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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「顔認識カメラ」に関して、政府が有識者会議を発足/歯止めは必要。だが、その間に「競争者」が、歯止め無しにどんどん進歩し続けたら…

顔の特徴から個人を特定する顔認識カメラの画像データについて、国の個人情報保護委員会(個情委)は規制を強化する方針を固めた。現在は主にデータの利用目的の公表義務にとどまるが、データの保存期間の明示などを求める案を検討する。

 顔認識データについて、個人情報保護法は氏名や生年月日などと同様、取得時の本人同意は不要としている。利用目的の公表義務は定めているが、詳細なルールは同法のガイドラインに関する説明文で、顔認識データの利用目的や問い合わせ先の明示がカメラの設置場所に必要との見解を示しているだけだ。

 だが、顔認識カメラは民間事業者による利用が……(略)
www.asahi.com

こういうニュースは重要です。ほんとに重要です。

ただ、「ネットリテラシー壱ノ型」でいうと、政府などの「検討委」とかのニュースが出たら、まずその委員会が直接リリースしているテキストを見てみろ、です。

ぶっちゃけ、観たって無味乾燥で退屈な文章だけだったりして面白くないけど、たとえば委員の顔ぶれとか、そういうのも一興。

犯罪予防や安全確保のためのカメラ画像利用に関する有識者検討会の設置について(案)

1.目的
顔識別機能付きカメラの高性能化及び低価格化に伴い、事業者が容易に、犯罪予防や安全確保のために、顔識別機能付きカメラを利用することが可能となっている。
顔識別システムは、カメラ画角内に特定の人物が存在しているか瞬時に自動で把握できることから、犯罪予防の観点からは有効なシステムである。他方、遠隔で個人を識別することが可能であるという技術的特性上、その運用次第では、受忍限度を超える個人のプライバシー侵害等を生じさせるリスクをはらむ。
このような犯罪予防や安全確保のためのカメラ画像の利用については、我が国においては未だ社会的なコンセンサスが形成されておらず、また海外においても、適切な利用の在り方が模索されている状況にある。
当委員会としては、これまでも、顔識別機能付きカメラ利用に係る一定の考え方を示しているところではあるが、上記のような内外の動向も踏まえ、公共空間における犯罪予防や安全確保のためのカメラ画像の適正な利用の在り方について、有識者個人情報保護法上の観点含め多面的にご議論いただき、包括的に整理を行うこととする。
2.検討内容
・顔識別システムの利用が有効かつ必要であると考えられる場面
個人情報保護法に基づいて求められる対応
・事業者の自主的取組として推奨される対応
・その他推奨される取組(認定個人情報保護団体制度の活用等)
3.検討会構成員
別紙参照。
4.スケジュール(予定)
令和4年1月に第1回会合を開催。同年夏頃に中間取りまとめ。
(以上)
資料 3
(別紙)
犯罪予防や安全確保のためのカメラ画像利用に関する有識者検討会
構成員名簿
【構成員(五十音順)】
生貝 直人 一橋大学大学院法学研究科准教授
石井 夏生利 中央大学国際情報学部教授
遠藤 史啓 神奈川大学法学部准教授
菊池 浩明 明治大学総合数理学部専任教授
宍戸 常寿 東京大学大学院法学政治学研究科教授
新保 史生 慶應義塾大学総合政策学部教授
巽 智彦 東京大学大学院法学政治学研究科准教授
星 周一郎 東京都立大学法学部教授
森 亮二 英知法律事務所弁護士
山本 龍彦 慶應義塾大学大学院法務研究科教授
【オブザーバー】
警察庁
総務省
法務省
経済産業省
国土交通省
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/211222_shiryou-3.pdf

なんだ、大屋雄裕氏って入ってないのかよ。

…と、そんな感想を持つこともできる。メディア的有名人はいないのかな。

にしても、顔認識は、そこから「もしその技術を、〇〇に活用したら?」みたいな発想が、ほんとにいろいろと素人でも考え付く。そういう質問や想定を広く募れる、そんな枠組みがあればいいな、と思う。



一方で、こういうことも思う。

この顔認識規制は、EUでも先行しているように、確かに人権やプライバシー、監視への抑制などの問題から、”民主主義社会においては”どこかで歯止めがかけられるだろう。それはおそらく当然だ。

……だが、先ほど”  ”で示した、そんな規制のない、非民主主義体制……ぶっちゃけて言えば中国、ロシアなどにおいて、EUや日本でガチガチに規制を固めて…自然に技術進歩にブレーキが掛けられる状態を横目に、どんどん社会(どこかで政府の独占的なものになるだろうがー--)で顔認識が活用され、その結果として技術進歩自体に格段の差がついていくのではないか………既に中国は、顔認識においては極めて高度な技術を企業が蓄積しているとも聞くし、そこで集めたデータをどんどん研究にフィードバックもできる(もちろんプライバシーの歯止めはない)という……。
さらに言えば顔認識、顔認証は「手ぶらで改札パス」や「雑踏の中から指名手配犯を発見」のような、利便や治安向上にも間違いなく使える技術なのだ。

研究を進め、進歩を権威主義体制に劣らずさせつつ、プライバシーは民主主義社会らしく守っていく…難しいものだ。



ここから過去の考察集、リンク集になっているので、上の話をもう少し詳しく読んでみたい方はよろしければ。

m-dojo.hatenadiary.com
・『撮影』という行為はそもそも、近代の法律の基礎が固まったあとの新概念である。そして、他者危害の原則からいって、何も触れない、壊さない「撮影」は、ほぼ「なにもしてない」というのと同じ扱いになってしまう。その一方で、実際上は一種のパワー、暴力、権力である…だから、なんとか整備したつもりでも時々バグが発生する。



・一種の「超能力」「魔法」なのである。都会の大雑踏から、駅の構内から、一人の人物を発見するなんて。「十分に発達した科学は魔法と見分けがつかない」のまさに実践、「魔法が実現した社会」なのだ。(だから自分は興味あるんだけどね)
 

・それは…「この人ごみの中だ、誰にも俺のことはわかるまい」という…「都市の空気は自由にする」と言われた時代から1000年ぐらい続いた「社会の前提」をぶち壊すことにつながるのだ。いい面でも悪い面でも。

(略)

・あなたは、「ご自宅のインターホンを鳴らした人物が、前科のある元犯罪者・強引な悪質訪問販売でクレームが多い人物かどうか一瞬でチェックします!」という機能がついたインターホンカメラが発売されたら、使いたいですか?絶対に使わないですか?




・トロンの生みの親、板村健氏が「顔認証を全国システムで活用すれば、『徘徊高齢者の行方不明』の多くが解決する」と毎日新聞で2014年に提言したりしていた。これに賛成?反対??
(後略)