こういう本が出ました。
ネット閲覧、Gmail、スマホの位置信号…国家とハイテク企業が生み出した“無差別監視システム”の脅威と現実。個人データ売買マーケットの闇を暴く。ドラグネット 監視網社会――オンライン・プライバシーの守り方
- 作者: ジュリア・アングウィン,三浦和子
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2015/04/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
アングウィン,ジュリア
ジャーナリスト。2000年から2013年まで『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙に所属し、著者所属のチームは企業腐敗に関する報道で2003年度ピューリッツァー賞を受賞。2012年にはオンライン・プライバシーに関する報道で同賞の最終選考に残る。また2010年には金融・経済分野での報道を顕彰するジェラルド・ローブ賞を受賞。現在は報道サイト「ProPublica」で調査報道を専門に活躍中
それに対して、共同通信が元は配信もとであるらしい、大屋雄裕氏の書評。
…日常生活からデータが生み出され、収集され、分析されていく……電子技術に支えられ、あらゆる情報をかき集める(ドラッグ)網(ネット)のような探知システムを、著者は「ドラグネット」と呼んだ。
もちろんそれを支えるのは国家だけでなく、消費活動やネット利用を分析しようとする民間企業…(略)われわれの一挙手一投足がすべて監視と分析の対象…逃れた場所などあり得ないのではないかとさえ思われる。…そのように監視される不快を免れるために、またジャーナリストとして取材対象の秘密と安全を守るために、著者はドラグネットをかいくぐる方法を模索する。…暗号化ソフトの利用…「オプトアウト」(申し出による情報の削除)。最終的には架空の人格を作り出し、(合法的な手段で)クレジットカードまで取得する。サービスの利用やコミュニケーションを振り分け、探知の網を多少なりとも抜け出すのだ。
しかしそれにより明らかになるのは、プライバシーを守る万能の手段などないし、利便性と常に引き換えになるということ…(略)どのような情報収集をどこまで受け入れられるのか、情報が悪用されていないことをどのように保証するのか…われわれ自身の社会におけるバランスの取り方を考えるための良い材料になるだろう。
大屋雄裕・名古屋大教授
にしても、
「架空の人格を作り出し、(合法的な手段で)クレジットカードまで取得する」の一文が気になる。だいたい、みんなクレジットカードを通じて世間は個人を紐付けているのだと思うのだが。
大屋氏の一般向け書籍2冊は両方とも、このテーマに関連してのものだ。
自由か、さもなくば幸福か?: 二一世紀の〈あり得べき社会〉を問う (筑摩選書)
- 作者: 大屋雄裕
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2014/03/12
- メディア: 単行本
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- 作者: 大屋雄裕
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/09
- メディア: 新書
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