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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

憲法学者、国会で「あなた戦前と、主張が違うね?」と詰められる。質問者はあの…【憲法記念日】

憲法記念日ということで、ふたたびXのポストを引用。


067・辻政信

○辻委員 私は眞崎委員の質疑に関連をいたしまして、中村先生にちょっとお尋ねいたしたいと思います。
 中村先生け、戦争中約十年にわたって台湾の大学で憲法の講義をなさっていらっしゃったそうでございますが、そのときに、旧憲法というものはあなたの学者的良心に一致したというお考えのもとに学生に講義をなさいましたか、それとも、旧憲法は、あなたの思想に合わぬというようなお考えを持っていらっしゃいましたかをまず承わりたいと思います。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404914X00119560316/67


068・中村哲

○中村公述人 当時の大日本帝国憲法は、解釈によりまして、あれを天皇機関説的に解釈する立場もありましたし、また天皇主権説的な立場で解釈する立場もありました。私は、本来天皇機関説の立場の系統の学問をしたのですが、しかし旧憲法を客観的に見た場合は、やや天皇主権説的な構造をやっぱり持っておると思います。そうして、そういう天皇主権説的な構造を持っておる憲法は、私としては必ずしも賛成ではありませんでした。しかし、旧法の学問としましては、そういう憲法の特徴を述べることが学問的でありましたので、私は、明治憲法の保守的な面を客観的に述べました。そういう経験に基きまして、ああいう明治憲法があるのでは、民主主義はやはり阻害される、こういうふうに考えました。そのために、終戦後においては、どうしても憲法を改正すべきだというふうに考えたのであります。この点、私は美濃部先生の系統の学問をしたのですが、美濃部先生は、むしろあの明治憲法が客観的にも美濃部先生の考えられるように自由主義的な要素を持っていると考えられていたために、改正する必要がない、つまり政治が悪いのであって改正する必要はない、運用さえよければいいんだというふうに解釈されておりました。思想的には、私は美濃部先生の思想に立っておるのですが、しかし、どうも旧憲法は、美濃部先生の言われるようにはできていない、むしろあの憲法の制定の精神からいって、穗積、上杉憲法的な要素がかなり多い、つまり原案は伊藤博文の作ったあの憲法については、穗積八束博士の見解というものに相当近いというふうに考えたのであります。そういう憲法は、やはり改正すべきであるということで、戦後は、民主的な憲法を作らなければ、日本が再び誤まったコースをとるというふうに考えたわけです。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404914X00119560316/68


069・山本粂吉

○山本委員長 公述人にお願い申し上げますが、時間が非常に短かく詰められておりますので、どうか直截簡明に一つお答え願います。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404914X00119560316/69


070・辻政信

○辻委員 台湾大学の教授をなさっていらっしゃるときに、その当時の憲法は必ずしも適当でないというお考えを持っていらっしゃったというように承わりました。
 そこで次にお伺いしますが、昭和十六年三月の改造という雑誌に、あなたは「政治の現実と政治の責任」という論文をお書きになっておる。その中で「帝国憲法は日本国家の永遠の根本規範であって、告文に「皇祖皇宗及皇考ノ神佑ヲ祷リ併セテ朕カ現在及将来ニ率先シ此ノ憲章ヲ履行シテ愆ラサラムコトヲ誓フ」とある如く、その永遠性は聖慮によって明確にされるところである。」とお書きになっております。また続いて昭和十六年九月の日本評論に「政治力の条件」という一文をお青きになっておるはずでございます。それを読んでみますと「日本の国家はいかなる理想目標に向って進むべきであるのか。その内在的な理念が明らかにされなくてはならない。それは日本の国体がつねに、宜明し来った一君万民の統治を実現することであって、聖徳太子の十七条憲法のいうように「君云ひて臣承り上行へば下靡く」政治を実現すべきであって、これこそ日本の国体の根本理念にもとづく政治力の結果である。」というように、かつて一君万民を讃美し、国体の根本理念というようにたたえられた、これに誤まりございませんか。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404914X00119560316/70

中村哲辻政信に戦前の言動を突っ込まれる(国会議事録)

071・中村哲

○中村公述人 それは誤まりございません。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404914X00119560316/71

072・辻政信

○辻委員 そこで、次は敗戦後七年たって昭和二十七年の七月の改造に、あなたは「天皇大元帥として統帥権を握ることによって、問答無用の独裁権を有したのであった。だから、明治憲法は、国民の政治的参加を認め、その権利や自由を保障したようにみえるけれども、その実、天皇制絶対主義をこれによって制度的に確立したのであった。天皇制というものは、君主の賢明さとか温情とかを生かすような制度でなく、全くの独裁機構そのものだということになる。」こういうふうに発表なさっていますね。これに間違いございませんか。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404914X00119560316/72

073・中村哲

○中村公述人 間違いございません。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404914X00119560316/73


074・辻政信

○辻委員 そこで、私が最後に結論として申し上げたいことは、学者というものは権力におもねらず、利益に誘惑されないで、おのれの信念というものをあくまで持つところに学者というものの尊厳があると思う。いかに敗戦という事態にぶつかったにしても、十年間にあなたの学者的良心がかくのごとく百八十度転回されたということについて、どういう心境の変化からそうなられたか、それをまず簡単に承わりたい。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404914X00119560316/74

075・中村哲

○中村公述人 今、辻さんが言われましたことは、私の戦争中に書いたことと、その後に書きましたことで、それは私としては一貫しております。旧憲法というものは天皇中心の憲法であり摂して、その当時におきましては、天皇にまっ正面から反対するということは、これは公立大学として、また普通の教授としても非常に言論の制限があった。そこで私は、旧憲法の中で可能な限りの民主的な主張をすべきだ、こう考えましたので、そこで、たとえば今の一君万民というようなことも、つまり天皇制のもとで最も可能なデモクラシーの主張をするには、その天皇制といえども国民を無視しては政治はできないのだ、こういう点を強調すること、これがせい一ぱいであるというふうに考えました。それからデモクラシーの問題と、もう一つは軍の問題でありますが、私は、戦争中国防会議論というものを中央公論に書いておりました。それも、軍の独裁を抑えるには、憲法の制約がありまして、天皇自身にある程度において、つまり天皇の政治的な面で軍を、抑えるほかないというふうに考えまして、そこで統帥権において、天皇の御前会議というようなところで政治の力で調整すべきである、こういうことを主張いたしました。その考え方が妥協的というか、そういう憲法のもとで主張する主張として最も適当であったかどうかという点については、本来はそういうことは批判すべきであった、つまり天皇制そのものを批判すべきであったというのかもしれませんけれども、私は、そういう限りで極端な政治が行われないように、可能なデモクラシーの主張をしたつもりであります。そこで、そういうことをしたけれども、やはりそういう天皇中心の憲法のもとでは、幾ら可能な主張をしても、それはだめなんだ。そこで終戦後は、憲法を変えなければならぬ、こういうふうに私は痛感いたしましたので、それを書きました。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404914X00119560316/75


076・辻政信

○辻委員 そうすると、あなたは、学者的な良心において旧憲法に必ずしも同意でなかったが、当時の政治的な圧力といいますか、環境のもとにその礼賛をやらなければならなかった、礼賛という言葉はひど過ぎるかもしれませんが、あなたがほんとうに学者としての良心があれば、こういうことを筆にお書きになるものではない、そういう感じを持つのです。
 いま一つ、それではさらに突っ込んでいきましょう。それでは最悪の事態、共産党が日本に入ってきてブルガーニンが君臨したときに、その強大な政治的圧力で共産主義的な憲法をあなたに要求したときに、あなたはその権力に屈して、今度は赤旗のお先棒をかついで得意の変節をやるかどうか、これについて承わりたい。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404914X00119560316/76

077・中村哲

○中村公述人 共産党の力によって日本にそういう社会主義政権ができるというようなこと、外の力でできるものではないと私は思いますので、どうもそういう仮説が理解できないのですが、その前に、今、辻さんの言われた点で、つまり一方においては憲法の制限があり、そういう中で可能な主張をするということはどうしたらいいのかということで、たとえば私が左翼運動をやっておるものなら、まっ正面から天皇制を批判したでありましょう。しかし、そういうことは私にはもちろんできない。従って、そういう天皇制のもとにおいて可能な主張をするということでありまして、これは天皇制を基礎づけることでなく、天皇制の中で一番民主的なものは何か、つまり従来の天皇詔勅なんかで相当民主的なものがある。たとえば大化の改新のときの詔勅とか、こういうものを使って可能な主張をしようとしたが、そのこと自身が誤まっていたのではないかとは思いますけれども、天皇制を基礎づけるために主張したのではない。しかし、結果においてはそういうふうに見られるというのであれば、やはりそこに問題があると思います。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404914X00119560316/77

078・辻政信

○辻委員 天皇制のもとで、可能な範囲において、あなたは学者的な発言をなさったとおっしゃるが、しからば、将来共産主義政権ができたら、共産主義政権のもとにおいて、可能な範囲であなたの言論を学者の良心としてお述べになるつもりか。私は、昔から学者というものを非常に尊敬している。われわれがいわゆる軍部におって権力をとっておったときに、軍に反対した学者に私はほんとうに敬意を表したものであります。あの薄給でもって何にも誘惑されないで……。今の御時世において、あなたはどうして権力の可能な範囲においてお曲げになるか、もう少し強くなっていただきたい。これ以上あなたの答弁は要求しませんが、学者の影響というものは近ごろ非常に大きい。あなたも大学の教授です。あなたの思想はそのまま純真な学生に入っていく。何でもない人の言うことと違いますよ。あなた方は戦争中の有名な花形論客ですよ。その意味において、あなたに御自重をお願いします。御答弁は要りません。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404914X00119560316/78

079・中村哲

○中村公述人 というのは、戦争中は、私なんかには権力を徹底的に批判するというまでの態度はなかった。それがやはり間違いであったということを私は考えております。現在憲法改正とか、アメリカの要求する再軍備であるとか、こういうことに対しては、やはり権力そのものに対しても屈しないようにしなければならないということで、私は行動しておるわけです。それですから、その点においては、むしろ戦争中の、自分の可能な主張を反省する形で進んでおります。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404914X00119560316/79

080・辻政信

○辻委員 発言せずにおこうと思いましたか、御答弁がありましたから、つけ加えます。あやまちを改めることは決してとがめません。あのときあなたが敢然として主張し得なかったことを後悔しておりますから、そこであなたの将来に期待することは、もし日本に独裁的な赤の政権ができた場合に、今度こそほんとうにそれに屈しないように、あくまでも民主主義を守っていただきたいということを希望して、私の発言を終ります。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404914X00119560316/80


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これが、昭和の怪物かー。どの口で「戦前と主張が違う」と言ってるんだ、ってアレだが。
しかしこの男は戦後、国会議員となっただけでなく、国民的な「人気者」であり、今でも評価の高い硬骨の自由主義者石橋湛山の懐刀でもあったりするから、ある意味でもっと恐ろしい。

辻政信 虹色のトロツキー

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一方の「中村哲」は近年、同姓同名で憲法にも関わる別の著名人が出て、検索などが混乱するが…のちに彼も国会議員になったり、法政大の学長を務めたという。


戦前の発言・著書との一貫性が問われた、という点では、家永三郎氏を思わせるものもある。