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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

西森博之新連載が超絶反ポリコレ(児童誘拐の肯定的描写)で微笑。ワンルームで幸せ色になってくれ



性格には「Sサンデー」に既に発表済みで、それを本誌でも出張掲載した、ということらしい。


http://otomens.com/books/256196.htmlotomens.com

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カナカナ 西森博之「不幸な子を理屈抜きで保護した。そこには法を超えた正義がある」という話(ワンルーム系…?)


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んで、内容紹介したいんだが、本題前に一件。(ややネタバレ含む)
第1回を読む限り、メインテーマ的には

1・心とか未来を読める超能力を持った、テレパスの子がいる。
2・その子は能力故に、多くの人々の「醜い本心」を知り、やや人間不信になっている
3・しかし、とある、底抜けに善良or正直or率直な子がその子の前に現れ、その壊れそうな心を支えてくれる

というのが基本設定です。
これと似た設定、SFは「すこしふしぎ」経験だけで止まってる俺でも「あー、あー、聞いたことある読んだことある」な設定ですよ。てか、いまでもネット連載漫画のあそこと、別のメジャー系少年週刊誌でやってるし、サブストーリー的設定ではサンデーにもあるわけだし……
広く言うと、このくくりにも大きく収まる。
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だが、まさにこれこそ
「1作2作ならパクリと言われるが、それを超えると『ジャンル』になる」という、「とり・みきの『ジャングル大帝の法則』」の、まさに典型例なのではないかな???
と、そういう次第です。つまり物語のテンプレ化というか…


さて前段階は終えて、ようやく本題へ…でも、これも「物語のテンプレ」の話と無縁ではない。


さっき紹介した「カナカナ」の展開、1〜3に至るまでなんだが、
2、3に至る展開が、より詳しくいうと

・主人公の女の子は、その能力を金儲けに使おうという内心が見え見えの「親戚のおじさん」に保護されようとしていた。
・だが、心が読めるその子は、その保護下に置かれることを嫌がる。そこで「3」のサブ主人公、西森作品らしく乱暴だがスジを通す侠(おとこ)が「この子がいやがってんじゃねーか!」という、それだけで法的な正当性を一切無視して暴力的にその親戚を排除、その子を自分が保護してあげる…


てな、展開になっている。

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「カナカナ」第一話はおなじみの”正義の誘拐”もの(そういうジャンルが既にある)

第1話限定でいうと、外形的には今のところ、どこをどう見ても「違法」な「未成年者略取」である。(※実は2話目以降で、「実はこの侠が、法的にも正当な保護者だったんです」となるかもしれない、そんな伏線ぽいものはある)※後述


しかし、神の視点でキャラクターの内心がわかる読者的には、絶対的な正義がその暴力野郎にあること、女の子は法的な正統性が(第一話の限りでは)あるであろう親戚はわるいやつであることは疑いの余地なく、さあ正義の鉄槌に拍手喝采、というわけです。

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「カナカナ」第1話はおなじみの”正義の誘拐”もの(そういうジャンルが既にある)

・・・・・・これも、テンプレなんだよな。

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そう、実のところ「籠の鳥のあの子を連れ出し、救出するために命をかけよう!! それは法的には誘拐?犯罪?真実は俺達と、神様だけが知っているさ」というのは、けっこうお馴染みのテンプレで、21世紀の現在は間違いなく「ジャンル」であり、パクリとかもう超えてます。

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テレパシーものの筒井康隆「七瀬再び」でも、主人公の七瀬は、やはり同じテレパスの歳の離れた少年を、彼が家族を失った鉄道事故のどさくさに紛れて自分の「家族」とし、保護(もちろん法的には「誘拐」だろう)する展開となっていた。

ほかにも

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そして・・・・・・・
[asin:B0891S5JTB:detail]

なわけです。

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さあ、響け犬笛、新連載を喰らい尽くせ!!!………と言いたい所だが、こんなものはぶっちゃけ世間が「気づく」かどうかだ。
西森博之新連載「カナカナ」と、「幸色のワンルーム」の基本構造が(物議を醸した部分が)同じだと言ったところで、こんな辺境でマイナーブログが言ってるだけじゃ世間に伝わらないだろうから、万事滞りなく進むでしょう。

そうやってポリコレの矛盾が拡大していくのを見るのも、また悪くない。
(了)

追記

結局、法の壁を超えるわけにはフィクションもいかなかったらしく、予想通り?に第2話で、「法律上も、主人公の少女と助けてくれた青年は、トラブルがおきた”おじさん”以上の近い縁戚関係にあり、法律上も保護する権限が青年にありました。ちゃんちゃん」で解決させた。
いや、あとから分かったからといって…外形的に、それが両者ともにわからん段階であんなふうに振舞ったなら、やっぱり「幸色のワンルーム」が問題になるぐらいには問題なわけだけど。(その作品も問題になるほどでは本来なかった、というのが、結論なのかもしれない。)

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カナカナ 第一話の「これは誘拐ですわ」問題は、実は親戚でしたで解決(ほんとはそれじゃすまんわ、ですが)