本日をもって、『ゲキドウ』は打ち切りになりました。ネーム原作を担当していました。
— ココカコ/メッタメタ感情まみれ定食 (@kokokako2024) March 12, 2026
期間にして約9ヶ月半、全35話。週刊連載作品にしてはかなり短い尺での完結ということになりました。…
本日をもって、『ゲキドウ』は打ち切りになりました。ネーム原作を担当していました。期間にして約9ヶ月半、全35話。週刊連載作品にしてはかなり短い尺での完結ということになりました。
”元高校球児が高3の春から高校演劇の世界に入っていく”という少し変わった筋書きの漫画でしたが、最後まで読んでいただいた方々本当にありがとうございました。打ち切りになった理由は、シンプルにコミックスが売れなかったからです。それはそれは、もう口がポカンと開きっぱなしになってしまうほど売れませんでした。
”打ち切り”という概念があることは当然知っていましたしそれなりに説明も受けてましたが、それが実際どのように決まり、どのように伝えられるものなのか知らなかったので、
1巻を発売して2週間と経たぬうちに担当編集の口から「打ち切り」という言葉が出始めたことに僕はかなり面喰らいました。え!?そんな早いの!?ちょちょちょちょ、ちょっと待って!こっからなんだよ!と編集に縋りつきたい気持ちになりました。
実質、縋りついてるに等しいような駄々の捏ね方をしてる情けない時間もありました。
でも、自分と同じくらい(時に自分以上に)悔しがる担当編集のその意気消沈っぷりを見ると、
これ以上足掻いてもどうしようもないんだという絶対的事実が、徐々に心に染み込んできました。
その日、定例の打ち合わせが終わった後、
連載スタートに際して越してきたまだまだ綺麗な1Kの中で、ぼんやりと天井を見上げていました。
商業漫画の世界の厳しさを顔面に叩き込まれたような気持ちでした。最初から難しいテーマであることはわかっていて。
それでもせっかくの初連載、「全力のスイングでバットを振りきれるものを書いた方がいい。」という話を担当編集として、ずっと心にあった題材をそのまま丸裸で描くことに決めました。
いざ連載が始まってみると色んな事情や色んな拙さと絶え間なく直面し、今まで簡単に口にしてきた”全力のスイング”という概念を実現すること自体の難しさを知りました。
売れる売れない以前に、もっともっと頑張らないと漫画家は書きたかったものを書き切ることすらできないのだと知りました。『ゲキドウ』自体は面白い漫画だと今でも自分では思っていて。そう思えているのはかなり幸運なことだなと思っています。
インプレッション数や部数の点では終始苦しい数字が出ていましたが、ありがたいことに毎週熱い感想をいただき、その空間にはずっと確かな熱があったように思えました。連載終了が明かされた時も想像以上に惜しんでもらい大変嬉しかったです。特に打ち切りが決まってからは徐々に、
連載生活にも慣れ雑念も消え、”全力のスイング”に近い状態になれたような気もしてます。
”勝ち負けの呪い”について描いている漫画が打ち切りになるという事態は客観的にかなり面白く、ポエティックで、自分としてもかなり特殊で色濃い執筆経験ができました。
(打ち切りは大体22話あたりを執筆している時に確定しました。そこから読むと、めちゃくちゃ打ち切りの話をしているので面白いと思います。)
そういう意味でも”狭く深い”面白さは一部実現できたと思いつつ、ただ同時に、漫画原作者として生きていくにはこの水準ではまるで足りてないのだろうとも強く思いました。「漫画は途中離脱が簡単なエンタメだから、最後満足できるだけじゃダメなんだ。掴みからオチまでずっと読者の心を掴まないといけない。」
この手の論は漫画に携わろうとする人間は必ず初期の初期に聴く話ですが、今その論の真の重要性に心の底から腹落ちしてる感覚があります。
エンタメには各ジャンル固有のコストがあり、『ゲキドウ』はそのコストの支払いが足りなかった。ということだと思います。その結果が、打ち切りです。例え僕が自分自身の筆に満足できていても、
打ち切りになってしまったら、
この作品のため尽力してくれた作画担当の三澄さんや担当編集には申し訳が立たないし、
ゲキドウを応援してくださっていた皆さんには結果残念な思いをさせてしまう。
どのくらい売れることを目指すかは個人の美学によるとして、一度書き始めた漫画は必ず書き切れた方がいい。書き切れるくらいの普遍的面白さは、漫画家としてきちんと世間にお届けするべきだ。
これが、今回の一番の後悔であり同時に学びでした。話が行ったり来たりしていますが、
改めて『ゲキドウ』は面白いと思います。
だけど全然売れなかった。
今僕は、この二つの事実の間を毎日行ったり来たりしています。
そしてその行ったり来たりの末に、
ひとまずは完結記念として、『ゲキドウ』全話を期間限定で無料公開をしてもらうことにしました。(今日から1週間です。)
『ゲキドウ』にはさまざまな拙さがあり、漫画として支払うべきコストが未払いになっている作品です。
だから、お客さんから充分なお金を頂くには至らないという結果が出た。
しかし同時に、非常に高い熱量で「面白い」と断言してくださる方も少なくない作品でした。
だからこそ、もう少しだけ多くの方々に読んでもらえる機会が欲しいと思いました。「売れなくて当然」でも「面白いじゃん」でも、どんな感想がもらえるのか気になります。
その想いで最後にわがままを言いました。無料で、一気に最後まで読めます。
連載で最後まで追ってくださった方々、途中まで読んでくださった方々にも改めて読み返していただけたら大変嬉しいです。良ければ、少し拡散していただけるとこの上なくありがたいです。
一緒にこの打ち切りを楽しめたらいいなと思ってます。
打ち切りって、やっぱり面白いと思います。改めまして、『ゲキドウ』を読んでいただきありがとうございました。
4月17日には3巻と最終4巻が同時発売されます。
3巻のあとがきと4巻のあとがきも先週書き終わったのですが、この文章以上に具体的で濃い文章になってますのでぜひお手に取ってみてください。
(細々やってるpodcast「メッタメタ感情まみれ定食」も来月イベントやりますので良ければ来てください。『ゲキドウ』のこと、全て話し切ろうと思ってます。)皆様の感想一つ一つがエネルギーでした!
次回作も頑張ります!
それではまた!!
午後4:02 · 2026年3月12日
·
64万
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第一話
ゲキドウ
tonarinoyj.jpうーん……かなり、いい作品だと思ってたんだけどな。
その証拠に、2025年漫画10傑に選んでて・・・・
といってリンクを張ったその先、年末で忙しくて
アー最初は作品名と一話へのリンクを張って、感想はあとから書くわ―
と、思っていてそれをサボってたことに気付いた。その時ちゃんと文章をかいて褒めていれば……なんの影響もねえな。
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もうひとつ、
自分がNHK「ドラマ10」のプロデューサーになったつもりで、今の漫画からドラマ化したいものを選ぶとしたら?
という回の時も名前を挙げていた。
演劇、芝居という設定は、あまり強みがない世界観なのだろうか。「ヤンジャン」ではなく、もっとこう作品テイストがマッチした媒体もあったのだろうか。
なんとも、当方は判断しようがない。
買い支えたりアンケートを送っておけばよかったのだろうか。
ただ「次回作にご期待」も必要だろうが、35話、全4巻でも、これから評価を受ける可能性は十分にある(それは内容が、そうだからである)。
むしろこのまとまり方は、ドラマや映画にはしやすいという部分もあるのではなかろうか。
まずは、そちらの方面で、何ができるのか考えていきたい。(俺が何ができるかといえばできないんだけど)
そして、この話にも続くので、もし興味あれば。
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最後にひとつ、琴線に触れる話をするなら、高校演劇を描くこの作品の中で「山月記」が登場する。

強豪野球部でスタメンの座を勝ち取り、甲子園に立った真柴縁太郎は高校3年の春、突然野球部を辞める。突然の退部に周囲が困惑する中、演劇部に所属する猪井いのりと田辺このかは真柴が抱えている感情にドラマを見出し、声を掛けるのだった―…。
演劇部に入部した真柴縁太郎は、新入部員を集めるための部活動紹介で一人芝居をすることになった。劇では、真柴が強豪野球部でスタメンを勝ち取り甲子園に出場した後、突然野球部を辞めるまでの一部始終が語られる。“勝つために”自分自身を追い込み続けた真柴だが、ある時どこからともなく虎の声が聞こえて―…。


