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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「同意年齢」問題、15歳と13歳なら罰するな論は現実的ではあるが、法の整合性的にどーなの?…って話

本多平直議員が、立憲民主党を離党し議員辞職することになった。

これについては政党内のガバナンスの問題や、録音データがあるのだがそれが公開を求められても拒まれているとか、キャンセルカルチャーによる権力闘争とか、いろんな話題が様々にあるのですけど、

性行為への同意を判断できるとみなす年齢に関する発言をめぐって、立憲民主党本多平直衆議院議員は27日、離党したあと記者会見し、議員辞職する意向を明らかにしました。

立憲民主党の本多議員は、性行為への同意を判断できるとみなす年齢の引き上げを議論していた党の会合で、「50歳近くの自分が14歳の子と性交したら、たとえ同意があっても捕まることになるのはおかしい」と発言したと報じられ、批判が相次ぎました。

立憲民主党が、党全体の信頼を傷つけたとして処分を検討していたなか、本多氏は27日、離党届を提出して受理され離党しました。

本多氏は、このあと記者会見し、みずからの発言について「被害者を傷つける表現があったことを改めておわびしたい」と謝罪…

www3.nhk.or.jp


……ただ、NHKでは「謝罪」となっているが、実は会見ではことの経緯に非常に不満や議論をあらわにしていまして。

(略)…信頼して検証に応じた第三者によるハラスメント防止対策委員会の報告書が、証拠やヒアリング対象者が明示されないまま、発言と無関係なパワハラ疑惑が捏造(ねつぞう)され、人格攻撃とまで言える表現など、極めて偏った内容だったことには大きなショックを受けました。離党などを求めるご意見もお聞きをしました。そうした中でも党内の議論の中の例示のみで、こうした重い判断をすることは適切ではない、そういう強い思いを貫いてきました。

しかし、残念ながら、ここに至っても、あらゆる手段で、闊達な党内議論を封殺しようとする一部の人たちがいます。WTの座長に、WTの運営について2人で忌憚のない話をしようと私から提案し、心から信頼して話した内容が、また外部に流出するに至っています
www.sankei.com


これらの話はこれらで非常に興味深いのだが、これから語るのは別の話題である。…つまり、元々の議論にあった性的同意年齢についてのことで数点の疑問を。
もともと本多氏が展開したような「同意年齢は何歳からか」の議論には、あまり意味がないとは思っている。

・どこかで「区切り」はつけないといけない。
・それは年齢で設定するしかない。人間、個々人の「成長」度合いは千差万別だから、どこかで必ず例外は生まれる。それでも、無理やりにでもどこかで区切るしかない


・・・・・という前提から出てくる話で、その具体的な数字は、「この道路の制限速度は最高50 キロ か60 キロ か」を決めるのと同様ぐらいに難しい、あるいは同様に簡単だ、ともいえる。つまりは…正直、その性的同意年齢の数字を何歳からとさだめようと、それは「とりあえず区切った」程度のものであろう、と。


自分が語りたいのはそこではない……この議論で、かならず経由しなければならないのが、「例えば中学の先輩後輩、14歳と13歳の間で性的関係が結ばれる時、それも罪ということになるの?」「それは、非常にまずいのではないか」という問いだ。

こういった疑問に関して推進側の一部は、概ねこのような反論・説明をしている。

「そういう場合『年齢差』が一定の割合に収まるなら、片方あるいは両方が同意年齢以下でも、それは罪には問わないという形にすればいい。それは通称ロミオとジュリエットと呼ばれ、いくつかの国では実現している」

といった感じのものね。
それは一種、「現実に即した」救済措置だと思っている。
このロミオとジュリエット法、自分が知ったのは2013年に描かれたこのブログ記事だから
miyakichi.hatenadiary.jp

だいぶ早い方だと思う。ネット上では今回、逆に説明する側に回ることも多かった。
ただ説明しつつも、やや理屈に合わないところはあると感じていた。


それはどこか。
そもそも、罰するかどうかの基準に「年齢『差』」を持ち出すというのが、非常に既存の法体系の中では珍しい…と言うか整合性があまりないのではないかと思っているのです。

だって他に、許容と禁止の範囲が「年齢差」にある事例ってありますかね?ほとんどの基準が、「絶対的」な年齢によって区分されてると思うんですが。


実際に成人になるまでの年齢によって様々な自己判断ができる範囲が制限され、それが徐々に広がっていく…というのはわかりやすいし、前述したとおり「本当は成長度合いなんて、個別に違ってるのは当然。しかしそれをあえて一律に判断するなら、年齢で判断するしかない」…と、そういう仕立てに、この世の中はなっています。
そこにいきなり「〇〇の”年齢差”かどうか」が判断基準になるというのは、法律の整合性という点では言えばなんと言うか相当に変なんじゃないか、と思う(もちろん一般的な浅い知識しかないので、いや他にもこんな事例がありますよ、という例示が詳しい人からあれば、と思う。)


なぜか。…だって、そうでしょう。年齢による区分というのは上で述べたように「年齢の低いものは、自由で責任ある”選択”をする能力がそもそも欠けている」「それによって肉体的精神的に傷つく可能性が高い」から、それを行う能力がない…というしつらえだ。
ならば、「そういう能力に欠ける同士で、2人で行なう行為は、片方だけが能力に欠けるより、さらにまずい」という理屈になるんじゃないかな(笑)

最初の時もブクマで書いてたか。

「中学生の同意は成人側の思い込み」 立憲の性犯罪WT座長が見解 | 毎日新聞

ちなみに法哲学的議論でいえば「未成年は判断力が未発達なので性的行為に同意が得られるはずがないなら、未成年同士のそれは未発達と未発達でなお認めがたい」てな話になりそうなものだが、そこは現実との兼ね合い。

2021/06/09 04:24
b.hatena.ne.jp


それに望まぬ妊娠とか、それによる母体(精神を含む)の大きなダメージがあるから、それを防ぐために相手を刑罰で威嚇する…という非常に納得がいく同意年齢設定(及び引き上げ)の議論から考えれば、「その相手が青年だろうが未成年だろうが全く関係ない」ということになるだろう。あるいは「まだ社会的経済的に確立されていない状態で家庭を持つと、困難の状態に置かれることになるから」理由とするならむしろ片方が成人だとその問題は小さいことになり………むむむのム。


例えば労働基準法で、〇歳以下は…では働けないとか、あるじゃないですか。働かせた雇用主は罰せられる。その時、どっかのお店が「働き手は十歳。それお店で雇っている店主は13歳」だったら、労働基準法の違反がなくなることはないでしょ(笑)

あるいは、色々な商品やサービスの契約を結ぶ時に、未成年はその契約を結ぶ能力がないものも多いじゃないですか。これらの契約相手が同じように未成年で、年齢差がごく小さい時に「年齢差が〇歳以内なら、その契約は有効になる」ってことはないでしょ。あくまでも絶対的な年齢によって決まっていく。


と言うか「児童ポルノ製造」に関しては加害者が未成年、被害者も未成年であっても、現在加害者は取り締まられているはずだ。児童ポルノって言っても、この場合はなんというのか、交際している相手が「俺のことが本当に好きならその証拠として裸の写真を撮って送ってこいよ」とか、そういう流れでこの法律が適用されることが多い 。
その一事例
https://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment_id=667335&comment_sub_id=0&category_id=256www.chugoku-np.co.jp



と言ったってどうすればいいんだ、という問いに、端的な解決方法(解釈の仕方)を示したツイートが以前あって、あーなるほどねとメモ(ブクマ)しておいたのでそれを紹介する。


【「同意年齢未満動詞」の性交は双方が双方に対する加害者である、という整理】

な、シンプルやろ?
法律的な理屈で考えれば、こっちの方がよっぽど整合性が高いと思う。
その結果、愛し合う14歳だか15歳が、「ともに」捕まり、司法の手で裁かれるということもあると思うが、それは仕方がない話である。法は法なり。

いつも心にジャベール警部(レ・ミゼラブルの無慈悲な法の象徴たるキャラクター)。

※この記事のブクマにも、以下のようなコメントがついた。

「同意年齢」問題、15歳と13歳なら罰するな論は現実的ではあるが、法の整合性的にどーなの?…って話 - INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

現行法上でも、13歳未満同士が性交した場合には互いに相手に対して強制性交をした触法少年にはなる

2021/07/29 08:04
b.hatena.ne.jp







……と言うか、80-90年代ぐらいの例えばフィクションでは「愛し合う少年と少女(性区分は他にもたくさんのバリエーションがあることは言うまでもない)が、未成年であっても性的に惹かれあい、そこで行為にまで至っても、それは純粋な愛の形である」みたいな描かれ方が多かったんじゃないかと思う。それは「三年 B組金八先生」第1シーズンで、一番の盛り上がりとなった「15歳の母」などが典型的だったと思う。その後「新・十五歳の母」シリーズもあったそうで。

#4 十五歳の母・その1
金八(武田鉄矢)は生徒たちと交換日記をすることにした。ノートを一冊一冊生徒に手渡していると、浅井雪乃(杉田かおる)が突然倒れる。

#5 十五歳の母・その2
雪乃(杉田かおる)は妊娠7カ月で、相手は保(鶴見辰吾)だった。金八(武田鉄矢)はとりあえず雪乃を池内家に預け、保には自宅謹慎をさせる。

#6 十五歳の母・その3
雪乃(杉田かおる)は子供を生むと決め、保(鶴見辰吾)も周囲の目に立ち向かう決心をした。金八(武田鉄矢)は、職員会議で特別講演の開催を主張する。

www.tbs.co.jp


逆にに、星里もちる「オムライス」では、19歳の主人公と、当時時15歳だったが同じ19歳だと詐称していたある女生との交際が、青少年保護条例違反に問われ主人公が逮捕され…という、なかなかにホットなシチュエーションも描かれていた。

今井 光(いまい ひかる)
この物語の主人公。実家は島根県の松江で由緒ある温泉旅館『松風荘』を営んでいる。二人兄弟の長男で姉がいる。しかし父親や家業の旅館、そして松江が嫌いで東京に上京してきた。父親と折り合いが悪く後述の事件を起こし勘当されていた。優柔不断だが、写真写りは良い。
大学生のときに19歳と年齢を詐称していた15歳の稲森はるなと交際していたが、青少年保護条例で有罪となった…

f:id:gryphon:20210729071440j:plain
星里もちる「オムライス」主人公は青少年保護条例違反で逮捕されたことも

オムライス (漫画) - Wikipedia

sakurakoji.sakura.ne.jp


しかしこうやってみるとなんかぐるっと一周して、「やはり責任が取れない未成年は、性的な関係性は持つべきではない」という”保守的な価値観”のほうが大勝利ってことじゃないですかね。
大学でダミーサークルがやたら純潔を訴えたあそこの宗教団体のように、文が鮮明になっちゃうよ…って、あれは本人やその子供たちが(後略)


これは法律から離れた道徳論の分野に踏み込むなら、ロミオとジュリエット法」というのは「惹かれ合う同意年齢以下の二人(性別は問いません)が、合意の上で性的な行為を行うのはまったく悪ではない。だから罰しません」というものなのか「同意年齢以下の二人が(略)を行うのは、本当は道義的にも悪であり、お互いがお互いに対して加害者…なのだが、まあ何と言うか、その、いろいろあるので、【特別・例外的に】罰しません」という話なのか、どっちなの?


実は90年代、福島瑞穂(まだ議員になってなかったかなぁ)さんが、はっきり「子供同士のそういう関係はいいと思う」と言明していて、それを宮崎哲弥が批判していたのを覚えている(「宝島30」にて。おそらくデビュー著書「正義の見方」に収録のはずだ)




……繰り返すが、そうはいいつつ 「ロミオとジュリエット法」は、”人情の自然”には、かなり沿った決まりで、実際今回の同意年齢の改正やら何やらがあるなら、ないよりはあったほうがいいんじゃないか、とは大いに思うです。


ただどう考えても、上でつらつら書いたように、「素人目で見ると」ですが、少なくとも「法の整合性」の点ではすごくへんてこで異様なものになるんじゃないかなあ……と思うんです。


専門家の立場からはこれはどう見えるのか、どう説明がつくのか。
知りたいところです。(了)


追加資料 専門家の弁護士,かく語る




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