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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

『鬼滅の刃と月齢』話題だから「風雲児たち」11巻の、天文学と数学を語る箇所も読め!(※ここ、無料で読めます!)

はい、話題でございますね
news.yahoo.co.jp

b.hatena.ne.jp

これが話題になるのはさもありなん。

自分は最初のブクマに、こう書きました(たぶん消して、この記事の紹介リンクを張りなおす予定)

「月の形」は考証してはまれば面白いけど、多くの作品では考証してないってオチになるからねえ。特に太陰暦を使ってた時代劇だと重要なのだけど。
2020/11/18

実はこのブクマには、元ネタ的なものがあるのです。
それはこちら。
今回は、これを紹介すれば足りる。

風雲児たち 11巻 (SPコミックス)

風雲児たち 11巻 (SPコミックス)


で、実に偶然ながら、ラッキーなことに、このくだりが(リイド社版では)コミック11巻の冒頭に来ているので、電子書籍の「試し読み」紹介ページの中に収まっているんだ!つまり、読めちゃう。

www.cmoa.jp


読むための基礎知識
・ここで語り合っているのは、最上徳内とその妻。最上徳内、ご存じですね。日本の北方探検史に不朽の足跡を残した人だ

最上 徳内(もがみ とくない)は、江戸時代中期から後期にかけての探検家・江戸幕府普請役。出羽国村山郡楯岡村(現在の山形県村山市楯岡)出身。元の姓は高宮(たかみや、略して高(こう)とも)。諱は常矩(つねのり)。幼名は元吉。通称は徳内、億内。字は子員。鶯谷、甑山、白虹斎と号した。父は間兵衛で長男。妻はふで(秀子)、子は2男3女。生年は宝暦5年(1755年)とも[1]。

実家は貧しい普通の農家であったが、学問を志して長男であるにもかかわらず家を弟たちに任せて奉公の身の上となり、奉公先で学問を積んだ後に師の代理として下人扱いで幕府の蝦夷地(北海道)調査に随行、後に商家の婿となり、さらに幕府政争と蝦夷地情勢の不安定から、一旦は罪人として入牢しながら後に同地の専門家として幕府に取り立てられて武士になるという、身分制度に厳しい江戸時代には珍しい立身出世を果たした(身分の上下動を経験した)人物でもある。

家業を手伝い、奥州各地をまわりたばこの行商などをしつつ独学で学ぶ。26歳の時、父が死去し、翌天明元年(1781年)には江戸へ出る。幕府の医官山田図南の家僕となった。奉公しつつ医術や数学を学び、29歳の時、天明4年(1784年)には本多利明の音羽塾に入門し、天文学や測量、海外事情にも明るい利明の経済論などを学ぶ。長崎への算術修行も行っている[2]。(後略)
ja.wikipedia.org


・↑というよーな経歴のある人なので、この人に妻が「あなたが学んだ数学(算術、算学)って何なんですか?」「それはこの時代(江戸時代)どんな意味を持つのですか?」と尋ね、それについて答える中で、話が自然と「天文学・暦」の話になるというわけ。

つきましては、上にリンクを張った、ここの無料立ち読み部分を読んでほしいのですが、ついでに何枚か画像を張っておこう

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風雲児たち11巻 数学について
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風雲児たち・数学について(無印11巻)
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風雲児たち・数学について(無印11巻)
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風雲児たち数学について 無印11巻


実はこの作品のこの箇所を紹介するのは初めてではない。正直、なんどもやってる(笑)。寄せてはかえす波の音。
この前は「天地明察」と、金環日食にひっかけての紹介だったのさ。
その時の文章を再録しよう。

この大河作品(「幕末篇」と分けて考えるなら新書サイズの旧版で30巻)の、わずか5ページである。しかし、
どうして、そしていかに、人々は数の謎を捜し求めたのだろう。
どうして、そしていかに、人は暦を欲したのだろう。
どうして、そしていかに、数学は遊戯と実学の境を行き来したのだろう・・・

すべてが、この5ページに凝縮されている。名人の技、ここに至る。
年甲斐もなくまどか☆マドカのパロディやっているジジイってだけじゃないんですよ、あのジジイは(笑)。


風雲児たち」は少なくとも自分にとっては、この作品で完結するのではなく、他の世界に興味を持ち、調べる「入り口」、急な山をロッククライミングするときの「手がかり」「足がかり」になったという面が大きい。これはこの作品を単に「お手軽な学習漫画だ」と言っているわけではない。(素晴らしい学習漫画であることも間違いないけど)それとはちょっと違って・・・まあこのへんは言葉にするのが難しいので省略します。


だが、まだ「天地明察」を未読の読者は、上の5ページの漫画をぜひ読んでほしい(というか該当巻を読んでほしい)。こういうバックグラウンドを知った上で天地明察を読むと、主人公も、その脇役たちも、時代そのものも、はるかにクリアで奥行きのあるものとして楽しく読めると思います。
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もうひとつ、これも持ちネタ。天文現象から計算すれば、紀元前の戦争終結日までも特定できる…という話(fromアシモフ

…日食というものの面白いところは一定の法則と原理を働かせて計算すれば、予言も予測もしやすいことですね。
文明が進んでいくと、とくに呪術的な意味合いから、「合理的な呪術(神学)」となり、さらにグレると科学に身を持ち崩す。
中国でも江戸期の日本でも、どこでも頭のいい人やある程度の天文学者は日食は計算できていた。


そして、さらに面白いのは、「過去にいつ起きたの」かも計算できるということ。
実はそういうことを計算する学問(天文歴史学?)というのがあるそうです。

その実に偉大な成果は
日食記録として有名な、メディア国とリディア国がまさにこれから戦争をしようというとき、一天にわかにかきくもり、崇拝する太陽が見る見るうちに消え、世界が暗闇につつまれたからさぁ大変。神の怒りだと両国は即座に講和条約を調印、そのまま両軍引き換えしつかのま平和が守られた・・・・というエピソードです。
ひょっとしてこれが、ひと昔前の冒険物語で使い古された「人食い人種(※差別的な当時の風潮を知るため、一部当時の表現を使用しております)につかまって、あとは煮られるのを待つだけだったが、そこで日食が起こって冒険者が逆に魔法使いだと崇められる」とういうパターンの根拠になったのかもしれない。
だがそれはともかく、天文歴史学の力でこれを計算すると、

紀元前585年5月26日

であることが分かるという。
マスカラスやブッチャーの実年齢さえ分からないほど歴史には謎が多いが(笑)そんな中で、紀元前の話が「何月何日に起こった」と分かるなんてとっても痛快で楽しいことではありませんか。

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