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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

高島俊男を読む

行き帰りの最中、読んでいたのが高島俊男
最新刊の「本と中国と日本人と」(ちくま文庫)、その前に出た「お言葉ですが…8」を読む。

彼も、講談社エッセイスト賞を「本が好き、悪口いうのはもっと好き」で受賞した際は、近藤のデビューと同様に、「とつぜん現れた脅威の新人」・・・という目で見ていたのだが、実はそれ以前にも専門分野、周辺分野、要は中国関係では知る人ぞ知る存在だったんだね。

しかし、新人にせよ下積みを摘んでいたのにせよ、その後着実に存在感をまして押しも押されぬ存在になったことは似ている。こじつけだな。

彼の文章の味わいについては後日の課題として、氏の文化論が魅力的なのは、いったん中国語、シナ文化…一見似ているようで全く違う文化…を見ることを通し、「世の中には、違う文化があり、どこまでいっても理解できない溝があるのだ」ということをより深く、心の奥底から感じている点だろう。
だから、他者を他者として距離をおいて見ることができる。
それでもその視線は温かい、いや、距離を置いた”ゆえに”温かい。

「日本人の中国に対する、いわれのない一体感、安易な親近感、あるいは負い目の感覚は少しも減じたようでない・・・むしろ相異こそが主要であり決定的なのだ」
(本と中国と・・324p)

「お言葉ですが8」より自戒のためメモを


「彼は日本の現状を憂いている」という言い方などは間違い。
なぜなら「憂い」は連用形であり、正しくは「憂えて」でなければならないから、だそうだ。ここで単なる薀蓄、トリビアに収まらず日本文化論、言語論に深くつながっていくことが、高島学(「高島氏の学問」で、高島マナブ氏のことじゃないぞ)の真骨頂か。