【“熊殺し”ウィリー・ウィリアムスよ、永遠なれ】7日に出身地の米国で死去。67歳。死因は心臓病。映画「地上最強のカラテPart2」で熊と闘う。極真会館の全世界空手道選手権で3位。アントニオ猪木との異種格闘技戦は両者ドクターストップ。リングス、FMWにも参戦。https://t.co/czEcPU3Mlz
— プロレス格闘技📝カクトウログ (@kakutolog) 2019年6月9日
なんとも、なんとも思いは述べ尽くせない……。
アントニオ猪木の「異種格闘技戦」のラスボスが、彼になったのは幸運だった。
その後、大山空手USAvs正道会館5対5マッチ、リングス参戦、
『世界最強の男はリングスが決める!!』ハンvsウィリー『BATTLE DIMENTION'93~格・闘・新・次・元~TOKYO BAY AREA CIRCUIT #2』1993年5月29日/有明
ヴォルク・ハンvs“熊殺し”ウィリー・ウィリアムス! なんたるファンタジー! https://t.co/ilol9kD6kU
— 堀江ガンツ (@horie_gantz) 2019年6月10日
FMW参戦、そして「お笑いウルトラクイズ」参戦と活躍した…
だが…今回自分は、とにかくひとつのプレゼンだけ。
彼の追悼としては
梶原一騎「四角いジャングル」、そしてこの前紹介したばかりの添野義二「極真鎮魂歌」、このふたつを、合わせてお読みありたい、ということであります。
表があるから、裏がある。事実が汚いほど、嘘の美しさが光るーーーー
昭和から平成を経て令和になり、世紀もひとまたぎした今、「アントニオ猪木vsウイリー・ウイリアムスはガチンコのリアルファイトだったか?」なんていうところは、いちいち忖度する必要もない。そのものずばり『リアルファイトではない』試合でした。
それについての証言はユセフ・トルコなどが、いろいろとドラマチックに書いているが、もちろん、それぞれの立場からの誇張も多いだろう。
だが、昨年出たばかりの添野義二の「極真鎮魂歌」は、『極真幹部だが、一貫して、時に大山倍達と剣呑な状態になった梶原一騎と友好的な関係を持っていた』という立ち位置の人間が、自身もある意味で大いにかかわった猪木・ウイリー戦に関して自分が見た光景を書いている。
いや、そのものずばりの中心部にいたわけじゃない。ある意味で、添野も途中まで真相などは知らされず、あとから「あ、そうなのか」みたいな感じで教えられたりしたこともある。かかわったのは、試合後の混乱の中で新間寿に膝蹴りをぶちこんだとか、半右翼組織みたいな若い衆を率いてリングサイドに陣取らせたとか、そういうところだ。
だが、その「かなり近い周辺部にいたが、ど真ん中には位置していなかった」という立ち位置が、逆にいまでも自分の動きを隠す必要がない、ということになって、証言に極めて迫真性とリアリティがある。
目次で言うと、重要なのは7〜8章か。
序章 別れ
第1章 大山倍達との出逢い
第2章 キックボクシング参戦
第3章 第一回全日本大会と梶原一騎
第4章 世界大会と武道館問題、そして少林寺襲撃事件
第5章 幻のクーデター計画
第6章 映画を巡る大山と梶原の確執
第7章 「プロ空手」への渇望と挫折
第8章 ウィリーの暴走劇とプロレスへの接近
第9章 ウィリー猪木戦、地に墜ちた極真との決別
終章 されど、いまだ道半ば
実はこのまえ、この本を紹介した時は、時間が無くて、この記事をあくまでプロローグとして「相互の悪口集」を紹介し、
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その後、「大山倍達vs大木金太郎」「大山、国会議員になりたいと運動」そして「猪木vウイリーの真実」の章の内容を紹介しよう、と思っていたんだが…すまん、手元のどこにこの本があるのか、ちょと見つからんのだ(笑)
本来だったら、それを紹介したいところだが、またあとで…
そして、そういう裏の状況がわかったあとで、この「オモテ」―――。いまでも、そんな試みは不可能ではないかと思わせる「現実世界との同時進行劇画ドキュメント」というのをやり切ってしまったこの作品を読むと「そのドロドロとした、腐敗し汚れまくった世界を、よくぞこれほどに、綺麗でカッコイイ建前の世界に『翻訳』(というより同時通訳だ!!)できたものだ!!」と、梶原一騎の天才性に脱帽し、スタンディングオベーションせざるをえない。
ウイリーの世界大会暴走、極真からの破門、ルールでの揉め方、ついでにいえば『ミスターX』なるものの創作(笑)。それらすべてを、裏ではアホだ馬鹿だ、1億円よこせ殺すぞこのヤローと自分も含めて言っておきながら、表にもっていくときは『金にも名誉にも一切関心がなく、ただ純粋に強さを求めるサムライ』だということに、すべての言動を『同時通訳』するんだぜ・・・。
何度も繰り返すが、こういう登場人物が…亡くなったウイリーも含めていた時代、世界はいまよりチョッピリ面白くなかったか。
どうか、やすらかなれ。
四角いジャングル 全5巻完結(文庫版)(講談社漫画文庫) [マーケットプレイス コミックセット]
- 作者:梶原 一騎 中城 健
- 出版社/メーカー: 講談社
- メディア: コミック
- 作者:小島 一志
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2018/02/27
- メディア: 単行本