togetterで、ブクマが500に迫ろうかという話題のまとめがあります。
紫式部と清少納言の関係性 - Togetterまとめ http://togetter.com/li/903489
清少納言vs紫式部といえば、これまでもしばしば題材にのぼったライバル関係ですが、特に今回面白かったのは「あけぼの」という単語の登場回数を例にして、現存の資料では悪口、Disしか残っていない紫式部⇒清少納言の関係を「そーはいってもシキブはナゴンのエッセイに影響を受けて、しらずしらずのうちにリスペクトしたんじゃね?」と展開したところにありますでしょう。
この見立てが事実かどうかはともかく、非常に印象的でインパクトがあるのには間違いない。
たられば @tarareba722 2015-11-21 21:50:27
②紫式部いわく、清少納言は得意顔で偉そう、教養をひけらかしていて感じ悪い、よく読むとちょくちょく間違いも書いてる、自分を特別だと思っているが本性はすぐにバレるものだ、退屈な時でも「何か面白いことがあるはず」とガツガツしていて浮わついた態度、ろくな末路を辿らない。2ちゃんねるかよ。
③では紫式部は清少納言を見下していたのか。それともあの痛烈な批判は「自分が仕える中宮彰子のほうが(清少納言が仕えた)定子より格上だ」と示すための単なる政治的配慮なのか。残念ながら明確な回答は残されていません。しかし紫式部が清少納言の表現力をどう捉えていたか暗示する史料はあります。
(略)
私の考えは「春はあけぼの」という、誰でも知ってるこの『枕草子』冒頭の一節の革新性に尽きます。
春は、あけぼの。
これ、当時の文学的な状況を見てみると、だいぶおかしいんですね。
⑥万葉集や古今和歌集といった『枕草子』発表当時の王道的作品には、「あけぼの」という表現は一語も出てきません。そもそも「春」と言えば梅であったり桜だったり山吹だったり…(後略)
で、こういうのを、いろいろと増えてるな、と思って、この前まとめた記事があります。
平安王朝文学を、今風感覚で読み替える風潮は分かりやすくていいよね(俺的まとめ)。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20141111/p4
ここから再抜粋。
http://www.parco-play.com/web/program/murasaki/
三谷幸喜がPARCO劇場での新作に選んだのは「作家」。しかも平安時代の女流作家 紫式部と清少納言です。タイトルは『紫式部ダイアリー』。
「源氏物語」で一躍注目を集め、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの若手作家 紫式部。 「枕草子」が大ベストセラーとなり、エッセイストとして確固たる地位を築いた清少納言。そんな二人が作家としての、そして女としての、人生を賭けたプライドがぶつかりあいます。
舞台という「リング」の上で三谷幸喜が書き出す「言葉」の戦い、「書くこと」にプライドをかけた二人の女流作家の火花が散ります。書くこと。それは自分との戦いか、それともライバルとの戦いか。作家 三谷幸喜が「作家」についての舞台を書き下ろします。そして、初めてオンナ同士のバトルを描きます。
平安時代は政治、軍事はやっぱり今から見ると脇役で、時代を象徴する中心人物は「文学者」となるのだと思う。だから民生がわやくちゃなんだろうけど(笑)
文学者の「関係性」はなぜに再構成されるのか
ここで、一般にはほとんど馴染みのない言葉「関係性萌え」なる言葉を再紹介する。
あたしも昨年、初めてこの言葉を聞いた時はおどろいたもんだった。驚いた勢いで記事を残している(笑)
「人物の関係性重視」からBLを再論…そして浅羽通明氏と「どっちがBL向きの青空文庫作品か」対決(笑) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140104/p4
ここで前述の、たらればさんも引用している。近代文学でも、こうなるのだ。
たられば @tarareba722
https://twitter.com/tarareba722/status/190036604574892032
今日、後輩腐女子が鼻血を出した。原因聞いたら「芥川龍之介×谷崎潤一郎ってカップリングがあると聞いて、で、検索したら芥川が書いた谷崎と一緒にカフェに行った時の随筆が出てきてそれ読んでたらなんかもうなんかもう……」。探して読んだ。これは分かる。http://bit.ly/IsemRt
谷崎潤一郎氏 芥川龍之介僕は或初夏の午後、谷崎氏と神田をひやかしに出かけた。谷崎氏はその日も黒背広に赤い襟飾りを結んでゐた。僕はこの壮大なる襟飾りに、象徴せられたるロマンティシズムを感じた。尤もこれは僕ばかりではない。往来の人も…(後略)
なんで文学で「ライバル物語」がある意味で描きやすいかというと、たぶん「実際に書いた記録が残っているから」だと思うな。特に関係性に関する「あいつが嫌いだ、好きだ」とか「尊敬している、ねたましい」とかは、スポーツ選手や政治家は言うかもしれないが、言う必要もないし、その記録が残っている可能性も低い。さらに「勝ち負け」の明確な結果が出てこない分野だ、ということもあるだろう。
(ただ、これを逆から見れば、逆から描けば、スポーツや政治こそライバル関係が描きやすい、ともいえるかもしれない。後述)
そんなこんなで、最近始まって、1巻が出たのが
中也と秀雄…文壇青春愛憎劇、堂々開幕!
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大正十四年(一九二五年)、桜舞う春に作家を志す
23歳の文学青年・小林秀雄は上京してきたばかりの
まだ18歳の詩人・中原中也と運命的に出会う。自意識の殻に閉じこもり、創作の迷路に入っていた
秀雄に衝撃を与えて、彼の生きざまを根っこから変えていく中也…
そして中也には同棲する一人の女・長谷川泰子がいた--事実を基にフィクションを交えて描き出す、
文学に人生すべてをかける中也と秀雄…『彼女とカメラと彼女の季節』月子が描き出す!
まだ無名だった二人の切なく物狂おしい物語が
今、ここに始まる…!!
【編集担当からのおすすめ情報】
第1話ネームを拝見した時、これまで見たことのなかった中也の愛らしさに、この作品は素晴らしい!と心底、思いました。実在の人物を題をとってフィクションを交えて描き出すという本作ですが、中也や秀雄は実際こうだったのではないかという生き生きとした青春が月子さんの手によって描き出されています。文学好きでなくとも、夢を持って志高く生きる彼らの真摯な姿は誰もの心の琴線に触れること間違いありません。ぜひご一読してください!!
1話試し読み。
http://spi.tameshiyo.me/SAIHA01SPI
この前連載誌「月刊スピリッツ」の表紙を飾ったけど、コピーが秀逸だった。
意味自体は、結構ふわっとしてるけど(笑)
作者さんのアカウントですわ。
https://twitter.com/TSUKlKO
そしてこれ。
漱石を好きすぎるが故に、担当編集にそそのかされ、ヲタクとマニアの狭間でゆらゆらしながら漱石談話を繰り広げてしまう香日さんが贈る文藝コミックエッセイ!漱石とはずがたり 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
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文豪、夏目漱石にまつわる史実を元にした4コマ漫画!神経質、厳しそう…などのイメージが一般にもたれている夏目漱石は多くの友人・門下に愛されたとってもチャーミングな人柄★人間味溢れる夏目先生の姿には思わずキュンとしてしまうはず!先生と僕 ?夏目漱石を囲む人々? 1 (エムエフコミックス フラッパーシリーズ)
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「キュンとしてしまう」って、天下の千円札にアンタ(笑)いや、「千円」って言い方もたいがいか(笑)
まあ、こういう形で描ける文学者ライバル物語も、ほかにあるような無いような…先日、没50年=事件から50年だった三島由紀夫と太宰治、とかか、だがそれほど大きな接点があるわけではない。漱石と鴎外、はそこだけピックアップされているわけでないが、「坊ちゃんの時代」の1、2巻はそれを通読すると、そう感じるところがなくもない。
少し他分野にも広げて、「実在の人物」「2人のライバル物語に焦点」を当てたものは……
なんか、自分が知っているだけで4本も「今」連載中なんだよね。これも「関係性萌え」なんでしょうか。(力道山と木村政彦でそうなるわけねぇだろ!)
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あと、戦後政治史をさいとう・たかをが漫画家した「大宰相(劇画「小説吉田学校」を改題)」は、4〜7巻あたりはそのまま「角福戦争」(三角大福中)の話がメインになっている。
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