INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「ダンピアのおいしい冒険」新作/英王立協会の標語は「言葉によらず」。

https://soupbowlnigou.tumblr.com/post/186046139725/%E3%83%80%E3%83%B3%E3%83%94%E3%82%A2%E3%81%AE%E3%81%8A%E3%81%84%E3%81%97%E3%81%84%E5%86%92%E9%99%BA-web%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%9E%E3%83%88%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%BD%E3%81%AB%E3%81%A6%E9%80%A3%E8%BC%89%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99
soupbowlnigou.tumblr.com


うち、9月発表の新作は第6話。

matogrosso.jp

twitterにかいた自己流紹介文を再掲載しよう

ジャングルで困窮した一行は、現地のインディオに物々交換を持ち掛ける。しかし、これは喜ぶ!と予想した斧も刀も見向きもされない。万事休す、となりかけた時に、ある品物が…

という話(※この挿話は、物語の中で進行中の冒険とは違い、そこで回想されたその前の冒険の話です)。それは「意外」であると同時に「人間の集団である以上、時代も地域も超えてさもありなん」とも感じられて微苦笑もさそわれる。


過去の「ダンピア」紹介記事。
m-dojo.hatenadiary.com
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とこ
ろで。


ひとつ前のエピソードで、主人公ダンピアは、「あなたの航海記録は貴重だ、王立学会に投稿したら?」と言われて、非常に複雑な反応を見せる。

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ダンピアのおいしい冒険より 王立学会を巡る複雑な感情
matogrosso.jp

王立協会。
しかし、当時本当に上流階級の大科学者様が、一介の船乗りの手記などを軽視する風潮があったとしても…この17世紀において、知を集約させ、発見者に「一番乗り」の公的な名誉を促すことで、知識にブーストをかけるということを思いついた、その発想は本当に偉大なもので、イギリスがその後、日の没することなき帝国を築き、世界に功と罪をまきちらした(笑)ひとつの要因でありました。

ウィキペディアにある、以下の記述が、本当に詩のように美しいので、一度紹介済みだけど再紹介しよう。

モットーは"Nullius in verba"(ラテン語で「言葉によらず」)。これは古代ローマの詩人であるホラティウスからの引用で、原文は"Nullius addictus judicare in verba magistri"(「権威者の伝聞に基づいて(法廷で)証言しない」)。つまり、聖書、教会、古典などの権威に頼らず証拠(実験・観測)を持って事実を確定していくという近代自然科学の客観性を強調するものである。
英語表記の Royal は、国王の許可を得て設立されたことを示すもので、元々は会への不当な干渉を防ぐためのものであった。国王が直接の資金援助を行った、あるいは設立に関与したわけではない。
ja.wikipedia.org

モットーは「言葉によらず」。
これだけで、泣カザル者士ニ非ズ、であります。
過去記事はこちら。一部だけ抜粋して「再放送」を。

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(前略)

ニュートンとフックは17世紀に早くも「発見の先陣争い」をしていた

ロバート・フック ニュートンに消された男 (朝日選書)

ロバート・フック ニュートンに消された男 (朝日選書)

まんが医学の歴史

まんが医学の歴史

などがありますが、後者を紹介。



(※この本、僕が今後ともタネ本にする予定なので、あまり読まないように(笑))


フックさんはバネの研究「フックの法則」や顕微鏡、ニュートンは引力やら錬金術、というふうなイメージがありますが、実はジャンルがかぶっていたのでした。

フックのほうがやや直情径行な面があり、ニュートンは基本的に穏やか。その結果ニュートンハレー彗星のハレーなどの協力者を得て科学界での権威、権力を増し、最後は貴族院議員にもなる。
政治の分野でも、貴族院の議事録をひもとくと、「議長、窓を開けてください」という発言が残っているという(笑)…なんでも、議員としての発言はこれだけなんだって(笑)。

でもでも、そういう才人たちの名誉と嫉妬が絡んだ高踏ならざる競争が、のちの産業革命を用意した。
『真理さえ、この自分が知ることができればいいではないか。なぜ名誉を求めて「これは俺が発見したんだぜー。世の中にはこういう法則があるんだぜー」と世間に触れ回る必要があろうか』
という謙虚な人ばかりが知識人であってはどうしようもない。

あ、その寓話が「梵天勧請」なのか。
(後略


こちらの記事も、一部を抜粋して「再放送」

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逆にこれでもキャベンディッシュのようなシャイなひとには響かず、ほとんどの成果を未発表にして、「世界最大の才能の無駄遣い」をさせてしまったりした

陽のあたらない坂道 (新潮文庫)

陽のあたらない坂道 (新潮文庫)

のだが、それでもその効果は明白。
自分は江戸時代にタイムスリップしたら、脚気治療の名医として活躍しつつ(「米ぬか食え」でOK)、お殿様に説いて江戸の都に「特許庁」と「将軍立学会」を設立し、その事務局の仕事で食っていきたいと思っている。



■日本算術の「算術絵馬奉納」
しかし、「学会」までは発明できなかったとしても、日本算術は独自に、なかなかいい線をいっていた。
<「風雲児たち」より>

「答えを載せない問題集」か、センスいいね。togetterのハッシュタグ大喜利みたいなもんでもあるんじゃなかろうか。
しかし……

だが、さらにしかし。
やはり「真理は万人によって求められることを自ら欲し、芸術は万人によって愛されることを自ら望む」(岩波文庫)。下のコマの「神棚に供える」は、いつしか、「天地明察」のオープニングを飾る名場面…神社の奉納絵馬というものも生み出したようだ。

有名無名を問わず、自ら発見した解法や、考え付いた問題を絵馬にして、奉納=発表する。作中では渋谷の「金王八幡宮」とあるが、実在の神社だろうか。

最後に、学会は文明を発達させる!と強調した「シビライゼーション」はエライ!

あれを設置すると、科学ポイントの蓄積が2倍になるんだっけ?話していると新作やりたくなるんだよな…
え、いま最新版これ? おれ「3」までしかやってないよ…