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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

新潮社の漫画部門(バンチ)は、電子書籍の波にも乗り、現在「絶好調」なんだって(「創」2月号より)

時間がないので、ちょっと少し前の雑誌記事の紹介を。

特集【出版社の徹底研究】

◆〈座談会〉清田義昭×松田哲夫×篠田博之
不況の出版界めぐる様々な動き

◆総合出版社であることを生かした取り組みとは
講談社が進める紙と電子の試み

◆大ヒットの背景にはきめ細かな施策が… 
『九十歳。何がめでたい』小学館の戦略

◆「マンガ王国」集英社の現状は…
『少年ジャンプ』50周年と集英社の行方

◆書籍のほか『二コラ』やコミックが健闘
新潮社、書籍のヒットと文庫の課題

◆『週刊文春』デジタル班新設の影響は…
文藝春秋、『週刊文春』とデジタルの今後

◆『君たちはどう生きるか』がミリオンセラーに
マガジンハウスの大ヒットと雑誌群

◆鉄板だった女性月刊誌が足踏み状態で…
女性誌王国」光文社の新しい動き

この特集号の中から新潮社のところ、しかも漫画部門に関する記述だけを、箇条書きみたいな感じで紹介します。

・新潮社のコミック部門は・月刊コミックバンチ、ゴーゴーバンチ、 Web 漫画のくらげバンチ‥の3本柱だが、そのいずれも好調。
 
・コツコツ積み上げてきたコミックをアプリで展開し始めると思いもかけない反響が出ている。
 
・アプリには15年の頭から配信を始め15年秋に本格化したら売上がとんでもなく伸びています。全くのゼロが億単位になった。
 
・特に驚く売れ行きがあったのは、 2014年に完結した今井大輔の「ヒル」。紙のコミックスは全5巻で5万部程度。しかし各種の漫画サイト漫画アプリ2無料配信したら、電子書籍は月15000部もの売れ行きになった。

ヒル コミック 1-5巻セット (BUNCH COMICS)

ヒル コミック 1-5巻セット (BUNCH COMICS)

ヒル 1巻 (バンチコミックス)

ヒル 1巻 (バンチコミックス)

 

・次にヒットしたのは「死役所」。コミックシーモアでブレイクしそこから各種アプリの配信で1位を総なめ。電子書籍版は50万部、紙版は70万部。アプリでは単純に本が売れるだけでなくそこに広告収入もある。

死役所 1巻 (バンチコミックス)

死役所 1巻 (バンチコミックス)

 
・書店売り場では売れなければ3日で退場。でもアプリだと運営側次第で何度でもチャレンジできる。
 
くらげバンチは毎週更新し、一定期間が過ぎると「過去の作品は電子書籍で読んでね」、という形になる。現在、基礎となっているのは月に700万のPV 。 約200万人。
http://www.kurage-bunch.com/

・こっから出た数十万部単位のヒット作は「間違った子を魔法少女にしてしまった」「山と食欲と私」「働かないふたり」「少女終末旅行」など。

山と食欲と私 1 (BUNCH COMICS)

山と食欲と私 1 (BUNCH COMICS)

働かないふたり 1巻 (バンチコミックス)

働かないふたり 1巻 (バンチコミックス)

 
・2018年内に映像化が決まっている作品は5本。
 
・現在新潮社のコミック部門は総員12人。今後拡大し、2020年までに売上3倍、サイト読者1000万人を目指す…

感想もうす。
自分はバンチの看板「軍靴のバルツァー」を高く高く評価するし

軍靴のバルツァー 1 (BUNCH COMICS)

軍靴のバルツァー 1 (BUNCH COMICS)

限定版軍靴のバルツァー 11 (BUNCH COMICS)

限定版軍靴のバルツァー 11 (BUNCH COMICS)

お前はまだグンマを知らない」や「働かないふたり」も楽しい漫画と思う。「俺のプロレスネタ、全然食いつかないんだが。」もあったな…


でも、まぁ、おしなべていうと「まあ、バンチはチェックしなくてもいいかな…」と思っていたし、そもそも新潮社が漫画部門に進出するって話になったとき、普通に「やめとけ」と思ってしまいました。

いま「稼いでいる」というそれだけで実にあっぱれかつ、「ごめんなさい」的なそれだ。

と同時に、やぱり「紙の雑誌なんてのは、今までだってどこも赤字。単行本で稼いで相殺してた。同じことならネットで展開すれば雑誌のコストは劇的に下がる。単行本の損益点も下がる」
ってそうなんだろうな、と思ったのです。

そしてこの前紹介した

最近の「重版出来!」が、紙から電子書籍の「政権交代」の空気を反映して緊張感がある(汗) - 見えない道場本舗 (id:gryphon / @gryphonjapan) http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20180223/p1

と、その次の号の骨子のエピソード、「うまく人気に火が付かず、不本意な終わり方をした全3巻の旧作が、電子書籍、それも無料配信と組み合わせた戦略で再び人気に火がつき、紙の本も重版されてウハウハ」という話は、ちゃんと現実世界でも実例のある、かなりリアリティに富んだ話だったということだ.


撤退戦の中の、ごく局地的な勝利なのかもしれないが、それでも、出版界、漫画界にはこんな事例があるって話を、共有できれば。

きょう発売されるキリンの新ビール「本麒麟」はうまいかもしれない



【2018年発売】本麒麟 350ml×24本

【2018年発売】本麒麟 350ml×24本

【2018年発売】本麒麟 500ml×24本

【2018年発売】本麒麟 500ml×24本


自分はもちろんまだ飲んでないけど、どこのメーカーだったかな…
レストラン限定の「琥珀ビール」ってのを読める場所があってね、これがおいしかったのですよ。
それと色が似てるの。
だから、うまいかもしれない

余談 韓国への日本のビール輸出が35.7%増加



韓国のビールはどんなのだろう。一度訪韓したときは飲む機会なかった。

「新日本プロレスワールド」定額見放題、生配信は、明らかに成功した

新日本プロレスワールド」が海外加入者殺到…日本初の映像配信サービスが国際的に人気の快挙! - Togetter https://togetter.com/li/1204095

論評はこのあとするけど、自分は「ワールド」発足時から興味を持ち、ブログでも取り上げたけど、こんな成功を収めるとは思ってなかった!と断言できる。そこから初めて・・・・つづく

過去記事を並べたほうがいいや。

最初はこんなことを書いていた
UFCWWEに続き新日本も「生中継・過去試合を見放題の定額ネット放送」開始!”コンテンツ保持者の独立化”は進むか? - 見えない道場本舗 (id:gryphon / @gryphonjapan) http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20141203/p1

2016年、36000人が会員になった段階で大騒ぎ。
このへんで止まるかな、と思ってたのに。

新日本プロレスワールド」加入者36000人を突破。「見放題時代」の覇権は、いまだ定まらず… - 見えない道場本舗 (id:gryphon / @gryphonjapan) http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20160116/p2



その他

ネットで「新日本プロレスサービス」が天龍引退試合を生配信。ネット配信は一度構築すれば「プラットフォーム」になるのだ - 見えない道場本舗 (id:gryphon / @gryphonjapan) http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20151112/p1



新規参入した「ネット放送局」がコンテンツを争う時代到来?格闘技もアニメもドラマも? - 見えない道場本舗 (id:gryphon / @gryphonjapan) http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20160417/p1



上田馬之助は、前田日明を極めているかもしれない…という話。確認したい人は「新日本プロレスワールド」を - 見えない道場本舗 (id:gryphon / @gryphonjapan) http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20161223/p6


修斗修斗配信は UFC ファイトパスか、 abemaTV か、それとも無いのか問題 http://blog.livedoor.jp/nhbnews/archives/52459483.html


町山智浩「間もなくTVドラマは滅びます。ネットでの直接有料配信が滅ぼします」…アニメもそうなる?? - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150413/p4

過去togetter

「アニメの『DVD売上が評価の中心』という時代は終わる」「有料配信の収益が指針になる」という話 - Togetterまとめ http://togetter.com/li/954640

格闘技界に敷衍すると面白い記事2つ…「中邑WWE移籍と米国TV事情」「アイドルが食える環境とは(吉田豪)」 - 見えない道場本舗 (id:gryphon / @gryphonjapan) http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20160125/p1

この成功は、なぜか。
もともと、プロレスは言語の壁を越えやすいからだろうか。
そもそも新日本プロレスは客観的に「世界2位」の団体であり、そのスタイルが1位とは大きく異なる「オンリーワン」であること、90年代から根強いマニアが海外でも愛好してくれたからか。


そして
新日本プロレスが成功するなら、ほかのコンテンツでも成功するだろうか?
このシステムを構築するコストと、会員がどれぐらいいればペイするかの損益分岐点も、刻々と変わっていくだろう。
(主にシステム構築コストがどんどん安くなっていくはず。)

たとえばバスケのBリーグ、なんとか頑張って生配信もアーカイブもある「Bリーグワールド」を構築すれば、新日本プロレスを超えるか及ばないかはともかく、安定した黒字化も可能だったりしないかな?

もちろん、システムをばらばらに作るより、たとえばラグビーや、バレーボールと手を組んで、一緒にシステム自体は構築し、利益を折半したり独立採算にしたりすることもあるだろう。

配信システムだけを構築し「ここをポータルとしてお貸ししますから、ここでやりませんか?」とか「うちが配信サービスしますから、あなた方はXXX円で一括で放送権売却を…」って後者はDAZNか。


とにかく、新日本プロレスワールドの現時点での成功はまずはめでたい。
そして、今後のコンテンツビジネスがどうなるかのひとつの示唆を与えてくれると思うのです。

最近の「重版出来!」が、紙から電子書籍の「政権交代」の空気を反映して緊張感がある(汗)


マンガ「重版出来!」は、2012年に連載が始まった。2016年にはテレビドラマにもなった。
http://www.tbs.co.jp/juhan-shuttai/

この間、素晴らしいヒューマン・ストーリーを紡ぎながら、同時に出版業界、読書界の動きをリアルタイムで取り入れている。

重版出来! (10) (ビッグコミックス)

重版出来! (10) (ビッグコミックス)


まてまて、最近はアマゾンってドラマのエピソードのばら売り配信もしてるの??おそろしいなあ。
今回の話すら飛び越えちゃうじゃん。まあいいや、続けよう。




…そんな中で、最近の雑誌連載回を見ていて、「おそらく当初の構想を、現実が越えてきたのではないか?」と思わせる展開になってきた。


過去の作品例で例えると夢枕獏餓狼伝」が、 連載初期は何しろアキレス腱固めやチキンウイングフェイスロックなどが決まり手となっていたのに、現実の世界で UFC をはじめとするリアルファイトが現実のものとなってしまい、仕方ないのでマウントポジションからのパウンド、ガードポジションなど柔術の概念や戦法を取り得ざる得なくなったこと…

あるいは「沈黙の艦隊」で、 本当に連載中に、ソビエト連邦が消滅し、ロシアが誕生したこと、それを無理やりでも作品中に盛り込んだこと…

そんなことを思い出す現象だ。
重版出来!」でそれは何かと言うと、言うまでもない。
電子書籍」の扱いだ。

最初の頃は確かに電子書籍のことも書いていた。
それだけでもぶっちゃけ、漫画家漫画、出版漫画としては画期的だったはずだ。
俺も読んでて、 踏み込んでるなと思ったもの。


だけど、その位置づけとしては・・・・
1巻だったか2巻だったか、こんなやり取りをしていたはずだ(下の画像ね)※ブクマで「1巻にはなかった」と報告あり
「まあすごく便利になったな、電子書籍も」
「そのうち 紙の雑誌はなくなりますね!」
(というのは、空気を読まない新人の失言、という扱いだった)

それに対して編集長が
「そうはさせねえから」とぼそっと、しかし頼もしげに呟く……

かこいいですね、そんなふうなのが本来的には、当初の「重版出来!」の電子書籍に対するスタンスだったはずだ。


その度 Web 掲載漫画に関しても
新人をスポイルするだけ
安易な作りと安易な企画ですぐに参入するがすぐに出て行く
契約がシビアで、実は作家を縛っている
一緒に考えてくれるパートナーとしての親密な編集者はいない

など非常にネガティブな所を強調したエピソードが出ていて・・・
これについては過去に数回書いたので過去記事をお読みください。

「WEB漫画サイト」の隆盛?と今後を考える(1)。「載せてやる」?「載せていただく」? - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20160506/p2

しかし、最近2回の新章がですね……率直に言うと「政権交代」を踏まえた内容になってる気がするのですよ。
紙の本から電子書籍への、あるいはリアル書店から電子書籍書店への、ね。
それは「来るべき」と形容すべきなのか「既に来た」とするべきなのかわからないが…

統計的には、まだ紙の書籍が電子書籍より 全然大きいけれど

漫画業界が、なぜか電子書籍へのレジームチェンジが進んでおり、その勢いについては明白だからね。

何しろ、今回の主要登場人物の一人は、 リアル書店の店員から電子書籍の配信会社の社員に転職した方で、最初に上司(経営者?)と思しき人から、過去に勤めていた大手書店が全店を閉店したという報道を知らされ「転職してよかったな!」といじられる。

その上司は、そして感慨深くこう独白する。
「電子書店に入社して早20年…色モノ扱いで版元に足蹴にされた日々にも耐え…意外と早く来た電子の時代!これからは電子書籍の時代よ!」

そして、その後は…もともと優れた作品であるから、決して「美味しんぼ」的プロパガンダ臭があるわけではないのだが、
だから逆に自然な形で「電子書籍がいかに優れているか」「いかに新しい優位性があるか」 ということを余すところなくナチュラルに語ってしまうのだ。

少なくとも読者の私が読み取った、この章での「電子書籍がすごいぞ」という点を箇条書きにしましょうか?

1:従来の書店の強みだった「読書家の書店員さんが、自分の個性で並べたりおすすめしたりする棚を作る」というのは既に難しくなってきている。ところが逆に、電子書籍なら逆に本好きの人が自分のこだわりで、無名作品をピックアップしたり、一つのテーマに沿って紹介することが自由にできる余地がリアル書店以上にある。
  
 
2:うっかり買い忘れたあの巻! もう書店のどこを探してもないや…という時にも、とりあえずワンクリックで入手できちゃう!

 

3:雑誌という入れ物で、 雑誌ブランドの作品をパッケージとして読ませるのではなく、面白い作品がすべて並列的に並んでいる。新旧も関係なく(これが一つ困ると言う人もあるのだが…後述)

 
4:熱心な固定ファンだけじゃなく、ふわふわとネットを回遊している人が面白そうじゃんと買うことが多い。

 
5:バナー広告で印象的なコマをピックアップして、 そこから動くことも多い(これが煽情的なところを選んでトラウマになる、と悪名高い部分でもあるが……)

 
6:「途中までの巻を無料!」「一巻は無料!」というやり方にすると、おやおや動かなかった古典や過去のシリーズが動き出し、ネットでも話題になり、 相乗効果が出てくるよ………
 

……と、 電子書籍の利点を、アドバンテージをこれでもかとばかり強調している。先ほども言ったように、あからさまなプロパガンダではなく、自然なストーリー、優れたストーリーの中でこれをかたっているのだ。

うーーーん、 これは私の見立てだけど、やっぱり重版出来!において、電子書籍がこんな風なエピソードとして語られるというのは、 少なくとも当初のプランではなかったと思う。
この作品が現在進行形の「出版のリアル、漫画のリアル」を追う中で、「こういう現状を書かざるを得ない」ところに状況が来ているということなんでしょうね。



ただもちろん、この作品は一番高い水準ではあるけども、最終的には「護教論マンガ」である。いわばザビエルやフロイスだ。
彼らは素晴らしい知性や誠実さ などの美徳を持っていても、最終的にはキリストの教えを護る、広めるため(だけ)にそれを活用する。


それと同じように「重版出来!」も最終的には「やっぱり紙の漫画も素晴らしい!書店もすばらしい! どれも同じぐらい重要だよね」という話に帰着させなければならない。
たぶんこの後の展開では、そうなると思うし(笑)、それは結局まだ自分も「紙の書籍派」である以上、ありがたい存在だ。

だが、逆に言うと「紙の書籍派」こそ、ここ最近の「重版出来!」を読み、電子書籍の勢いの良さ、新たな強み…こういうものを知った上で「それでもなお、我らは紙の書籍を選ぶ」となるべきなのだと思います。
※正確にいえば、自分は電子書籍と紙の書籍に関して、こう考えています

電子書籍大評定!〜キンドル買うか、買わないか脳内会議【読書週間特集】 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20161031/p1

電子書籍によって、 漫画のスタイル(こま割り)も変わってくるか

この作品の中の一番の人気作家が、それに気づき、驚愕と危機感を持ち、 その上でそれに対応しようとしているというエピソードが出てきます。
スクロールで読みやすいコマと、普通の見開きの駒は違う!
なら、どっちでも迫力あるのを描いてやる!と。
 

これは以前書いたけど、一種の先祖返りでもある。
手塚治虫からトキワ荘世代に至るまで、元々は
「映画の迫力を漫画で再現したかった」
「だが現実として、紙のページとスクリーンは物理的に違う」
「そこで、「コマ割り」に創意工夫を様々に詰め込んだ」

という流れであります。
この漫画の中では電子書籍の一つの手法である「縦スクロール」に対応しているわけだけど、実は韓国の漫画サイトにそういうのがあるらしいんだが…
「一画面に1コマずつ表示していく」という形式の電子書籍、ネット漫画もあるらしいのね。
実はこの方が「同じ大きさのスクリーンにどんどん画面が変わっていく」 という映画のスタイルに似ているのである。というか同じである。
もしこの方式が今後使われるなら?今後の漫画は「コマ割り」に頭を使う必要がなくなり、映画やアニメと同じくコンテ、場面転換の撮影技術「のみ」が求められることになりますね。
(この話、以前ブログで過去記事を書いたんだが自分でもどこに書いたかよく覚えてないなあ…)

その辺のことも気になっている次第です。

結局、雑誌の漫画は何を(ネットで)無料公開し、何を有料や会員制にすればいいのか?たぶん「サンデーうぇぶり」は試行錯誤中…

別の記事で紹介した

久米田康治が元弟子・畑健二郎の新連載で掲載した”特別読切”が『トニカクヤバイ』〜「ガチ」「久米田砲」「流れ弾ひどい」「でも結婚で無効化された」 - Togetter https://togetter.com/li/1200626

に加えて

今現在、漫画の公式アプリとか電子書籍アプリはどんなのがあるのか〜漫画家・村岡恵先生がざっと紹介 - Togetter https://togetter.com/li/1199204

というまとめも作った関係で、「サンデーうぇぶり」サイトを見に行った。
すると、へんなコインのポイントとかもありつつ、無料公開コンテンツが自分の予想よりトニカクオオイ。


保安官エヴァンスの嘘』『ふたり生徒会』はじぶんが2017年のマンガ10傑に選んだ作品じゃ

【完成】「2017年マンガ10傑」を選定します。第2回「内山安二賞」なども併せて授与。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20171202/p1

https://www.sunday-webry.com/series/1143
https://www.sunday-webry.com/series/562

ま、それはそれとして、ちょっと驚いたのが「レジェンド連載」ってやつです



https://www.sunday-webry.com/#legend


連載中の漫画まで、過去の作品が「毎週掲載」され「無料で読める」



ここで、一丁目一番地を押さえておかねばならない。

・「雑誌」というものはそもそも殆どの出版社が赤字。じゃあなぜ載せてるか? どこかで連載を持ってないと、単行本も作れない(同じペースで描きおろしなんかできっこない)。儲けは単行本で出す。雑誌はその「連載」の器であり、単行本の「広告」なのじゃ。


・「読者は虱に似て、死んだものからは離れていく」(山本夏彦)。 長期連載していくと、あるいはかつて大ベストセラーだった「往年の名作」も今現在では売れなくなったり、たとえば連載初期の単行本の売り上げは落ちたりする(逆に百何巻も出たシリーズは、徐々に部数が落ちていくこともも多いとか…)

すべては、電子書籍を含めて単行本を売るためのプロモーションであるとするなら…
「往年の名作、いまも連載中の名作の初期版を、かつての連載と同じように週一本ずつ無料で読めるようにする。連載リバイバルをする」のも、雑誌連載に負けないほどの十分な「プロモーション」になるだろう。

ただ…
「既に単行本出てるんだろ?ネットでリバイバル掲載したら単行本の売れ行き落ちない??」
という疑問も当然出てくるだろう。



思うに、出版社も、何をどのようにすれば新人の作品も、往年の名作も一番単行本の売り上げにつながるかの正解やベストミックスを把握できず、いま手探り状態なのだと思う。
その手探りの中で、こういう試みを積極的に行うのならば歓迎だ。そして、何が一番、出版社にとってオトクかのノウハウ、結論はどうなるかも興味深い。

銃の老舗・レミントンが破産。その陰にトランプ政権あり…

森田崇氏の「ルパン帝国再誕計画」を聞いての雑感(twitterを再構成)

『怪盗ルパン伝アバンチュリエ』によるルパン帝国再誕計画立ち上げについて - Togetter https://togetter.com/li/1198360


ルパン帝国再誕計画 公式サイト http://www.re-lupin-empire.com/


twitter公式アカウント https://twitter.com/re_lupin_empire






このルパン帝国再誕計画を聞いて思ったことを、一度twitterで述べた内容を補足・編集するかたちで申し述べます。

【第一部】

自分も、ちょっと一ファンとして私見を。
まずは一連の発表を見て思ったのは「よくもまあ、これだけ『ジタバタ足掻いた』ものだな」というものでした。


いやまあ、表現は悪いけど(笑)自分もいい年の大人なので、「奇巌城編終わったー、おもしろかったー、新章はいつかな…」
「今回は間があくね…」「長期取材かな…」「ひょっとして…」みたいなところで、なんとなく状況は察したわけですよ(笑)。

イブニングからHERO'Sにご努力でいったんは移籍したの経緯も知ってた。
ううむ、残念ながらこれでさしもの怪盗も年貢の納め時かと。



しかし今回、このような形でともあれ「帝国再建」の一歩を踏み出したわけだ。

我と我が身に置き換え、サラリーマンでも委託業者でも、やる気一杯で進めたプロジェクトが、会社や受注先判断で中止された人は沢山いるだろう。
そこで「残念」と諦めるか、「いやこんなやり方なら、この会社なら」…と、続けるため「ジタバタ足掻く」ことができるか。
要は、そのプロジェクトにどこまで惚れているかだな。



その結果生まれた「ルパン帝国再誕計画
これは本来、一漫画家、一創作家のやる仕事ではない。正確に言えばやれる人もいればやれない人もいるし、やる必要が無ければ森田氏本人もやる気はなかったかもしれない。
だが運命がそうさせて、一創作家を越えて出版、メディア的な活動、より全体的な仕事を自ら行う形が始まった。
佐藤秀峰氏や赤松健氏、鈴木みそ氏、徳光康之氏などがそれぞれ、独自の取り組みをしている




けど、それに近くもあり、またここが独自の試みとなることも多々あるでしょう。
外野としての応援しかできないが、これが軌道にのれば、そこに続きたい人も出るはず。


だからこれは「ルパン(ミステリー)の話題・漫画の話題」と同時に「一つのコンテンツを軸に、個人が発表の場を作れるか?」という『メディアの話題』であると思う。そういう視点から新聞や出版社(特にビジネス系)が注目・取材してもいい動きでは?…と注意喚起しておきます。
上に挙げた鈴木みそ氏は、漫画家の著者がそのまま自分のコンテンツを電子書籍で販売することの草分け的存在で

という本を森田氏が「参考にした」と語るほか、「ナナのリテラシー」という作品の中で、少し経験をもとにしたエピソードを描いている。

ナナのリテラシー1

ナナのリテラシー1

ナナのリテラシー2

ナナのリテラシー2

【第二部】

ここから先は、出版や権利事情を全く知らない外野の放談なので聞き流していただく形で…
アバンチュリエの強みは、逆に森田崇氏ひとりの作品世界にとどまらず、ルブランの創作ヒーローと作品世界を共有した「山脈の広がり」だと思う。
ルパンレンジャーやルパン三世と連動するようにね(笑)


そういう点では「帝国再建計画」は
http://www.re-lupin-empire.com/
アバンチュリエを中心にしつつ、ここを見ればルパンに関連した広がり…それこそルパンレンジャー、ルパン三世、ルパン・エチュード、そして彼とやっぱり対になるホームズ関連などなど…の世界につながってほしい。
それでこそ、大きな版図と臣民を抱えた「帝国」だ(笑)
とはいえ、公式サイトの工夫も結構手間だろうから、まずは「ルパン帝国再誕計画」(@re_lupin_empire)のアカウントが、前述のレンジャー・三世・ホームズ関連に至るまでの話題で常ににぎわっている……
みたいな賑やかなものになってくれればいい。別の言い方だと「今までの森田氏のアカウント通りに」、だ(笑)

自分も結局、一連の作品を「古典ミステリークラスタ」的な、ひと固まりのものとして享受している。
例えばの話「ルパン・エチュード」や「憂国のモリアーティ」の新刊が出れば、「帝国再建計画」に新刊のPRや、今回のような画像を使ったyoutubeが掲載される。
その代わりに各マンガ単行本の、巻末の2Pで再建計画の広告が……みたいなのが可能か否かは出版事情に疎いのでわからへん。
のですが、ただ出版社を超えて「中世欧州もの」の区分で「ホークウッド」と「乙女戦争」が共同宣伝した例もあるはず。
しがらみのない、大きな「古典ミステリクラスタ」のハブ、中心になる自由な立場を帝国は持ち得るのではないかと。




最後に、ずっと後の……これから、余裕ができてからの個人的要望です。

リンク先で紹介されてる、これまでの漫画の画像を使って、そこに声や音楽をつけた動画形式のyoutubeプロモーション、

これ自分は個人的に大好きで…


ぶっちゃけ、ご存じでしょうから言っちゃうけど、あたしも以前、勝手に作ったのね(笑)
 


宣伝効果があったかなかったかはともかく、個人的にはとても楽しい。ただ表題にあるように、おもいっきり「非公式」。
今後、諸権利を「再建計画」がお持ちなら動画に限らず、書籍の宣伝としてもかなり効果的だと思うのですが、画像引用のファンアート、二次創作について、なんらかの形で推奨なり、公に「…という条件で許可します」と示されたり、あるいはワンストップの「申請受けます/これはOKです/NGです」みたいなことができればいいなあ、と。


一定の募集期間を設けて「画像使用を許可しますので、あなたなりのルパンPR動画を作りませんか?」とやり、その動画を「帝国再建計画」に載せるとかね…
まあ、これは先走り過ぎた将来の想像。こんな話は落ち着いてからで結構なので、まずは帝国の第一歩をお祝い申し上げます。ボン・ボヤージュ!!