「『銀河英雄伝説』にまなぶ政治学」という本がありました
ラインハルトに帝王学をまなび、
ヤンの苦悩に民主主義の逆説を読み解く銀英伝には政治学のエッセンスがつまっている!
銀英伝に感化され政治学者になった著者たちが贈る、ファンのための政治学入門。「本書は、『銀河英雄伝説』から政治学者になるきっかけを得た筆者たちが、政治学の専門知識を携えて、現実世界と銀英伝の世界をつなげることを試みたものである。銀英伝には、軍事戦略から歴史学、陰謀、紅茶の楽しみ方までいろいろなテーマが含まれている。読者は、現実世界を通じて銀英伝を楽しみ、銀英伝を通じて現実世界を考える長征に出ていただきたい」(本書より)
2019年9~11月、新アニメ版「銀英伝」が劇場上映!
【目次】
・ラインハルト型リーダーとヤン型リーダー
銀英伝にリーダーシップを学ぶ
・国家権力の「奪い方」
クーデターに学ぶ民主主義の逆説
・「民衆のための専制」はありうるか
ヤンの苦悩から読み解く「民主主義」の意義
・拠点さえ押さえれば勝てるのか
イゼルローン攻略の地政学
・必勝の「兵法」は存在するか
アスターテ会戦に見る戦略/戦術論
・ヤンの信念と現実世界
テロリズムの肯定は可能か
・「正しい」戦争はあるのか
銀英伝に学ぶ「正戦論」とその限界
・銀英伝は何を描かなかったか
戦争の「罪悪」について
・権力者たちを悩ませる永遠の難問
カリスマ指導者たちの後継者問題
もともと、作者の田中芳樹氏が、歴史を題材に「〇〇にまなぶ経営術」みたいな俗流本を出すことを嫌っていて、なにしろパチスロの企画は通ってもそういう公式本の企画は通らなかった、とも聞くし、いろんな推薦文その他でも書いてたはずだ。
ああ、例が見つかったぞ…
(1999年)5月15日の読売新聞に「陳舜臣中国ライブラリー」という本の広告が載っていたのですが、そこに北方謙三氏に並んで田中芳樹の推薦の言葉が載っていました。以下抜粋。
「歴史や人物をダシにして現代人にビジネス上の教訓をお説教するような「中国もの」から、私は何ひとつ学んだことも感じることもない。文化や芸術に無関心な財界人が「曹操タイプ」と自称するような風潮にもうんざりだ。私だけがそうではないということは、陳先生の作品群が多くの読者によって熱く支持されていることで明らかだろう。近視眼的な実利など求めない読者、過去からの語りかけを実感し、歴史の悠久に思いをはせる読者がこんなにもいるというのは、うれしいことだ。」
そして何より、銀英伝の作中にもこういうネタがある。
ハイネセンをはじめとする星々では「ヤン・ウェンリーに見るリーダーシップの研究」だの、「戦略的発想と戦術的発想ーーヤン・ウェンリー四つの戦い」だの「現代人材論Ⅲ ヤン・ウェンリー」だのといった軽薄な題名と無責任な内容の本やビデオがいくつも出版されているありさまだ(2巻)
面白い皮肉だが、自由惑星同盟では再び「ビデオ」が普及しているというところも趣きぶかい・・・・
だけんども、著者たちと編集者はそれを百も承知で、敢えてこの本を書いたらしいんす。それはまえがき、あとがき、で、純粋に作品が好きだった、と書いているところからわかる。
杉浦氏
1973年生まれの私(杉浦)が銀英伝に初めて触れたのは、まだ80年代の中学生の頃だった。新書サイズのノベルズ版銀英伝を書店や古本屋で買い集め夢中で繰り返し読んだのを覚えている。…銀英伝を読むうちに次第に軍事だけでなく政治にも関心を持つようになった……日本の政治をただなんとなく当たり前のものと思っていた筆者にとっては深く考えさせられるそして同時に大変「面白い」問いだった。それから私は日本や世界国の政治に関心を持つようになった。
大庭氏
杉浦さんと同じく私が銀英伝に出会ったのも中学生の時でした…中学1年(1988)の時に目にした OVA のチラシ、「常勝の天才」対「不敗の名将」とかかれた宣伝文句に惹かれ、また多くの同年代の子供達と同じように「三国志」が好きでもちろんガンダムも好きであった私は銀河系を舞台にした戦いのスケールの大きさに何とも言えないロマンを感じました。…私が手に取った1988年の時点で、本編は完結していた(1987)ということで遅筆を公言されている田中芳樹先生の完結していない他の作品と違い、一気に読み進めることができました……知人に貸した1巻から5巻はついぞ手元には戻ってきておりません
それに、確かに銀英伝はこの種の思考実験のネタになり得ることは、当方の「ジェシカ論法(※下リンク参照)」への問いだけでも、間違いなく証明できる…と少しく自負している(笑)
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だから、この本も・・・・・・・・正直な意見をいう。
「これで、面白ければ、よかったんだけどなあ」だ。
だが、それは単に「not for me」だったのかもしれない、とだけは言っておこう。
イゼルローン回廊の話題から現実の世界での「チョークポイント」はどこか、とか、アスターテ会戦からランチェスターの法則を解説するとか、現実のタイのクーデターと救国軍事会議を比較するなど、いろいろ話題があるのだけど、食い足りないところでした。
「シャーロック・ホームズ入門百科」(河出文庫)
2年前、2019年に出た本。
小林司氏は2010年にはなくなっているが、東山氏はご健在のようで、底本を小林氏が書いた部分もあるとのことで名義はまだ2人で出すようである。こちらの本を読んだときも正直「うーん」という感じで絶賛はできない…が、その理由はすぐに分かった。ここに書かれている情報を、自分はほとんど執筆2氏の旧著で学んでいたからだ(笑)。
そういう点で、not for me だったけれども、「お二人の書いたものを、自分はかなりの部分で血肉化できましたよ」という喜びとともに、not for me だったと報告できるのでありました。
もし、他のシャーロキアン研究書を読んでいない人には、文庫であることもあり、非常にいい入門書であろう。
とくに、ホームズ譚に出てくる食事風景と料理については、一覧的に紹介されるのは非常にありがたいことでありましたでしょう。
「ウルトラセブン」4Kリマスター、次は2月の「セブン暗殺計画」に注目
2月2日火曜NHKBS4K 午後11時44分~ 午前0時10分
(39)「セブン暗殺計画 前編」
セブン暗殺をたくらむガッツ星人は、セブンの戦いを監視して分析。ダンは変身を警戒するが、星人らの追撃にやむなく変身。戦いの末、十字架にはりつけにされてしまう。1967年に地上波放送された『ウルトラセブン』を初の4K化・国内初放送!怪獣アロンと戦うウルトラセブンを探るように見つめる複数の眼。それは地球侵略をたくらむガッツ星人がセブンを倒すために能力を分析していたのだった。そしてセブンを公開処刑して人類に精神的ダメージを与えようと画策していた。ダンは変身を警戒するが、ガッツ星人の追撃にやむなくセブンに変身。しかし戦いの末にはりつけの身となってしまう!
自分このまえ「ウルトラ警備隊、西へ!」を紹介し、次は「超兵器R1号」だな…と思っていたのだが、怠慢と不注意で紹介し得なかった。ウルトラマンZにもつながるという、特に今は重大な作品だったのに、まことに申し訳ない。
確かこの時期は製作費が切迫しかけて、それで怪獣などの出てこない「実験作」が増えたという説も聞いたことがあるが、それでも頑張った「暗殺計画」はやはり押さえておきたい。
BS日テレ「大王世宗」、ついに!21日木曜日から「ハングル編」突入!!
午後1時から。
第75話 新たなる決意
お忍びの視察に出かけた世宗は、奴婢チョンドゥンに刃を突きつけられる。主人殺しの罪を着せられたチョンドゥンは、世宗に汚名を晴らしてくれるよう頼む。彼は字が読めないために無実の罪を着せられていた。彼の無実を証明するために奔走する世宗。そんな中、明では9歳の新皇帝が誕生する。チョンドゥンの無実は証明されるが、多くの民が文盲であることに心を痛めた世宗は誰もが読める文字の創設を心に誓う。
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結果的に三回も書いてたか、この話。
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…1時間で毎日放送して全86話。さすがにちょっとたいへんなので、ドラマにおいてこの「ハングル編」として見たらどうだろうかと
とくに歴史ドラマだと、ナチュラルにネタバレというかだいたいは分かるから、見所だけうまく選ぶのアリだと思うのです