生涯で、「王様のブランチ」なぞを情報源にすることがあるとは思わなかった(そもそも見ていないし)。だが本日、偶然つけたチャンネルが知らないうちに同番組で、こういう本を紹介していた。
■推薦のことば
これはただの不条理文学ではない。文学論や作家論や大衆社会論を内包した現代のリアリズム小説である。国家が正義を振りかざして蹂躙する表現の自由。その恐ろしさに、読むことを中断するのは絶対に不可能だ。
筒井康隆息苦しいのに、読み進めずにはいられない。桐野作品の読後には、いつも鈍い目眩が残ると知っていても――。自粛によって表現を奪い、相互監視を強める隔離施設。絶巧の文章が、作中世界と現実とを架橋する。
荻上チキ個人的な価値観、個人的な言葉、個人的な行動をもとにして作品を創る。それは自由への具体的な希求であり表現だ。その基本がいつの間にか奪われ拘束される。『日没』は桐野夏生でさえ越えられない身のすくむ現実がすぐそこにあることを告げる。
石内 都絶望の中でも光を探すことができる、と教わってきた。だが、この物語にそういう常識は通用しない。読みながら思う。今、この社会は、常識が壊れている。どこに向かっているのだろう。もしかして絶望だろうか
武田砂鉄
■著者のことば
私の中の「書かなくてはならない仕事」でした。
桐野夏生
こういう話は自分が親しんだ、好んだ昭和SFのテーマでもあるのですっごく興味深い。
- 作者:筒井康隆
- 発売日: 2014/11/30
- メディア: 単行本
- 作者:かんべ むさし
- メディア: 文庫
- 作者:ジョージ・オーウェル,高橋 和久
- 発売日: 2012/08/01
- メディア: Kindle版
- 作者:ジェームズ・クラベル
- 発売日: 1988/07/20
- メディア: 文庫
- 作者:ジョージ・オーウェル,高畠 文夫
- 発売日: 2015/01/30
- メディア: Kindle版
筒井康隆と武田砂鉄と荻上チキ各氏が推薦文を寄せる。 「戦前の再現」的な話か、「ポリコレ/キャンセルカルチャー」話か??両者ともに共通するのか?
岩波書店から出ているのだし、前者の話一色で論じれば整合性がぴったりなのだが、何を間違ったか筒井康隆に推薦文を依頼したから、否応なくこの系の話にも連想が言ってしまうのであります。
というかね、「王様のブランチ」で、内容を一部紹介していたけど、そこで表現された、一種の敵役の振る舞いや言動が、戦前の特高や検閲官、隣組を描いた作品以上に、この本の…
ここにインタビューで登場する岩波書店の伝説的アイコン(にして、著名な金日成崇拝者でもある)安江良介氏のふるまいをほうふつとさせたんだよ(笑)
同番組の紹介では、作品中の作家が書いた小説の「暴力や犯罪」が問題視された、的に言われていて、ダイレクトな政府批判が…ではないようだが、ここは読んでみないと。
まあ、とにもかくにも紹介。そして機会あれば自分も、ぜひ読んでみたいです。
関連して読んでほしい過去記事