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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「世界報道写真展2019」始まりました(東京都写真美術館)

世界報道写真大賞 スポットニュースの部 単写真1位 ジョン・ムーアアメリカ、ゲッティイメージズ) 2018年6月12日、メキシコとの国境沿いにあるアメリカ・テキサス州マッカレンで、ホンジュラスからともに来た母親のサンドラ・サンチェスが国境監視員の取り調べを受けている間、泣き叫ぶヤネラ
※リンク先に写真あり
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3437.html

topmuseum.jp
世界報道写真展2019
2019.6.8(土)—8.4(日)

開催期間:2019年6月8日(土)~8月4日(日)
休館日:毎週月曜日(ただし、7月15日(月・祝)は開館)
料金:一般 800(640)円/学生 600(480)円/中高生・65歳以上 400(320)円 ※ ( )は20名以上団体、当館の映画鑑賞券ご提示者、各種カード会員割引(ご利用案内をご参照ください)/ 小学生以下および都内在住・在学の中学生、障害手帳をお持ちの方とその介護者は無料/第3水曜日は65歳以上無料/ 当館年間パスポートご提示者割引(同伴の方1名様まで割引) ※サマーナイトミュージアム割引は適用外となります。※東京都写真美術館では当日券のみ販売となります。


www.asahi.com

本日の歴史秘話ヒストリアは更級日記…「オタクの記録としての更級日記」に再度注目!彼女は、ある種パイセン。

www4.nhk.or.jp
6月12日水曜
NHK総合1 午後10時30分~ 午後11時20分
歴史秘話ヒストリア「物語に魅せられて 更級日記・平安少女の秘密」

世界初の長編恋愛小説『源氏物語』。その感想を初めて記した女性として知られるのが菅原孝標の娘。実は作家として文学史上に輝く名作を残した。40年に及ぶ生涯をつづった『更級日記』。千年前の女性の心の内を今に伝える貴重な記録だ。物語にときめいた少女は、成長し物語作家に。ところが更級日記には、自分の執筆活動について一切記していない。そこには孝標の娘の、ある「痛恨の思い」があった。千年前の女性の生涯に迫る。

もー、この切り口はさっさと陳腐になってほしい(つまりみんなの共通認識になってほしい)のだけど、更級日記というのは平安時代の『げんしけん』『となりの801ちゃん』…つまりオタクの生態記録なのである。それも、かなりアレな」ということ。

過去の記事を紹介しておきます

m-dojo.hatenadiary.com
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そして、過去の漫画化「更級日記」のイラストと…先代「編集手帳」子のコラムを再掲載。


まんがで読む古典 2 更級日記・蜻蛉日記 (ホーム社漫画文庫)

まんがで読む古典 2 更級日記・蜻蛉日記 (ホーム社漫画文庫)

読売新聞「編集手帳」何年か前の10月4日付

 夢にまで見た「源氏物語」五十余帖をようやく手に入れた。
「后(きさき)の位も何にかはせむ」。
何物にも代えがたい幸福感を、菅原孝(たか)標(すえ)女(のむすめ)は「更級日記」にそう記している
 
◆「昼は日ぐらし、夜は目の覚めたるかぎり灯を近くともして」読みふける。自分はまだ器量もわるいが、いずれ女の盛りになれば「夕顔」や「浮舟」の女君のように…。
物語の世界に我が身を重ね、空想にふける乙女心がほほえましい
 
◆知識を蓄え、言葉を磨き、自分を見つめ直して…と、読書の効用は様々に語られる。
そう堅苦しく論じるまでもあるまい。平安時代の十三歳の少女が書き留めた、ぞくぞくするような胸の高鳴りこそが、何にも増しての醍醐味(だいごみ)だろう
 
◆ひと月に一冊も本を読まなかった児童生徒が小学校で10%、中学校で44%、
高校では67%もいた。
国学図書館協議会の昨年五月の調査である。活字離れが止まらない
  <中略>
◆江戸幕末の歌人、橘(たちばなの)曙(あけ)覧(み)に読書の歌がある。「たのしみは そぞろ読みゆく書(ふみ)の中に 我とひとしき人を見し時」。秋の夜長に書物を開き、もう一人の自分に出会う人もいるだろう。

togetterでは こんなのを

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WOWOWから「実話・歴史系」映画メモ/とりあえず13日「タクシー運転手」(韓国・光州事件)

自分は基本、UFCを見るためにWOWOWに入っている。映画はある意味で、敢えて放送情報を目にしないようにしてきた。そこまで見ていると時間が足りないからだ。


ただ、なんだかんだといって、自分が劇場で見たいと思う映画のジャンルは限られていて…7、8割がたが「歴史的な事実、事件に基づいた作品」なのです。ただ、小劇場限定公開なども多く、目にできるものは限られている。

そこで、WOWOWで、それだけに限定して、とりあえずメモだけとってみようかな、と、そういう企画。
今後毎月、やってみようかな。とりあえず、劇場で見たかった気もしたが見逃した「タクシー運転手」が13日にやる。

www.wowow.co.jp

https://www.wowow.co.jp/detail/113872
1980年に韓国で起きた民主化運動“光州事件”を世界に伝えようと挑んだドイツ人ジャーナリスト。彼を客にした、平凡な韓国人タクシー運転手の奮闘を熱く描いた感動作。

1980年5月18日、チョン・ドゥファンによるクーデターとキム・デジュン(金大中)らの逮捕に抗議するデモが光州市で発生。そんな“光州事件”を取材したいドイツ人ジャーナリストは現地に行こうとタクシー運転手キム・マンソプを雇うが、常軌を逸した弾圧を受ける光州市民たちを見たキム・マンソプの心境に変化が……。実話を下敷きにしつつ、娯楽性をやや前面に押し出し過ぎた場面もあるが、まずは見る者の心を揺さぶる熱い社会派エンターテインメントだ。韓国の国民的男優ソン・ガンホが本作でも名演を披露。

https://www.wowow.co.jp/detail/114796
第2次世界大戦の勝敗の行方を決定づけたノルマンディー上陸作戦。その作戦遂行の舞台裏における英国首相W・チャーチルの知られざる苦悩と真実を描いた感動の歴史ドラマ。

1944年6月6日、連合軍はフランスのノルマンディーで大規模な上陸作戦を敢行。これが大きな転機となって、翌年、連合軍はついにナチスドイツを打ち負かすことに。しかし、時の英国首相チャーチルは、実は意外なことに、この史上最大の作戦に最後まで反対していた。「レイルウェイ 運命の旅路」のJ・テプリツキー監督が、そんな彼の知られざる苦悩に焦点を当て、やがて彼が考えを改め、歴史的決断を下すに至るまでをドラマティックに綴る。舞台でも活躍するベテランの名優、B・コックスの重厚な演技も見もの。

https://www.wowow.co.jp/detail/113581
1940年春、ナチスドイツの侵攻を受け、歴史的決断を迫られたノルウェー国王ホーコン7世の苦悩を迫真のタッチで描き、本国ノルウェーで国民的人気を博した歴史実話。

第2次世界大戦中の1940年春、圧倒的軍事力を誇るナチスドイツが北欧の小国ノルウェーへの侵攻を開始。降伏か徹底抗戦か、難しい選択を迫られる中、ノルウェー国王ホーコン7世が下した歴史的決断とは? ご存じ「007」シリーズにも3作出演しているデンマークの名優J・クリステンセンが、国民思いのノルウェー国王ホーコン7世に扮して人間味あふれる好演を披露。本国ノルウェーでは一躍大ヒットして2016年の国内映画興収No.1を記録し、同国最高の映画賞アマンダ賞の作品賞ほか8部門を受賞した。

https://www.wowow.co.jp/detail/113900

K・マルクスとF・エンゲルス。19世紀半ば、若き日の2人がパリで運命的に出会い、歴史的名著「共産党宣言」をともに生み出すに至るまでを熱く描いた渾身の伝記ドラマ。

くしくも2018年に生誕200周年を迎えたマルクスと盟友エンゲルスの若き日に焦点を当て、彼らの出会いから名著「共産党宣言」誕生に至る歴史的歩みを、真正面から見据えて映画化。19世紀半ば、当時の産業革命がもたらした社会のゆがみにいち早く着目し、そこに鋭いメスを入れて革新的な社会批判を繰り広げた彼らの情熱的な姿は、世界中で貧富の格差が拡大し、社会や経済の秩序がいよいよ混迷を深める21世紀の今日もなお、新鮮で刺激満点だ。監督は「私はあなたのニグロではない」の社会派の名匠R・ペック。

さらば熊殺し!ウイリー・ウイリアムス逝く。そして「極真鎮魂歌」と「四角いジャングル」を読もう…!


togetter.com

なんとも、なんとも思いは述べ尽くせない……。
アントニオ猪木の「異種格闘技戦」のラスボスが、彼になったのは幸運だった。


その後、大山空手USAvs正道会館5対5マッチ、リングス参戦、

『世界最強の男はリングスが決める!!』ハンvsウィリー『BATTLE DIMENTION'93~格・闘・新・次・元~TOKYO BAY AREA CIRCUIT #2』1993年5月29日/有明


FMW参戦、そして「お笑いウルトラクイズ」参戦と活躍した…


だが…今回自分は、とにかくひとつのプレゼンだけ。
彼の追悼としては
梶原一騎「四角いジャングル」、そしてこの前紹介したばかりの添野義二「極真鎮魂歌」、このふたつを、合わせてお読みありたい、ということであります。

表があるから、裏がある。事実が汚いほど、嘘の美しさが光るーーーー

昭和から平成を経て令和になり、世紀もひとまたぎした今、「アントニオ猪木vsウイリー・ウイリアムスはガチンコのリアルファイトだったか?」なんていうところは、いちいち忖度する必要もない。そのものずばり『リアルファイトではない』試合でした。

それについての証言はユセフ・トルコなどが、いろいろとドラマチックに書いているが、もちろん、それぞれの立場からの誇張も多いだろう。

だが、昨年出たばかりの添野義二の「極真鎮魂歌」は、『極真幹部だが、一貫して、時に大山倍達と剣呑な状態になった梶原一騎と友好的な関係を持っていた』という立ち位置の人間が、自身もある意味で大いにかかわった猪木・ウイリー戦に関して自分が見た光景を書いている。

いや、そのものずばりの中心部にいたわけじゃない。ある意味で、添野も途中まで真相などは知らされず、あとから「あ、そうなのか」みたいな感じで教えられたりしたこともある。かかわったのは、試合後の混乱の中で新間寿に膝蹴りをぶちこんだとか、半右翼組織みたいな若い衆を率いてリングサイドに陣取らせたとか、そういうところだ。
だが、その「かなり近い周辺部にいたが、ど真ん中には位置していなかった」という立ち位置が、逆にいまでも自分の動きを隠す必要がない、ということになって、証言に極めて迫真性とリアリティがある。

目次で言うと、重要なのは7〜8章か。

序章 別れ
第1章 大山倍達との出逢い
第2章 キックボクシング参戦
第3章 第一回全日本大会と梶原一騎
第4章 世界大会と武道館問題、そして少林寺襲撃事件
第5章 幻のクーデター計画
第6章 映画を巡る大山と梶原の確執
第7章 「プロ空手」への渇望と挫折
第8章 ウィリーの暴走劇とプロレスへの接近
第9章 ウィリー猪木戦、地に墜ちた極真との決別
終章 されど、いまだ道半ば

実はこのまえ、この本を紹介した時は、時間が無くて、この記事をあくまでプロローグとして「相互の悪口集」を紹介し、
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その後、「大山倍達vs大木金太郎」「大山、国会議員になりたいと運動」そして「猪木vウイリーの真実」の章の内容を紹介しよう、と思っていたんだが…すまん、手元のどこにこの本があるのか、ちょと見つからんのだ(笑)
本来だったら、それを紹介したいところだが、またあとで…



そして、そういう裏の状況がわかったあとで、この「オモテ」―――。いまでも、そんな試みは不可能ではないかと思わせる「現実世界との同時進行劇画ドキュメント」というのをやり切ってしまったこの作品を読むと「そのドロドロとした、腐敗し汚れまくった世界を、よくぞこれほどに、綺麗でカッコイイ建前の世界に『翻訳』(というより同時通訳だ!!)できたものだ!!」と、梶原一騎の天才性に脱帽し、スタンディングオベーションせざるをえない。

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梶原一騎原作「四角いジャングル」よりウイリー・ウイリアム

ウイリーの世界大会暴走、極真からの破門、ルールでの揉め方、ついでにいえば『ミスターX』なるものの創作(笑)。それらすべてを、裏ではアホだ馬鹿だ、1億円よこせ殺すぞこのヤローと自分も含めて言っておきながら、表にもっていくときは『金にも名誉にも一切関心がなく、ただ純粋に強さを求めるサムライ』だということに、すべての言動を『同時通訳』するんだぜ・・・。

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梶原一騎原作「四角いジャングル」よりウイリー・ウイリアム
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梶原一騎原作「四角いジャングル」よりウイリー・ウイリアム

何度も繰り返すが、こういう登場人物が…亡くなったウイリーも含めていた時代、世界はいまよりチョッピリ面白くなかったか。

どうか、やすらかなれ。

四角いジャングル 1

四角いジャングル 1

四角いジャングル 10

四角いジャングル 10

添野義二 極真鎮魂歌: 大山倍達外伝

添野義二 極真鎮魂歌: 大山倍達外伝

  • 作者:小島 一志
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/02/27
  • メディア: 単行本

「修羅の刻」新たな相手は本多忠勝。前後編で「東国無双編」(※そのあと西国無双編(vs立花宗茂)の予定)

※ 追記 以下の記事は雑誌掲載の時にかいたものです。その後単行本が出ています

内容紹介
群雄割拠の戦乱の世に、“東国一”と呼ばれる一人の将がいた。
名を「本多忠勝」。名槍・蜻蛉切を操り、生涯無傷と伝うこの兵に
身一つで闘いを挑まんとする者が、戦場に姿を現す!
その修羅の名は、“陸奥”狛彦と云う‥‥‥。

これは「織田信長編」に続く、双子の修羅の物語!!


修羅の刻」最新の章が、月刊少年マガジン2019年6、7月号でお目見えした。

シリーズとしてはもう20〜30年ぐらいはやっているわけだし、ご存知の人は多いだろうが、分からん人のために解説すると

格闘技漫画修羅の門」は、現代で、異種格闘技戦を戦う不敗の古武術陸奥圓明流」の伝承者・陸奥九十九が主人公であり、人気を博した。

・「修羅の刻」はその基本設定からのスピンオフ作品。

・不敗の古武術陸奥圓明流」である以上、鎌倉時代、戦国時代、江戸時代、幕末、明治時代…どのときにも、この古武術の伝承者がいた(基本、同じ顔)。

・彼らは、その時代時代で、武芸者、猛将、弓や銃の使い手…として名高い豪傑たちと、その技を競ってきた!

……という設定で、宮本武蔵柳生十兵衛武蔵坊弁慶土方歳三沖田総司前田光世……、といった連中と、そのときどきの「陸奥」が戦う、という話なんです。


ただ、作者がおそらく、こういう話を書きたくて描きたくてたまらなかったのだろう。別ジャンルでヒットした人が、満を持して歴史ものを書く…というと、コナン・ドイルみたいだけど、ドイルとちがって、あっぱれ「修羅の刻」は傑作がそろっており、質、人気とも本シリーズより上ではないか?と思う所です。

とくに、かなりの歴史リスペクトであろう作者は、史実や伝承と折り合いをつけるための工夫をけっこうしている。歴史的事実なんて無視したほうが描きやすいだろうけど、たとえば公式の歴史と違う時は、なぜ公式の歴史ではそのように伝わったか、みたいな言い訳をつけていましてね…それは伝奇ものを描く時、やはり無ければ減点するべきものではないが、あれば加点をすべき要素だと思うのです。(少なくとも俺基準では)



前置きが、ながくなった。
そういうことを踏まえて、やっと、今回の「修羅の刻」は、陸奥の相手は本多平八郎忠勝」だよ…という話ができるのです。

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修羅の刻東国無双編(本多忠勝月刊少年マガジン2019年

東国無双編、相手の本多忠勝とは?

ぶっちゃけ、これまでの相手と比べると、知名度はやや劣るかな…。また、たしかに「日本の張飛」「古今まれな名槍『蜻蛉切』」「生涯、合戦でひとつの傷も負ったことがない」など、一武人的な逸話が豊富にある。

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修羅の刻東国無双編(vs本多忠勝月刊少年マガジン2019年
…ではあるけれど、本来的には猛将といっても、優れた「指揮官」であり、無手の格闘家と闘っての強い弱い、を論ずべきものではない。


ただ、大したものなのは、そのツッコミ自体を、ストーリーの核心部分に取り入れているのですな。


本多忠勝の猛将(一武人としての戦闘力の高さ)を目の当たりにした陸奥狛彦(今回が初登場ではない。織田信長鈴木孫市と絡んだ旧作がある)は、その戦いへの欲求の赴くままに、小牧・長久手の戦いで、圧倒的な秀吉軍を極少数で牽制している本多忠勝の前に出向き、決闘を始める。

忠勝は、もののふとしての誇りや、陸奥同様の正直な戦いへの欲求によって、その戦いを始めるが、一方で、武人である前に殿(徳川家康)をお守りする家来である、という意識の本多忠勝にとっては、その戦いにすべてを賭けるわけにはいかない。

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修羅の刻東国無双編(vs本多忠勝月刊少年マガジン2019年
そのジレンマによって、闘いはいったん持ち越される。

そして、小牧長久手の戦はおわり、一度は徳川は豊臣に臣従ー。そして北条攻め、関東移封、関ヶ原となる。
この関が原では「妖怪首おいてけ」がゲスト出演したりするのだが、これはちょっと、ホントにゲスト出演(笑)。

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修羅の刻東国無双編(vs本多忠勝月刊少年マガジン2019年

―その天下を定めた合戦をへて、本多忠勝は何度も願い出ての隠居に、ようやく成功する。

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しかし、それは主人家康をお守りする「三河武士」の拘束を外してついに、「一介のもののふ」として、陸奥との『私闘』に臨むことができる、という意味だった……
そして、彼の手に握られた蜻蛉切は、かつて見たときより少し柄が短い。これが、柄も含めて縦横にこの槍を武器にするための、「蜻蛉切・対陸奥圓明流バージョン」だった…




通読しての感想は「小味の効いた、円熟の中編を読ませていただいた」です。
ページ数をきちんとは勘定してないけど、「修羅の刻」シリーズでも、物語を描ききるにはコミックで上下巻ぐらいであったほうがいいと感じることが多い。また、修羅シリーズ以外でもだけど…以前も指摘したけど、結局、達人同士が激突することのモチベーションと喜びを「馬鹿だから」で説明し、そしてまた、闘うことを喜ぶ描写にあまりバリエーションを持っていないんだ、作者の川原氏は。

ただ、そこは歴史の重み、積み重ねというか……それを、一種の「修羅節」というか、その中での洗練と円熟を選んで、それに成功したと思っている。要は、どんなに決まった「型」であっても、そこに心地よさを感じることができるのだ。古くからの読者に、そう思わせたら、それは相手の勝ち、だろう(「ニイ」と笑う)。そういう点も含めて円熟の技だと思うし、そこにうまく歴史的な史実や伝承を混ぜ合わせる手際も、同様に円熟している。
このへんの作劇法は、大いに他の人のお手本になるんじゃないかと思うのです。

次号から「西国無双編」です

双子の片割れが、あっちは立花宗茂と闘う。

司馬遼太郎は、本多忠勝をどう描写したか?

「合戦師」としか言いようのない平八郎は当然ながら謀将や智将のタイプには属しない。常に現場の男であった。

平八郎は入って武田軍の奔流を支えた。そのため彼の背負っている扇の指物は敵の形で半ば切り裂かれ、その黒具足には五筋の矢が突き刺さったが、結局は一兵を損ずることなく徳川軍を浜松城に収容した。それだけの戦闘をしながら、 平八郎はかすり傷ひとつ負っていない 。平八郎が負傷しなかったというのは、この男は戦場に呼吸のようなものがあることを体で知っていて、身動きが自然、その呼吸に合うように出来上がっていたのかもしれない。
彼は慶長15年、62歳で病死するのだが「一代手負ワズ」ということについては家康はさらに述懐して「 平八郎とは逆に、井伊直孝は常に重い具足を着用し、下の着込みには鎖を入れるほどに厚重ねしていたが、しかし合戦のあることに怪我をしていた。ああいうことは何とも不思議である 」

本多平八郎は例の、鹿の大角の兜をかぶり、馬のそばには徒歩の槍持ちを駆けさせている。彼の槍というのは 銘槍「蜻蛉切」で、東海では知らぬ者がない。 この蜻蛉切については  寄ルナ寄ルナ 槍ニハ寄ルナ 、という里謡があったと言うが下の句は残っていない。

秀吉の軍は後続の諸隊が追いついてきているため、本軍だけでも人数が38000に膨れ上がっていた。平八郎はそれに対し600の人数で擦りかかろうとしているのである。秀吉にとってこの光景は生涯忘れがたい印象になった。
「見たことがあるか」
と秀吉は口に出して己自身に言って聞かせた。秀吉の、 ときとして出る癖であった。
見たことがあるか、とはこういう光景をである。こんな人物も、かつて見たことがない 。

秀吉のいうところは

あの男、あれほどの小勢にて千に一つも勝つべきや。
勝つよりも死ぬために馬を出し、幾分にても主の働きを
寛げようとしているのである。
当人、死なんずる心なれば、わざわざ死なせる必要なし。捨て置け。
それよりも男ぶりを見物せよ

以上「覇王の家」より。

覇王の家(上) (新潮文庫)

覇王の家(上) (新潮文庫)

覇王の家(下) (新潮文庫)

覇王の家(下) (新潮文庫)

反緊縮論の松尾匡氏語る。山本太郎氏の放射能論は「善きサマリア人」原則でセーフ、「薔薇マーク」認定、ということらしい

きょう、大阪でトークショーがあったらしい。ちまたで話題の反緊縮論で、その旗振り役の松尾匡氏らが語ったらしい。

「反緊縮! 」宣言

「反緊縮! 」宣言

左派・リベラル派が勝つための経済政策作戦会議

左派・リベラル派が勝つための経済政策作戦会議

この経済政策が民主主義を救う: 安倍政権に勝てる対案

この経済政策が民主主義を救う: 安倍政権に勝てる対案

その、内容要約の連続ツイートがある
※ここを開けば、ツリーとして最初から最後まで読めます
薔薇マークキャンペーン on Twitter: "「『反緊縮!』宣言」ブックトークinジュンク堂三ノ宮駅前店なうです… "

このうちの一部の、山本太郎論を反響を含め紹介。

別のツイートで分かるが(下参照)質問者は菊池さん(kikumaco)だったようだ








「善きサマリア人」とは聖書の話そのものではなく、最近言われる『善きサマリア人”の法”』の話と思われる。

ja.wikipedia.org
善きサマリア人の法(よきサマリアびとのほう、英:Good Samaritan laws、良きサマリア人法、よきサマリア人法とも)は、「災難に遭ったり急病になったりした人など(窮地の人)を救うために無償で善意の行動をとった場合、良識的かつ誠実にその人ができることをしたのなら、たとえ失敗してもその結果につき責任を問われない」という趣旨の法である。誤った対応をして訴えられたり処罰を受ける恐れをなくして、その場に居合わせた人(バイスタンダー)による傷病者の救護を促進しよう、との意図がある。


ちなみに聖書そのものは
http://www2.tbb.t-com.ne.jp/nakashibuya/Lucas/L067130224.html

0:25 すると、ある律法の専門家が立ち上がり、イエスを試そうとして言った。「先生、何をしたら、永遠の命を受け継ぐことができるでしょうか。」10:26 イエスが、「律法には何と書いてあるか。あなたはそれをどう読んでいるか」と言われると、10:27 彼は答えた。「『心を尽くし、精神を尽くし、力を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい、また、隣人を自分のように愛しなさい』とあります。」10:28 イエスは言われた。「正しい答えだ。それを実行しなさい。そうすれば命が得られる。」10:29 しかし、彼は自分を正当化しようとして、「では、わたしの隣人とはだれですか」と言った。10:30 イエスはお答えになった。「ある人がエルサレムからエリコへ下って行く途中、追いはぎに襲われた。追いはぎはその人の服をはぎ取り、殴りつけ、半殺しにしたまま立ち去った。10:31 ある祭司がたまたまその道を下って来たが、その人を見ると、道の向こう側を通って行った。10:32 同じように、レビ人もその場所にやって来たが、その人を見ると、道の向こう側を通って行った。10:33 ところが、旅をしていたあるサマリア人は、そばに来ると、その人を見て憐れに思い、10:34 近寄って傷に油とぶどう酒を注ぎ、包帯をして、自分のろばに乗せ、宿屋に連れて行って介抱した。10:35 そして、翌日になると、デナリオン銀貨二枚を取り出し、宿屋の主人に渡して言った。『この人を介抱してください。費用がもっとかかったら、帰りがけに払います。』10:36 さて、あなたはこの三人の中で、だれが追いはぎに襲われた人の隣人になったと思うか。」10:37 律法の専門家は言った。「その人を助けた人です。」そこで、イエスは言われた。「行って、あなたも同じようにしなさい。」

って話なので、なにゆえ「結果的に失敗」という含意が入ったのかよくわからんのだが……

本日は午前11時からUFC(WOWOW)

正直、この大会は登場する選手にあまり興味や注目が持てなくてな…来週のベラトールの方が、堀口恭司選手も出ることもあり正直何倍も楽しみだ

一応告知だけ(てかプレリムはもう始まってるね)

www.wowow.co.jp