「私たち作家が困惑しているのは、今、人々の中に強くなっている、この「正しい」ものだけを求める気持ちだ。コンプライアンスは必要だが、表現においての規制は危険である。」
— 岩波書店『世界』編集部 (@WEB_SEKAI) January 9, 2023
桐野夏生「大衆的検閲について」は、ジャカルタで開催された国際出版会議で行われた基調講演。#岩波世界 pic.twitter.com/vMQC3iMgOR
「あたかも人民裁判のごとく過去を裁くには、人権的配慮も必要なのに、その配慮を誰もしなくなったのはなぜか。なぜ急に日本は、そして世界は、そのようにモラリスティックな「正義」を行使するようになったのか」(桐野夏生「大衆的検閲について」『世界』二月号) pic.twitter.com/Ii6XEWR15N
— 河野有理 (@konoy541) January 20, 2023
「私たち作家が困惑しているのは、今、人々の中に強くなっている、この「正しい」ものだけを求める気持ちだ。コンプライアンスは必要だが、表現においての規制は危険である。その危険性に気付かない点が、「大衆的検閲」の正体である。」
— 河野有理 (@konoy541) 2023年1月20日
「私の中にある、もうひとつの懸念と危惧は、これまで一緒に表現の自由を守るために闘ってくれた、強い絆で結ばれた出版社が、読者を獲得するために、これらの「大衆的検閲」に協力するのではないかという怖れである」
— 河野有理 (@konoy541) 2023年1月20日
あー、大衆的検閲……
たぶん、「日没」と繋がる話だ。
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■推薦のことば
これはただの不条理文学ではない。文学論や作家論や大衆社会論を内包した現代のリアリズム小説である。国家が正義を振りかざして蹂躙する表現の自由。その恐ろしさに、読むことを中断するのは絶対に不可能だ。
筒井康隆息苦しいのに、読み進めずにはいられない。桐野作品の読後には、いつも鈍い目眩が残ると知っていても――。自粛によって表現を奪い、相互監視を強める隔離施設。絶巧の文章が、作中世界と現実とを架橋する。
荻上チキ個人的な価値観、個人的な言葉、個人的な行動をもとにして作品を創る。それは自由への具体的な希求であり表現だ。その基本がいつの間にか奪われ拘束される。『日没』は桐野夏生でさえ越えられない身のすくむ現実がすぐそこにあることを告げる。
石内 都絶望の中でも光を探すことができる、と教わってきた。だが、この物語にそういう常識は通用しない。読みながら思う。今、この社会は、常識が壊れている。どこに向かっているのだろう。もしかして絶望だろうか
武田砂鉄
しかしまぁ、「大衆的検閲」とは剣呑な造語ですね。