそう。まあ雰囲気、もっともいい作戦とかそういう意味。
青木真也、北岡悟がいかにがんばろうと、いかに結果を残そうと、それは極東島国のローカル団体でちまちまやっている中の話であって(自虐)、世界中から本当に一流選手を集め、才能ある新人を集団キャンプおよび選抜戦で育てているグローバル・スタンダードの世界では、(蹴り、投げ、抑え込み、極めの技術をすべて一流とした上で)「最初の殴り合い、ボクシングの技術をきちんと学び、そこでダメージを与えている人間が勝利する」ということで結論が出た、ようなのだ。
そうでなければいいなあ、と思いながら、そうなってしまうかも、の覚悟はしている。、
それじゃつまらないじゃないか、というふうに聞き手(堀江ガンツ氏)も言っているけれども、何、五味隆典の連勝中にだって俺はそう思ってましたよ(笑)。「すごい試合だけどこれならキックボクシングを見りゃいい、になりかねない」とか書いてた。
まあそれはそれとしてだ。これを打破するには二つある。
一つは中村大介vs所英男のように、また北岡・青木ブラザーズのように、戦法、スタイル、展開についてある種の「こだわり」「思い入れ」を持ってもらい、そのこだわりを表現した戦いをしてもらうことで熱戦、個性豊かな展開を生み出すこと。
結果的に青木・北岡、ああ今成正和もか、彼らはこだわりの中で、普通の選手が研究も浅く、その分対応も遅れがちな独自の足関技術で実績を上げているし。
だが、実際のところ、歴史…つまり数をこなしていくと、徐々に”最適解”が顔を出す。
つまり、じゃあ(TKの懸念が当たってたとして)日本で、グラウンドやテイクダウンを十分にマスターしつつ、あとは判子で押したように正確無比なボクシング技術で闘う「石部金之介」が登場、本当にそれだけで個性豊かに戦う所や中村、青木や北岡をバッタバッタと倒していったらどうなるだろう。
いや、一人だったらその選手がスターになって終わるだろう。問題は全階級にそれが現われ、同一階級での上位陣もすべてそういうカテゴリーの選手で埋まり、その石部スタイルの選手同士が闘ったら…だ。
UFC、思い入れの無い選手同士が戦うときは確かに自分はふーんって感じだし。
だが、もう一つあるな。以前、前田日明がスーパーバイザーに就任し、まだ期待されていた時(笑)、格闘技(に限らずスポーツ、競技)を面白くするためには「それはルール。ルールのデザインによって試合を面白くするしかない」と語っていたね。
KOKルールには確かに動きがある(もっとも、ブレイクが早いから、寝技では打撃系選手が固まってすぐ脱出、実質的にキックボクシング…というパターンもあったが)。
ただ、「あれじゃMMAじゃねーよ」とDisるなUFCファン。UFCも私見では2回、すでに最適解を面白さのために放棄している。
一つは「でっかいやつを倒すにはガードポジションから1時間でも2時間でも粘る。そうやってスタミナを奪っていけば勝てる。砂漠に2人でいるとき以下略」というグレイシー・スタイル。
もう一つは、ここでも何度か書いた、レスリング的テイクダウンを徹底してやりこんだ選手が、あとはガードポジションの相手の顔面にごっつんごっつん頭突きをかまして勝つと(笑)
この二つの最適解が闘えば見ものだが、どっちもUFCは、その戦法が無効だ…ということで技術体系から消えていったのではなく、ルールによって排除していくことを選んだのだ。そりゃまあそうだろうな。
よく知らんけど、サッカーのオフサイドって何となく昔は無かったような気がする。
あれはやっていったら、後ろから前にばーんとパスしてそいつがシュートする、というのが有効すぎたんで導入されたんではないか。
バスケットボールは、自陣営がもったら24秒だか30秒以内にシュートしなきゃいかんよね。あれも最初はなかったような気がする。あまりにも、リードした陣営がひたすらパス回しとかして時間を稼ぐのが有効でありすぎるために改正した。
というわけでUFCが高度になりすぎて、(優れた)ボクシングの攻防で試合が終わりすぎるというなら、レベルを下げるという方法も取りにくい(笑)ので、ルール的にテイクダウンや寝技をやりやすく、やる場面が増えるようにするしかない。
では、それはどんなものなのか。
それは投げっぱなしにしておしまい。
ただ、もともとMMAは「路上の現実、実戦に一番近い」を売りに生まれたという根っこもある。これも無視するわけにはいかなくなるので、さらにややこしくなるだろう。
余談と予告
同誌では、なぜかここだけゴン格っぽいつくり(笑)の、「柳澤健(「1976年のアントニオ猪木」著者)が柔道と柔術の歴史を語る」という記事があり、これは上のUFCの話以上に面白かった。
二つ一緒に書くのはもったいないので後日。
「みんなのうた」、みんなのおすすめ
昨日、「みんなのうた」を話題にしたところで、こういう歌がいいとそれぞれが意見をくれた。
youtubeは貼り付けに替えている。
高倉仮面 2009/01/11 15:22 >今回の番組でいうなら「まっくら森のうた」「メトロポリタン美術館」などはいい。
「まっくら森のうた」「メトロポリタン美術館」「コンピューターおばあちゃん」「月のワルツ」が「みんなのうた四天王」なんだそうです。>みんなのうたの音楽はノスタルジーなどを抜いても、真面目に愛唱愛聴に値するものが多いと思う。
上記の中で「月のワルツ」の存在は最近知ったのですが・・・本当にとんでもない名曲が隠れているものですな。みんなのうた、侮り難し。●月のワルツ
通りすがり 2009/01/11 15:44 とっくにご存知かもしれませんが、こんなのもあります。http://www.nicovideo.jp/watch/sm442690
むしまるQ マッコウクジラは潜水キング
演奏者名:「はい! 万平連欧州旅行です。」からして確信犯なこの曲で、80年代ロックの良さを、子供たちに知ってもらおう、という素晴らしい意図を感じますwwfullkichi1964 2009/01/11 17:41 渋谷系を代表するバンド、ピチカート・ファイヴの「メッセージ・ソング」なども「みんなのうた」で紹介されてましたね。ジーンとくる名曲です。
私も加えようか。ごく最近のすぎてありがたみが無いかもしれんが。「モルダウ」に訳詩をつけた曲だ。
本日、ネット放送の「公武堂TV」
話題の「スパッツ論」を、時間があれば論じてくれるはず。
週刊金曜日で中島岳志、田中優子、宇都宮健児が新編集委員に
http://www.kinyobi.co.jp/
に三者の就任報告がある。
田中優子氏や宇都宮健児氏には特段の興味は無いが、中島氏は
http://www.kinyobi.co.jp/intro/intro_nakajima.php
とのことだ。
いまの日本には、石橋湛山のような気骨のある保守政治家が必要です。若い世代からそのような政治家を輩出するためには、勇気と寛容の精神をもって、左右の「バカの壁」を崩していかなければなりません。保守リベラルの視点から『週刊金曜日』に新しい風を吹き込みたいと思います。
保守リベラル、の意見を導入するという点では、読者が反発しなければ、それは面白いことになるだろう。
ところが結構、保守系の人が出ると反発が大なのだ。
まあそのへんは中島氏のバランス感覚で何とかなるだろうが、週刊金曜日の編集委員に関しては、別種の楽しみがある。
つまりひとりの知識人として、佐高信氏の言説や著作に対して中島氏の評価を聞きたい…ということがあります(笑)。特に保守リベラルで語るとしたら、これまでそういうところにも罵倒してたわけでな、氏は(笑)。
まあ佐高氏もそのへんは柔軟(無節操)にやるだろうが。
「元厚生省事務次官連続殺人を、当初テロ扱いしたことを反省せよ」と青木理氏(週刊現代)
もう古い話題だが、資料としておいておく。
昨年、厚生省の元キャリア官僚が相次いで殺された時、それに対して「テロ」と、どのように定義したり、どの時点で推定するか、可能性の話をどこで確定されるか…という話題をここで語った。
■厚生省元幹部・家族連続殺害事件。いつ犯罪を「テロ」と見なすのが正しい態度なのか
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20081121#p6
あまり反響は無かったが(笑)けっこう重要な視点だったと自分では思っている。
長崎の、伊藤一長市長射殺事件にも通じる。
で、同じようなことを青木理氏が2008年12月に、週刊現代で語っていた、と記録に残しておく。
青木氏はリレー新聞記事批評「新聞の通信簿」を担当。普段は非常に現政権などに批判的な、まあ進歩的っつうスタンスに立っている人だ。
だが、「あの事件をテロとして扱うべきではなかった」という立場に立っている。
渡辺喜美が自民党を離党後「脱藩官僚の会」と連携したらおもしろい
ちょっとした思い付き。
渡辺氏はメディアでは以前から知名度が高かったが、一番の実績は公務員制度改革、天下り規制の関係で大臣として政策を作ったことだった。
この部分でもっとも知恵、アイデアがあるのは高橋洋一らを中心にした「脱藩官僚の会」なのだから。
しかし、高橋氏が暴露する官僚が審議会や法律、法令を「骨抜き」にするテクニックと言うのは、不謹慎にいえば面白い。
こんなところにそんな意味が!!と驚かせる、推理小説的驚きというか。
普通の仕事とかでも使えるかもしれないので、あとで複数の著書から箇条書きにしてみたいな。
- 作者: 江田憲司,高橋洋一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/09/18
- メディア: 単行本
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