INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 報道、記録、文化のために

「国勢調査」は非協力者が増え続けて精度が落ちるのでは…との懸念。自分は解決策思い浮かばないが、どうすればいい?

自分は今年の国勢調査済ませました。

ところで

togetter.com

ここの後半に、国勢調査員体験者の体験漫画がある。


※開けばツリー形式で続きが読めます

日本に薄く広く(厚く広くか?)「漫画が描ける一般人」が散らばっていることで、こういうその人の経験、本職、専門知識が漫画形式で提供されていく(それも自然発生的に)のは、日本の得難い財産であるとつくづく感じる。以前もこれを評価し、そのアーカイブ的なものを造ってほしい、という提言なんかもしてましたね。



ただ、それが本題ではなく…これも以前から書いていた話だけど、社会に個人情報保護の概念が浸透していき、また「権威」に恐れ入らない、無条件に従わないような個人主義的なスタンスが浸透すると(ともに大変いいことです)「国勢調査、保健所の感染症経路調査、メディアの世論調査」などが最終的に機能不全を起こすだろう、という話です。


これについてはこの前…昨年か、自分が保健所から、食中毒の経路調査のための電話を受けた経験などを交えてかきました。
m-dojo.hatenadiary.com




ただ、国勢調査についての懸念は、15年前にさかのぼる。
m-dojo.hatenadiary.com
m-dojo.hatenadiary.com

懲りない右派の国勢調査トンデモ陰謀論
http://newsweekjapan.jp/stories/us/2010/04/post-1144.php
Why Karl Rove Agreed to Cut a Pro-Census TV Spot

医療保険改革の次に右派が社会主義批判の対象に選んだのは10年に1度の国勢調査。馬鹿げた陰謀論が飛び交うなか、保守派の重鎮カール・ローブが意外な行動に
(略)
 オバマ政権が10年に1度の国勢調査のために調査員を大量に投入するなか、右派のウェブサイトでは「国勢調査共産主義全体主義への第一歩だ」という陰謀説が本気で盛り上がっている。・・・保守派キャスターのミシェル・マルキンも、民主党が永続的に議会で過半数を維持するための「洗脳工作」に国勢調査が利用されていると主張している。

これは町山智浩氏のコラムでも読んだ話。
http://wiredvision.jp/archives/200209/2002090401.html

・・・昨年8月7日(現地時間)にオーストラリアで行なわれた最新の国勢調査では、7万509人――人口の0.37%――が自分の宗教を「ジェダイ」と回答した。また、昨年3月6日(現地時間)にニュージーランドで行なわれた国勢調査では、同じく「ジェダイ」と記入した人が5万3715人――回答者の 1.5%――に達したという。
(略)
 『オーストラリア・スター・ウォーズ鑑賞協会』(スター・ウォーキング)の代表を務めるクリス・ブレナン氏は次のように話す。「結果には大変びっくりした。われわれは、たぶん2万〜2万5000人が『ジェダイ』と回答すると予想していたが、その数倍もあった」

 オーストラリアとニュージーランドの多くの人々は、キリスト教イスラム教、ユダヤ教ヒンドゥー教などの伝統的な宗教がますます現在の世界にそぐわなくなっているために、ジェダイと回答したのかもしれない、とブレナン氏は考えている。

 「伝統的な教会に対して『あなたがたはわれわれの望むものを提供してくれない』と訴える1つの手段だったのだ」とブレナン氏は言う。
(略)

オーストラリア統計局とニュージーランド統計局は・・・信じる宗教はジェダイだというような国勢調査での回答が、重要な公共サービスに関するコミュニティーの意思決定に混乱を招く恐れがあると懸念しているのだ。
(略)
ジェダイと答えるような回答は調査業務を妨害する以外の何物でもないと考えている。そして次回の調査までにジェダイ教信者が改宗してくれることを望んでいる。
(略)
イギリスの国家統計局が国勢調査において、調査票に宗教はジェダイと回答するための欄を設けたのだ。

国勢調査陰謀論、はいかにもアメリカ、という気もするが、いわゆる底流として流れている「反連邦主義」、お上には頼らない、だから関わってもほしくないという独立自尊のフロンティアスピリットとも関係があるだろう。だからそれが、超先進国なのに住民情報・国民情報の「把握」が難しく、福祉、教育、公衆衛生に影響を与えている、という点でも繋がっている。


いい悪い抜きにして、国勢調査って今まで「正確な統計は福祉の向上、民主主義に資するものであるから自発的に協力をするのである」で回答してた人もそうはいまい。
「めんどくせーし煩わしいけど、お上のやること(それで来るのは近所の○○さん)だからなぁ…」で回答してたんだと思う。
お国の威光も、近所の○○さんとの義理もなくなりゃ、回答率は下がる。


そして詐欺電話のノイズと、それへの警戒感…回答率が上がる理由がない。

むかしのアメリカンジョーク

共和党議員で選挙に強く、連戦戦勝を続ける男がいた。かれに選挙の必勝法を尋ねた。
「地道な、日々の積み重ねですよ。
レストランでもタクシーでも、絶対にチップを払わず、傲慢で無礼に振る舞います。
そして最後に『民主党に投票しろよ』と付け加えます」


いや、国勢調査を装う詐欺訪問
保健所を装う詐欺電話
世論調査を装う詐欺電話
警察を装う詐欺電話



……こういうものの結果、「本物」にも警戒感が高まり、協力を皆渋り、精度が落ちる。
実はそっちが目的、ということだってありえるんじゃないか(笑)

「ボス、警察を装う振り込め詐欺、最近は成功率が落ちましたね…」
「なに、それで本物の警察の問い合わせや協力依頼も、上手くいかなくなっている。一石二鳥さ…」



とりあえず問題は、解決不能です。自分の頭では、これをうまくいい方向に導ける政策は思いつかない。
ただ、近日中に訪れるか、ポストに書類を入れてもらうだろう国勢調査(員)には、もちろんその身分を確認した上で、協力的になってあげてください…

国勢調査を逆に「思想的に拒否する!」という信念がある人はまぁよし。

国勢調査を個人情報保護の観点から拒否する