埋め込み形式でご紹介。
ああ、徐暁冬氏の話が特集されているのですね...
— 中国武具刀剣bot (@Chinaswordbot) 2020年11月29日
番組を視聴されて興味を持たれた方に届けば良いなと思いつつ
この「総合格闘技VS中国武術」の件について補足情報をいくつか書いていきます(ツリーに続きます)
「真実への鉄拳〜中国・伝統武術と闘う男〜」 - NHK https://t.co/YkdcgzAgou
1. 番組中でも言っているのですが、徐氏の主張は「中国武術に実戦性はない」ではなく、厳密には「中国武術には(本物とは別に)ペテン師が多い」です
— 中国武具刀剣bot (@Chinaswordbot) 2020年11月29日
これは小さな違いに感じるかも知れませんが、
徐氏は自身の活動を「打假(ニセモノ打ち)」と称し(続)
(承前)彼が試合の相手としてターゲットにする人物は、伝統武術界隈の視点でも実力や師伝関係に疑義のある人物に集中しています
— 中国武具刀剣bot (@Chinaswordbot) 2020年11月29日
一方で摔跤(中国の伝統組技武術)からMMAに転向しベルトを獲得経験のある姚紅剛氏(写真)など、数名の伝統武術出身者には「本物」として敬意を表明してきました pic.twitter.com/2FVdHz1x5Y
自身の配信番組で姚紅剛氏(写真左)をゲストに迎える徐暁冬氏(兜を着用) pic.twitter.com/6FVFpNF1Jz
— 中国武具刀剣bot (@Chinaswordbot) 2020年11月29日
徐氏が一躍有名になったのは「総合格闘家VS太極拳の達人」の試合ですが
— 中国武具刀剣bot (@Chinaswordbot) 2020年11月29日
この「太極拳の達人」であるところの魏雷氏は「雷公太極拳」という自身の名を付けた門派を名乗り、気功に近いような技の実在を擁護するなどメディア上でのパフォーマンス的言動の目立つ方でした
2. アイコンとしての徐氏に付くファン(及びアンチ)は、上記の氏の主張や活動とは少々ずれた位置にいます
— 中国武具刀剣bot (@Chinaswordbot) 2020年11月29日
日本語では出羽守などが近いでしょうか、自国の伝統や国民性に強い反感を覚える層は常に存在します
「格闘家が武術服の武術家を打ち倒す」場面のインパクトはそうした層を強く惹きつけました
(承前)結果として、徐氏本人の前記の主張とは別に
— 中国武具刀剣bot (@Chinaswordbot) 2020年11月29日
「全ての中国武術はニセモノである」という、そうした層の主張のアイコンとして徐氏が祭り上げられる事になりました
一方で同じように「中国武術全体を否定された」と感じた著名なカンフー俳優や武術家もまた、激烈な反応を彼に対して示しました
(徐氏はビッグマウスによるパフォーマンスを身上としているので、そうした反応のかなりの部分は意図通りとも言えますが)
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(承前)こうした反響に反応する形で、番組でも描かれたように彼に対する「封殺」が発生しています
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背景として上記の武術側著名人が文化振興政策に関与する人々であった事、
そして政府が「誰かがアイコンとして祭り上げられる」「反中国文化的言論が加熱する」事自体を強く警戒している面があります
3. 出羽守的ファン層と愛国右翼的アンチ層(+政府)の対立の白熱とは別に
— 中国武具刀剣bot (@Chinaswordbot) 2020年11月29日
伝統武術の世界から彼に一定の支持や理解を示す層も存在します
試合形式の練習や武術動作を活かせる統一競技ルールの制定といった活動を行う、近代格闘技とも親和性の高い武術道場、グループが近年は出現しており(続)
(承前)そうした界隈はSNS上で伝統武術の擁護と並行して、徐氏の主張とある程度一致する「ペテン的・神がかり的武術」への批判を行っています
— 中国武具刀剣bot (@Chinaswordbot) 2020年11月29日
4. 余談ですが、個人的意見としては徐氏の活動には「上手いことやってるな」と同時に「狡さ」も当時感じていました(最早政府が出てきたせいでそうも言ってられなくなりましたが)
— 中国武具刀剣bot (@Chinaswordbot) 2020年11月29日
「打假」のコンセプトには合致するものの、つまるところ彼が挑戦する相手というのは神がかり的であったり(続)
4. 余談ですが、個人的意見としては徐氏の活動には「上手いことやってるな」と同時に「狡さ」も当時感じていました(最早政府が出てきたせいでそうも言ってられなくなりましたが)
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「打假」のコンセプトには合致するものの、つまるところ彼が挑戦する相手というのは神がかり的であったり(続)
(承前)師伝関係が確かであっても明らかに試合慣れしてない演舞中心の人であったり、試合慣れしてても階級がいくつも下の人であったり
— 中国武具刀剣bot (@Chinaswordbot) 2020年11月29日
様々な理由で「冷静に考えたら勝てるに決まってる」人を狙って因縁を付けてるようにも当時感じていました
最も、彼自身ヘビー級かつ「アマチュア」と言いながら過去の経歴的にはほとんどセミプロに近いというのもありますが
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一方で太極拳出身で現役キック選手のハン・フェイロン氏の挑戦を拒否した事も
5. 本来、今年の3月頃には徐氏と八極拳の仇宝龍氏(写真右)の試合が予定されていました
— 中国武具刀剣bot (@Chinaswordbot) 2020年11月29日
仇氏は徐氏が友好的に接する革新派の伝統武術家の一人であり、初めての「打假」ではない親善試合、かつ年齢階級も同等とあって期待していたのですが、
「封殺」かそれともコロナのためか立ち消えになっています pic.twitter.com/Hl1uLBAbI2
いずれにしろ、中国版・柳龍拳事件(これも日本で起きた興味深い出来事なので検索してみて下さい)とも言えるこの一連の出来事が、中国では更に「愛国」という要素が絡み、伝統武術界の様々な側面を照らし出したと言えます
— 中国武具刀剣bot (@Chinaswordbot) 2020年11月29日
以上、ここまでお付き合い頂きありがとうございました
もう一度、再放送情報を。
BS1スペシャル「真実への鉄拳~中国・伝統武術と闘う男~」
[NHKBS1] 2020年12月03日 午前10:00 ~ 午前10:50 (50分)
中国で、伝統武術が揺らいでいる。総合格闘技を修めた男が「武術は実戦性がない」と否定し、武術家たちに連戦連勝。だが、闘いはリングの外にも広がった。果たして決着は。
エピソードへ
出演者ほか
【語り】遠藤憲一詳細
カンフー映画などで馴染み深い中国武術。その権威が今、大きく揺らぎ始めた。全く異質の総合格闘技を身につけた男が、「中国武術は実戦の役に立たない」と真っ向から否定。これに反発した武術の達人たちを、軒並み撃破したからだ。その強さと率直な物言いで、熱いファンを獲得している総合格闘家。しかし、その行く手に思わぬ壁が立ちはだかった。果たして闘いの決着は……リングの外にまで広がったバトルの行方を見つめる。
放送予定 - BS1スペシャル - NHK