という記事がある。
内田樹氏の意見なので、中国と台湾の認識に関して、まあ先生らしいご主張なのだけど、
最初の部分でこういう記述がある。
『環球時報』から高市発言についてコメントを求められた。私が「中国の対応はロジカルである。感情的に反発すべきではない」とネットに投稿した記事を読んでのオファーである。
『環球時報』は中国共産党の機関紙である。そこに「高市首相の発言撤回と謝罪と辞任を求める」日本人として寄稿することにはベネフィットとリスクの両方がある。
ベネフィットは中国の相当数の読者に日中の関係正常化と東アジアの平和を願う私の意見を直接伝えることができるということである。リスクは中国共産党の日本批判の「ウェポン」として利用されるかも知れないこと、そして日本国内のネトウヨたちから「中国のスパイ」として罵倒されることである(こちらは確実)。
どのような行動にもベネフィットとリスクがあるが、今回の寄稿依頼については「リスクよりもベネフィットの方が多い」と判断した。内田樹 機関紙について
氏は同じこと…「機関紙」というメディアの特異性をXでも投稿していて、
それについて当方もリプしていた。
おはようございます。今日は久しぶりにオフです。まずは高市発言についての中国の「環球時報」からのメールでの質問に回答を送ります。8000字を超えてしまいましたが、ブログに上げておきます。『環球時報』は中国共産党の機関紙ですから寄稿することにはベネフィットとリスクの両方があります。
— 内田樹 (@levinassien) November 22, 2025
ベネフィットは中国の読者に直接僕の意見を伝えられること。「高市首相は発言を撤回し、責任をとって辞任すること」を求める日本人のロジックを伝えることができます。リスクは中国の「ウェポン」として利用されることと日本のネトウヨから「中国のスパイ」と罵倒されることです。
— 内田樹 (@levinassien) 2025年11月22日
こういう時には僕は「ベネフィットとリスクの量的な差」を基準にして選択肢の採否を決定することにしています。僕たちが直面している問題の多くは「原理の問題」ではなく「程度の問題」だからです。理非や真偽や善悪を論じていると「うまくゆかない」場合があるんです。「ある」どころじゃない。
— 内田樹 (@levinassien) 2025年11月22日
「機関紙」には(通常のメディアとは違い)原理的にそういう面がある、ということを認識されているのは、まことに正しい、と賛同します。「程度の問題」「リスクとベネフィット」の話となると、それぞれの判断が違ってきますよね。例えば「赤旗」にせよ「世界日報」にせよ。https://t.co/rCIJ8CP1di
— Gryphon(INVISIBLE暫定的再起動 m-dojo) (@gryphonjapan) November 23, 2025
「機関紙」はどこまで言っても「機関紙」であり、通常のメディアとは一線を画す。この部分に関してはまことにその通りである、という話。
いちおう資料として残しておこうと思う。
中国の台湾攻撃の野望と、南北戦争との対比について(小川寛大氏)
中国が台湾併合する大義に関し自らを南北戦争の北軍(反乱の鎮圧)になぞらえてるのは有名ですが、そんなのは大英帝国のアイルランド独立派弾圧に対しチルダースが「リンカーンは奴隷制廃止のため戦った。ロイド・ジョージはそれを維持するため戦っている」と一刀両断したような話に過ぎないわけです。
— OGAWA Kandai (@grossherzigkeit) November 23, 2025
以前に人民解放軍の幹部が書いた「台湾併合は南北戦争のように、こうやる」みたいな本は読んで、フォーラムでも取り上げましたが、本当に「悪魔でも聖書を引用できる」というような適当かつ粗雑な本で、戦略研究というより独裁者への阿諛追従の見本みたいなものでしたね。
— OGAWA Kandai (@grossherzigkeit) November 23, 2025
とにかく「人民解放軍の幹部が書く南北戦争世界」においては、「南北戦争は奴隷問題(人権問題)で起こった」ということが徹底してオミットされてるため、その「分析」を読めば読むほど、「なぜ南北戦争が起こったのか」が意味不明になっていくという、本当によくわからない内容になっているんですよ。
— OGAWA Kandai (@grossherzigkeit) November 23, 2025
あと一応「人民解放軍=北軍」の建前で書かれてるのに、北軍の主要戦略だった海洋・ミシシッピ流域封鎖への言及が全然ないわけです。これは本当に西側とガチになってしまった場合、封鎖されるのは大陸中国だからという認識があるから下手に書けなかったのではと私は思ったんですが、邪推でしょうかね。
— OGAWA Kandai (@grossherzigkeit) November 23, 2025
自分は中国に詳しいわけではなく、人民解放軍の「南北戦争本」を一冊読んだ程度ですが、「歴史上、実際に何があったのか」より「独裁者の歓心を買う作文を書くこと」が優先されてる匂いが本当にプンプンして、本当に中国というのはロクなところではないなあという感想だけが残ったものでしたね、ええ。
— OGAWA Kandai (@grossherzigkeit) November 23, 2025
