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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

MMAの「最適解」が試合をつまらなくする?高阪剛が、不吉な予言(kamipro)

年末のUFCDynamite!!戦極の乱などをレポートしたkamipro増刊出ました。

kamipro Special 2009 FEBRUARY (エンターブレインムック)

kamipro Special 2009 FEBRUARY (エンターブレインムック)

ほいでな、TKが八面六臂の活躍ってやつで、Dynamite!!UFCの総括インタビューを受けている。「戦極」は無いのだが(笑)、まあTV解説もしてないわけでそれはそれで。
で、問題はUFCについての高阪の話。

「やっぱりMMAの試合って言うのは、スタンド状態から始まって、そのスタンド技術の優劣っていう部分が最初に出るんで。
ただ、今はそこの部分だけで勝負がついてしまう試合がほとんどで、要は持っている技術を使いきっていないと思うんですよ。その中の本のひとコマで試合が終わっているのがすごく残念というか、もったいないというか。」
(略)
「いまはほとんどの試合が打撃で決着が付くので、スタンドのレベルがどんどん上がってると思うんですよ。その半面、大事なテイクダウンの攻防とかグラウンドの技術を見失ってスタンドばかりに走ってしまう可能性もあると思うんですよね。」

(略)
−−まあ、ノゲイラvsミアという柔術家同士の対決がボクシングだけで終わるわけですからね(笑)


「あれなんか「もったいない」試合の極地ですよね。みんな、どんなグラウンドの攻防が見られるか、すごく期待してたと思うんですよ。」


−−ところが寝技は一切無しですから(笑)

書いてて気付いたが「最適解」の本来の意味って聞かれたら分からないや(笑)アラン・ソーカルに怒られそう。まあ雰囲気、もっともいい作戦とかそういう意味。
青木真也北岡悟がいかにがんばろうと、いかに結果を残そうと、それは極東島国のローカル団体でちまちまやっている中の話であって(自虐)、世界中から本当に一流選手を集め、才能ある新人を集団キャンプおよび選抜戦で育てているグローバル・スタンダードの世界では、(蹴り、投げ、抑え込み、極めの技術をすべて一流とした上で)「最初の殴り合い、ボクシングの技術をきちんと学び、そこでダメージを与えている人間が勝利する」ということで結論が出た、ようなのだ。


そうでなければいいなあ、と思いながら、そうなってしまうかも、の覚悟はしている。、
それじゃつまらないじゃないか、というふうに聞き手(堀江ガンツ氏)も言っているけれども、何、五味隆典の連勝中にだって俺はそう思ってましたよ(笑)。「すごい試合だけどこれならキックボクシングを見りゃいい、になりかねない」とか書いてた。


まあそれはそれとしてだ。これを打破するには二つある。
一つは中村大介vs所英男のように、また北岡・青木ブラザーズのように、戦法、スタイル、展開についてある種の「こだわり」「思い入れ」を持ってもらい、そのこだわりを表現した戦いをしてもらうことで熱戦、個性豊かな展開を生み出すこと。
結果的に青木・北岡、ああ今成正和もか、彼らはこだわりの中で、普通の選手が研究も浅く、その分対応も遅れがちな独自の足関技術で実績を上げているし。


だが、実際のところ、歴史…つまり数をこなしていくと、徐々に”最適解”が顔を出す。
つまり、じゃあ(TKの懸念が当たってたとして)日本で、グラウンドやテイクダウンを十分にマスターしつつ、あとは判子で押したように正確無比なボクシング技術で闘う「石部金之介」が登場、本当にそれだけで個性豊かに戦う所や中村、青木や北岡をバッタバッタと倒していったらどうなるだろう。
いや、一人だったらその選手がスターになって終わるだろう。問題は全階級にそれが現われ、同一階級での上位陣もすべてそういうカテゴリーの選手で埋まり、その石部スタイルの選手同士が闘ったら…だ。
UFC、思い入れの無い選手同士が戦うときは確かに自分はふーんって感じだし。



だが、もう一つあるな。以前、前田日明がスーパーバイザーに就任し、まだ期待されていた時(笑)、格闘技(に限らずスポーツ、競技)を面白くするためには「それはルール。ルールのデザインによって試合を面白くするしかない」と語っていたね。
KOKルールには確かに動きがある(もっとも、ブレイクが早いから、寝技では打撃系選手が固まってすぐ脱出、実質的にキックボクシング…というパターンもあったが)。

ただ、「あれじゃMMAじゃねーよ」とDisるなUFCファン。UFC私見では2回、すでに最適解を面白さのために放棄している。


一つは「でっかいやつを倒すにはガードポジションから1時間でも2時間でも粘る。そうやってスタミナを奪っていけば勝てる。砂漠に2人でいるとき以下略」というグレイシー・スタイル。


もう一つは、ここでも何度か書いた、レスリング的テイクダウンを徹底してやりこんだ選手が、あとはガードポジションの相手の顔面にごっつんごっつん頭突きをかまして勝つと(笑)


この二つの最適解が闘えば見ものだが、どっちもUFCは、その戦法が無効だ…ということで技術体系から消えていったのではなく、ルールによって排除していくことを選んだのだ。そりゃまあそうだろうな。


よく知らんけど、サッカーのオフサイドって何となく昔は無かったような気がする。
あれはやっていったら、後ろから前にばーんとパスしてそいつがシュートする、というのが有効すぎたんで導入されたんではないか。
バスケットボールは、自陣営がもったら24秒だか30秒以内にシュートしなきゃいかんよね。あれも最初はなかったような気がする。あまりにも、リードした陣営がひたすらパス回しとかして時間を稼ぐのが有効でありすぎるために改正した。


というわけでUFCが高度になりすぎて、(優れた)ボクシングの攻防で試合が終わりすぎるというなら、レベルを下げるという方法も取りにくい(笑)ので、ルール的にテイクダウンや寝技をやりやすく、やる場面が増えるようにするしかない。

では、それはどんなものなのか。
それは投げっぱなしにしておしまい。


ただ、もともとMMAは「路上の現実、実戦に一番近い」を売りに生まれたという根っこもある。これも無視するわけにはいかなくなるので、さらにややこしくなるだろう。

余談と予告

同誌では、なぜかここだけゴン格っぽいつくり(笑)の、「柳澤健(「1976年のアントニオ猪木」著者)が柔道と柔術の歴史を語る」という記事があり、これは上のUFCの話以上に面白かった。
二つ一緒に書くのはもったいないので後日。