【ドバイ=矢野恵祐】国際環境NGO「気候行動ネットワーク」は3日、温暖化対策に後ろ向きな国に贈る不名誉な賞「化石賞」に日本を選んだと発表した。
COP28の会場では、各国の代表者らが連日、気候変動対策を議論している(2日、UAE・ドバイで)=AP
同NGOは発表で、日本が脱炭素につながるとして、水素やアンモニアを化石燃料に混ぜて火力発電所で燃焼させる「混焼」を推奨していることを挙げ、「環境に優しいように見せかけているだけだ」と批判した。
この賞については、こんな論評も出た
私はなぜ化石賞に関する報道に、毎年飽きずにコメントするのか
COP(気候変動枠組条約締約国会議)に関する報道では毎年、「化石賞」を日本が受賞したと必ず報じられます。事実ですからこれを報じることもメディアの役割でしょう。
岸田文雄首相演説に「化石賞」、COP28で環境団体 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
ただ、受賞した、日本はダメだ、批判されているというだけでなく、どういう団体がどのような理由で日本を批判したのか、その批判は妥当なのか、について多少の検証が必要ではないかと思います。
毎年書いているように、化石賞は、会場の片隅で環境団体の若者が、2週間の会期中毎日イベント的にやっているものです。彼らの声を軽んじるわけではありませんが、選定の基準も定かではなく、理屈として首をかしげることも多い。そもそも気候変動は先進国のせい、というのがこの世界の立て付けなので、米豪加日あたりが持ち回りでもらうもの(環境NGOの多くは欧州勢が強い)。
comemo.nikkei.com
そして今、こんな賞の選考(投票)が進行中
ミソジニーオブザイヤー2023
「ジェンダー平等社会にふさわしくない男性著名人や政治家等の言動に関する世論調査2023(通称:ミソジニー・オブ・ザ・イヤー2023)」の投票フォームです。
この調査は、話題になった著名人や政治家等による女性差別・女性蔑視等の言動の中から、今年の「ワースト」を皆の投票で決めることを通じて、ジェンダー平等の問題に日頃アンテナを立てている人々の問題意識を可視化し、アンテナの弱い男性向けの啓発活動に今後役立てることが目的です。
中立的な調査を行うため、基準に関しても私たちでは設けず、投票者の方々にお任せしております。たとえば一番社会的に問題だと思う言動を選ぶのでも、一番気持ち悪いと感じた言動を選ぶのでもOKです。ぜひご投票ください。
投票は一人3票までで、4票以上あった場合は無効となりますのでご注意ください。締め切りは2023年12月24日(日)24時です。発表は26日(火)前後を予定しております。FAQはページ下部に記載致しました。
「中立的な調査」とのことだが…
ノミネート一覧(※ 3名のみお選びください)
(略)
Q2.自分が投票したい案件が無かったのですが、ノミネートはどのようにしてチョイスしたのでしょうか?
A.現在私たちは『ジェンダー平等社会にふさわしくない男性の言動事例集』のデータベースを制作しておりまして、有志メンバーや外部から通報のあった言動を順次追加しています。現在通報件数は約200件ですが、今回の調査をするにあたってその全てを対象とするのはあまりに多過ぎることから、事前に制作有志メンバーを中心に予備投票を行って絞り込みました。それゆえ、通報されていない案件および予備選挙で得票が無かった案件に関してはノミネートされないような構造となっております。そのようにシステマティックに運用しておりますので、誰か特定の人間が意図的に省くということはありません。また、通報チームが発足したのは2023年の夏ごろですので、2023年前期に関しては情報の収集が不十分である可能性は否めません。通報チームは今後も追加メンバーを募集することでリサーチ力を強化し、少しでも多くの言動を登録していきたいと思っております。
まあ、よくあるよくある。
今回はブクマでも、いろいろな意見が出ている。
[B! フェミニスト] 【投票しよう!】ミソジニー・オブ・ザ・イヤー2023
で、自分が思うに…「化石賞」がなぜその団体の規模や信頼性以上に大きな扱いになるかといえば、やはり普通に「まだ”批判的な賞”というもの自体がそもそも珍しく、それだけでニュース価値があるから」という、単純な分析でいいと思う。
映画のラズベリー賞だって、やはり規模以上の話題性があるといっていいのではないか。
ja.wikipedia.org
だから、「ミソジニー・オブ・ザ・イヤー」も含めて、こういう批判的な賞に関しては「もっと双方向に、質の上下も含めていろんな形の『批判的な賞』が誕生し、年末とかに毎回、双方向にその賞を『ぶつけ合う』状況になればいいな」と思っています。おお言論の自由市場万歳。
その後は、それぞれの賞がふさわしいニュース性を党派・市場によって評価されていくだろう
この話、2007年に既にかいていた。
「批判のための賞」について
ちょっとまた、話がわき道にそれる。
今月の「論座」には医療特集として
http://opendoors.asahi.com/data/detail/8539.shtml
医師ブログ言説を憂うという、記事がある。反響を知りたいところなので、今、栗岡氏のキーワードを作成した。
はてな内では医者のブログというと
http://d.hatena.ne.jp/Yosyanなどを知っていて、勉強になる。
こういうところは、既存メディアにのった論説への批判エントリも多い。
さて、上の賞とどうつながるのかというと、映画「ラズベリー賞」や、週刊文春がそれに学んで制定した「文春きいちご賞」、また、いろんな雑誌でやっている
「女が嫌う女性タレント」とか「抱かれたくない男」とかですね。つまり、否定、批判を「賞」という形にして出すことで注目を集める手法。
成功するものも、失敗するものもあるようだが。
上では、単に私が知っているリンクを上げただけだが、もうちょっといろんなところの医者ブログを集めて(ブロガーじゃなくてもいいんだけどね)、組織を作ってだ。
そんで、「既存メディアの言説批判」なら、「今年、最も誤解を招いた医療記事賞」「最悪医療報道賞」みたいなのをどーんと発表したらどうだろうか。
まあもちろん「ブロガーは、結局匿名だから本当に医者かどうかだって分からない」というようなことを大義名分に無視するかもしれない。その場合は、実名で医療批判に反批判している現役医者やジャーナリストを前面に出した組織がいいのかもしれないが。
ま、もし、ブログの中でだけの話題であってもそれがひとつの話題になれば、メディアにも徐々に「感染」していくと思いますよ。
m-dojo.hatenadiary.com
こういう不名誉な賞について、河野有理氏がコメント
勝手に「不名誉な賞」を授与する系のムーブメント、化石賞もそうですが、「誰を候補者にしてないか」がむしろ気になってしまいますね。
— 河野有理 (@konoy541) December 12, 2023
運営と仲良しだとかなりのことをやらかしても候補リストに入らない一方で、運営が敵対していきたい側だと極めて軽微でも堂々とリスト入りというようなことが仮にあるとすると、周りの人は鼻白んでしまうでしょうからね。
— 河野有理 (@konoy541) December 12, 2023