この前、読書週間に際してこういうの書きました。
現在、読書週間。このイメージキャラは、やっぱり更級日記作者の「菅原孝標女」だよな。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20141029/p4
というのを書きましたが、そこでちょっと触れた「編集手帳」子が数年前?に読書週間で更級日記作者・菅原孝標女について語った回の資料が見つかったので紹介したい。
読売新聞「編集手帳」何年か前の10月4日付
夢にまで見た「源氏物語」五十余帖をようやく手に入れた。
「后(きさき)の位も何にかはせむ」。
何物にも代えがたい幸福感を、菅原孝(たか)標(すえ)女(のむすめ)は「更級日記」にそう記している
◆「昼は日ぐらし、夜は目の覚めたるかぎり灯を近くともして」読みふける。自分はまだ器量もわるいが、いずれ女の盛りになれば「夕顔」や「浮舟」の女君のように…。
物語の世界に我が身を重ね、空想にふける乙女心がほほえましい
◆知識を蓄え、言葉を磨き、自分を見つめ直して…と、読書の効用は様々に語られる。
そう堅苦しく論じるまでもあるまい。平安時代の十三歳の少女が書き留めた、ぞくぞくするような胸の高鳴りこそが、何にも増しての醍醐味(だいごみ)だろう
◆ひと月に一冊も本を読まなかった児童生徒が小学校で10%、中学校で44%、
高校では67%もいた。
全国学校図書館協議会の昨年五月の調査である。活字離れが止まらない
<中略>
◆江戸幕末の歌人、橘(たちばなの)曙(あけ)覧(み)に読書の歌がある。「たのしみは そぞろ読みゆく書(ふみ)の中に 我とひとしき人を見し時」。秋の夜長に書物を開き、もう一人の自分に出会う人もいるだろう。
そして三谷幸喜の新作は「紫式部ダイアリー」
http://www.parco-play.com/web/program/murasaki/
三谷幸喜がPARCO劇場での新作に選んだのは「作家」。しかも平安時代の女流作家 紫式部と清少納言です。タイトルは『紫式部ダイアリー』。
「源氏物語」で一躍注目を集め、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの若手作家 紫式部。 「枕草子」が大ベストセラーとなり、エッセイストとして確固たる地位を築いた清少納言。そんな二人が作家としての、そして女としての、人生を賭けたプライドがぶつかりあいます。
舞台という「リング」の上で三谷幸喜が書き出す「言葉」の戦い、「書くこと」にプライドをかけた二人の女流作家の火花が散ります。書くこと。それは自分との戦いか、それともライバルとの戦いか。作家 三谷幸喜が「作家」についての舞台を書き下ろします。そして、初めてオンナ同士のバトルを描きます。
冲方丁「はなとゆめ」
出版社からのコメント
- 作者: 冲方丁
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2013/11/07
- メディア: 単行本
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『天地明察』『光圀伝』に次ぐ、歴史小説第3弾!!
異才・冲方丁が千年の時を超えて描き上げた、平安王朝絵巻!
内容(「BOOK」データベースより)
わたし清少納言は28歳にして、帝の妃である中宮定子様に仕えることになった。華やかな宮中の雰囲気に馴染めずにいたが、17歳の定子様に漢詩の才能を認められ、知識を披露する楽しさに目覚めていく。貴族たちとの歌のやり取りなどが評判となり、清少納言の宮中での存在感は増していく。そんな中、定子様の父である関白・藤原道隆が死去し、叔父の道長が宮中で台頭していく。やがて一族の権力争いに清少納言も巻き込まれていき…。『天地明察』の異才が放つ最新歴史小説!
この前、和洋女子大でこの作品に関して作者が講演したそうで、
http://www.wayo.ac.jp/topics/tabid/86/Default.aspx?itemid=408&dispmid=441
和洋女子大学 活字文化推進会議が主催したもので、清少納言の生涯を描いた『はなとゆめ』を執筆した冲方丁(うぶかた・とう)氏を講師にお招きして、「物語の力」と題した基調講演を行いました。講演後は、冲方氏を交えて、和洋女子大学の教員と学生たちが参加するトークセッションも開催。当日は、一般参加者の方々をはじめ、本学の日本文学文化学類の学生も参加し、総勢300名の方々にご参加いただく熱のこもった公開講座となりました。
たしか読売新聞だったな、11月9日の紙面にこの講演の概要を載せていた。
うた恋い。
以前、紹介文を書きました。
中高生に薦めたい。百人一首から自由に想像を広げた「うた恋い。」 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120606/p5
- 作者: 杉田圭,渡部泰明
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暴れん坊清少納言
時代はAD.994、平安京。橘則光は親の言いつけで、お見合いをすることに。気の進まない見合い相手は、なんと貴族の娘とは思えないハチャメチャな暴れっぷりを示す、菅原諾子(後の清少納言)だった! 諾子の機転と行動力が評価され、宮廷に招かれることとなるが、そこでも諾子は宮中に大混乱を巻き起こす! 天才エッセイスト・清少納言をオリジナリティー溢れる解釈で描く入魂作・待望のコミックス化!!
- 作者: かかし朝浩
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- 発売日: 2007/07/25
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もちろん橋下治の「桃尻語訳」や「なんて素敵にジャパネスク」などなどの先行事例は多々ありましょう。
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もう一回、これのきっかけとなったtogetterまとめも再紹介
平安のオタク物語 「更級日記」、そして源氏物語評価をめぐる”オタ論争”? - Togetterまとめ http://togetter.com/li/563410
- 作者: 川原泉
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自分は平安時代の時代や人物に関して、他の日本史と比べると興味も関心も薄いほうです。共感する人物も実に少ない。
だが、庶民生活や対外防衛などにアタマを絞らない彼らが和歌を中心とした学問、文学や恋愛ごとにうつつを抜かす中で、そういう方面に関して、確かに今の人々と共通する感性や考え方を持っていた部分もある、ことは認めざるをえない。
とくに、実際に彼らがそれを「人に伝え、残す」ことを考え、そして実際に残った貴重な文化遺産。
その中で「読書する人」「文学する人」の本質的な意味を、現代の社会に投影したり、パロディ化したりして考えるのは非常に意味があることだと思います。
三谷幸喜のこの演劇も、少し後でWOWOWで放送されたり、反響によっては映画化されたりするのかもしれません。果たしてどうなるか。