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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

相次ぐ”活人事件”?超高齢者の一部は年金欲しさに死亡届が出ないだけか(高齢者偽装生存問題)

http://www.j-cast.com/2010/07/30072355.html

戸籍上111歳で東京の男性最高齢とされていた人とみられるミイラ化した遺体が見つかった。不思議な事がいくつも重なっている事件だが、キーワードのひとつは「死者の年金」だ。調べてみると、過去にも家族の死亡を届け出ず年金を家族が詐取する事件が相次いでいた。

「日本中でこうしたことが起きる可能性があるかも」。情報番組「スッキリ!!」(日本テレビ系)のコメンテーター、テリー伊藤さんは2010 年7月30日の放送でこうつぶやいた。番組は、東京の「111歳」ミイラ事件で、死亡男性あてに振り込まれた妻の遺族共済年金約950万円について、不正受給・詐取の疑いがあるとみて警察が捜査している、と・・・

実は1年か2年前だろうか、「日本で100歳以上の人がXXXX人突破」という記事にまつわるブログか何かで、上の事件のように「実は相当部分が、既に死んだけど年金が欲しい周辺の人が死亡届を出してないだけなんじゃないか」という文章を読んでいました。
ほう面白いなと「いつか書くエントリー候補」に貯蔵していたんだけど、実際の文章を書く前に、こういう大きな事件として取り上げられましたね。やや残念だ。また「振り込め詐欺」や「セクハラ」のように、現象としてはずっと前からあり時々事件化されていたんだけど、注目を浴びてなかったという面もあるようです。


自分が、1年ほど前にこの話題に引っかかったのは、こういう小説を以前読んでいたから。
(※註:以降は、Kという作家のあるミステリー作品を紹介し、トリックにも触れます。知りたくない人は避けてください)




覆面作家は二人いる (角川文庫)

覆面作家は二人いる (角川文庫)

覆面作家の愛の歌 (角川文庫)

覆面作家の愛の歌 (角川文庫)

覆面作家の夢の家 (角川文庫)

覆面作家の夢の家 (角川文庫)

このうちのどの本に収録しているかは忘れた、すまん。
この作品は主人公がいささか現実離れした、とっぴなキャラクター性をもっており、そういう点ではライトノベルに近い味わいがあるのかもしれない。
その一方で、北村薫だから当然ミステリーの骨法はおろそかにはしておらず、そういう点でも大した作品です。


この中のどこかに殺人事件ならぬ「カツジン事件」を扱った話があるんですわ。
ちょっとややこしいからざっくりと、デティールはぼかして書くけど
(ネタバレ注意を再度警告。OKな人だけ読んで)

・都心で商売をしている親子の職人がいる
・そこの二代目の妻も、嫁入り後に仕事を手伝うようになった
・彼女には才能があり、あるオリジナル作品を制作。
・義父の主人が「おまえは天才だ!それにひきかえわしは修行が足りん、出直す」といって家を出て行く。
・二代目の奥さん「わたしのせいで家がばらばらに…」と苦悩。

んで、いろいろ調査、推理した結果・・・「死期の近い病気を悟った親父さんが、『バブルの真っ最中に俺が死んだら相続税が払えず、ここの土地建物を手放してしまう。せめてバブルが終わるまで、生きていることにしたい・・・』と、死を悟らせないように家を出た」
というのが真相だったという。

バブル時代の狂乱地価のせいで、自分たちが望んでもいないのに地価があがり、それゆえ相続税もぐんぐん上昇するとか、「長年ここで商売をしてきた。そこで続けたいだけなんだ」という慎ましやかな動機とか、偽装生存の協力者が幼馴染だとか、実は、今回現実に起きた事件と比べると、この”加害者”に対して同情的にさせるような工夫が丁寧にされており、ミステリー作者の面目というかさすがプロは違うわ、と、実際の事件が起こってみてあらためて感服しました。

死という個人的なことが、死亡届という権力の強制に服するまで。


本日話題になった”113歳女性”のほうは、年金取得もまったくなくてまったく別の事件らしいのだけど、人の生死を行政=公権力がすべて把握する社会についてもあらためて感じた。
今日、あさのワイドショーで「行政は何をやってるんだ!100歳超えた人は、役所の人が直接あって確認するようなことをやらないと」と鳥越俊太郎氏が吼えたのに対し、弁護士コメンテーターが「いや、法律は家庭に入らずですよ。結婚だって死亡だってまずは家庭が正確に届けるべきで、結婚のときに書類を淡々と受け付けず『ほんとに二人が一緒になるんですか?』という役所はいやでしょう」
そんなやりとりがありました。


もうひとつの年金詐取かもしれない事件、こっちで家族のコメントの中に「おじいちゃんは即身成仏をしたいと言っていた」というのは不謹慎ながら苦笑した。
けど、実は私もひとつのシミュレーションとして、「いまの日本で、チベット仏教に深くあこがれた人が、家族に『わたしは鳥葬で葬られたい・・・どうか最後の願いをかなえて』と遺言したら?」
と以前考えたことがありました(笑)
わたしに文章力やストーリーテリングの才能があれば、小説化できたかもしれない。だが結局、遺族の誰かが、手が後ろに回ることは避けられないよね(何か方法があるかな?)


結婚や死や生を、公の行政権力が把握することは福祉や教育の面からいって、近代国家である以上必須だと思うけど、ただ「行雲流水、誰にも煩わされることなくどこかですっと死んでいきたいものだ。」「つうか、俺が俺であることを政府からも隠し、まったく謎の人物になりたいものだ」と、そういうロマン的なものを私はちょっと感じたりする。ポストがダイレクトメールでいっぱいになったときなど特に(笑)

無名化はともかく、
「俺んちのことはほっといてくれ!いちいちお上には知られたくねぇ」という独立心旺盛な人たちは、アメリカでこんなことをしている。
http://newsweekjapan.jp/stories/us/2010/04/post-1144.php

懲りない右派の国勢調査トンデモ陰謀論

Why Karl Rove Agreed to Cut a Pro-Census TV Spot

医療保険改革の次に右派が社会主義批判の対象に選んだのは10年に1度の国勢調査。馬鹿げた陰謀論が飛び交うなか、保守派の重鎮カール・ローブが意外な行動に
2010年04月06日(火)17時44分
マーク・ホーゼンボール(ワシントン支局)


 オバマ政権が10年に1度の国勢調査のために調査員を大量に投入するなか、右派のウェブサイトでは「国勢調査共産主義全体主義への第一歩だ」という陰謀説が本気で盛り上がっている。

 だが4月5日、右派の意外な有力者が国勢調査を強力に擁護した。ブッシュ政権で次席補佐官を務め、オバマ政権への辛口批判で知られるカール・ローブだ。

 全米の地方テレビ局で5日に放映された国勢調査のCMでローブは、アメリカで初めて国勢調査を行ったのは、彼が歴代大統領の中で最も尊敬しているジェームズ・マディソン第4代大統領だったというエピソードを語っている。「合衆国憲法の執筆者の一人であるマディソン大統領は、国会議員を公正に選出するために10年に一度の国勢調査を行うよう憲法に明記し、民主主義の手段を作り出した」

 さらに、ローブはこう続けた。「国勢調査票を送り返していない人も、まだ間に合います。どうか10の簡単な質問に答えてください。この質問は、マディソンが作成に関わった1790年の初の国勢調査とほぼ同じものです」
・・・(略)・・・
 ローブのCM出演は、オバマ政権が国勢調査を悪用するという突飛な噂が飛び交う最中に・・・・・・

日本でも実は、国勢調査への協力がどんどん低下しているという。これはオートロックマンションその他が理由で、上のような確信犯的な国勢調査拒否は少ないだろうが、要は行政府に対して一般の国民が「律儀」に何かをやっていくという基盤がある程度ゆるくなっている気はする。
それは「お上におそれいる、盲従する」といった感覚が少しずつ薄らいでいくというプラスの反作用かもしれないし、たんに「ずぼら化」が進んでいるだけかもしれない。
ただ、われわれの生死も含めてすべては行政=権力が把握する、そんな社会をわれわれは基本的に支持して、そんなところに生きているなぁとあらためて思いました。

【追記】1年前「たかじんのそこまで言って委員会」がこの問題を予言したらしい

http://d.hatena.ne.jp/Taka-NX/20090927/p2#
で文字起こしされている

辛坊「(略)――これ、ちょっと恐ろしい話なんですが――、最近ちょっと事件が結構あるんですけど、中高年、仕事がないと。で、だんだん世代が下にいくほど年金制度が悪くなっていくわけですよ。ね。とすると、自分の親の代のほうが年金はずっと高い。何が起きるかというと、その下の世代が親の年金で飯食うてる人がものすごい社会的に増えてきてんです。この人たちにとって一番困るのは、親が死ぬことなんです。親が死んだら年金もらえなくなるんです」

宮崎哲弥「じゃ、死亡届出さないんだ?」

辛坊「死亡届出さないんです」

一同「はあ〜〜」

辛坊「死亡届出さないんです。で、これね、見つかりゃ犯罪ですよ。見つかれば犯罪ですが、見つからない限りはそのまま入ってくる」

ざこば「役所はよう見つけんわな、アホやから」

辛坊「さらには80、90ぐらいになってくると、年が親の世代なのか自分の世代なのか、もうようわからんようになってくるわけです。で、韓国みたいに全員の指紋取ってるわけじゃないから、その人が本人なのか、その人の息子なのかも、なかなかわからない」

今日私、厚生労働省に電話したんです。なんで電話したかというと…。あの100歳以上、今年日本で発表になったのが40399人なんですよ。厚生労働省に今日私電話して、「この人たちは本当に生きてるんですか?」って厚生労働省に聞いたんです。そしたらその担当の方は「多分、生きてないと思います」」

一同「えーっ!」

辛坊「はっきりそう言いました。「どういうことですか?」って聞いたら、この40399人というのは住民基本台帳に載ってる100歳以上の人で、実は――今回はまだ4万ぐらいだから追跡調査ができるんで――自治体がひとりひとり確認に行ったら、確認できた人は、21603人なんです」

たかじん「半分や」

辛坊「だから、「それ以外の人は生きてるかどうかわかりませんなぁ」。だから、実は4万というのは参考データで、確認取れてる100歳以上は、2万人、(住民基本台帳上の100歳以上のおよそ)半分なんです」