40歳にならんとしている桜庭和志が、ゼルグ”弁慶”ガルシックの拳の嵐に耐え、愚直なサブミッションで勝利を文字通りもぎ取った。
「弁慶」に勝利するには、♪ここかと思えばまたあちら・・・のヒット&アウェー方式だと京都の五条大橋の前例は伝えていたが、こんなやり方もあるんだ(笑)
http://tsudureya.blog51.fc2.com/blog-entry-1283.html
・・・こういう試合があるから格闘技観戦はやめられない。
試合後のマイクを含めて桜庭の良さが出まくった試合だったんじゃないでしょうか。
なんか生きていく勇気というか元気を与えてもらえた気がします。
この試合こそ勇気のチカラじゃないですか。
もはや往年の強さは戻らないといわれていた選手が、強さを見せ、結果を残す。
今回の10月興行で、それができなかった光景もみた(後で書く)ので、より美しかった・・・。
ただ、勝利の価値は宝石のように輝いているものの、ふたつ論点がある。
それは、わたしのよく書くたとえだが、文字通り今回の勝利は「桂馬(※跳びぬけた一点を持つ選手の特性)が銀将を取った!」的な勝利だよなあ、ということ。ゼルグをランク的に銀将とさせていただきました。
「これに勝ったから次はメイヘムだジャカレイだとなると、ちょっと違う」というササヤンのお言葉、それは確かに正しいと思うっす。
そういえば煽りビデオなどでも、「桜庭は衰えた、それは認める。ではそれに見合う相手って?」がテーマで、これはもはやタブーではなかった。ついでにルビン・ウィリアムズはいくら何でもアレだった・・・というのは主催者含め、みんな思いが共通しているっぽい(笑)。
次はグレイシー、というのも、
http://d.hatena.ne.jp/lutalivre/20091026#1256540848
でいうように結果的につりあうなぁ、という感想を持つ。
もうひとつ。
http://www.nikkansports.com/battle/news/p-bt-tp0-20091026-559480.html
によると、セルグは86発のパウンドを桜庭にあの体勢から落としていた。
MMAにおいて、相手は渾身の力を込めて関節技を絞り上げ、こちらは動きを止めた相手に打撃の雨を降らせる・・・という光景はまま見られる。
格闘技を「決闘」の立場で見たら、最終的に極めた以上はそれを続行させた判断が正しかった・・・ということになる。止めるというのは「極められずに戦闘不能になることが予想できて、その前に止めた」ということじゃないと認められん、との考え方というか。
しかし実際の考え方としてはどうだろう。ああいう場面でそれでもなお極めることが可能でフィニッシュだ!というのは10回に1回の割合で、そのために残り9回、本当はもっと早く止めてよかった場面であそこまで粘らせるのが正しい、ってことになると厄介だ。
まあ「レフェリーが一番の至近距離から、『まだ桜庭はやれる』と見たので止めなかった。レフェリーの知識と経験と判断力のたまものです」というならそれに反論しようもないのだが。
桜庭の、HERO'S登場初戦なんかが否応なくダブるが、あのときストップが遅いと批判した前田日明なんかはどう見てたのかな。
関節技なんかで完全に極まってないのに見込み一本をとるような競技もあって、その場合「極まっていようがいまいが、その体勢に入られたこと自体を負けとみなしているんです」というような考えがある。桜庭が最終的に極める位置を保ち、余力があろうが「弁慶が86発のパウンドを落とせた、その体勢に入られたこと自体で負けなんです」というふうな発想で止めるというのも、仮にあったらそれはそれでひとつの理屈という気はします。その裏返しで、弁慶の一本負けを、その前の段階で「その形に入られたから」といって宣言するって考えもありそうだが。
さらに言えば、武田幸三があの試合で、最後の最後に逆転の一発を当ててKO勝利でもしていたら、「あそこまで武田の負けを宣告せず、彼の闘志を感じ取って完全燃焼させたレフェリーはすごい!」となるのか、どうか。
前田日明は角田信朗とは仲がいいが、レフェリングの話を聞くなら武田戦のレフェリング評価も語ってもらいたい。
と、これを書き上げたら
http://d.hatena.ne.jp/N-Hashimoto/
がアンテナで浮上していた。そのコメント欄に・・・・・・
BJCペン 2009/10/28 02:41
KamiproMove拝見させて頂いております。よくぞレフェリングについてハッキリ間違いだ、認められないと書いて頂けました!
あれ、毎週水曜更新のkamipro携帯サイト・橋本コラムがもうUPされている。まさに当方が今書いた話と、テーマが重なっていましたよ。
■武田幸三引退試合について
「レフェリーは武田のダウンを取らなくなる。明らかにダウンに見えるシーンが2度あったのだが・・・」
「レフェリーはダウンを宣告せず、立ち上がるように促したのだ。どう見ても変だった」
「これが”思惑”に見えてしまうのだ」
「”引退試合で最後までたち続けた武田”という感動的な場面を”演出”しようと・・・」
「これは格闘技への、というより人の命への冒涜だ。」
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■桜庭vs弁慶について
「弁慶のパウンド連打で、本当にストップしなくてよかったのか」
「物議をかもしてしまう内容だったことは間違いない」
「思惑を感じてしまう人がいてもおかしくはない」
ちなみに、「ジャカレイ戦やメイヘム戦はおかしい」というササヤンコメントに対しては、納得した私とは違い
「ちっともおかしくないだろう。選手は強さと勝利を追求するものだ。(略)まさか笹原さん、桜庭がジャカレイやメイヘムとやってもファンは興奮しないと思っているんだろうか」
と異議を述べている。