きのうのこの話、さっさと終わらせちゃおうか。
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そんなことで小池百合子都知事は東京自民党に大変な”貸し”を今回作ったとかなんとかだが、そんなヤクザな世界の貸借対照表はどうだっていいわ。
ともかく、アベが驚嘆した「コイケ・ザ・ジョーカー」だが、常に自民党を助けにくるとは限らない。「混沌の本質とは何か、それはフェアーだということだ」と本家のジョーカーも言うてたではないか(一部はまだ誤訳が有名のようだが)。
で、安倍晋三回顧録に移ろう。実は率直に、安倍晋三氏は「あの希望の党はヤバかった、虚を突かれた、しまったと思った」と認めているんですな。
ここが読ませどころと版元も感じたのか(2024年は都知事選もあるからだろうか)実はここをオンライン公開してたのよ。
president.jp
小池さんはいい人ですよ。いい人だし、人たらしでもある。相手に勢いがある時は、近づいてくるのです。2016年に知事に就任した当初は、私の背中をさすりながら話しかけてきて、次の衆院選では自民党の応援に行きますからね、とまで言っていたのです。しかし、相手を倒せると思った時は、バッとやってきて、横っ腹を刺すんです。「あれ、わき腹が痛いな」とこっちが思った時には、もう遅い。
ジョーカーっていうか、ハンターハンターのヒソカか、ダイの大冒険のキルバーンじゃねぇか(笑)
そして…
小池新党に「やられた」と思った
――安倍さんは17年9月25日に記者会見し、衆院の解散を表明しましたが、小池氏も同じ日に希望の党の結党を発表した。焦りましたか。
小池さんにやられた、と思いましたよ。私の解散表明よりも、小池さんの新党に世の中の注目が集まってしまった。これは大変なことになったと思いましたね。
下村博文元文部科学相は、私の解散表明の記者会見直前に、「総理、解散やめてください」と言ってきました。でも、解散の流れはできていたので、「今さらやめられないよ」と。下村さんは「このまま突っ込んだらみんな落ちます」と言うので、正直根拠はなかったのだけれど、「大丈夫だから、私を信じてついて来なさい」と突っぱねたのです。
(略)
下村氏の小物ぶりが、いい味出してるんだけど(笑)、ただそれへの返答が「流れはできていた、今さらやめられない」ので「根拠はなかったけど『大丈夫だ』『私を信じて付いて来なさい』」じゃあ、なんともしまらない。これ、或る意味選挙で自分の党の落ちる受かるの話だからご勝手に、だけど、ほかのこと、日本国の政策で「流れはできてる、今さらやめられない」「根拠は無いけど大丈夫だと言っておく」だと困る訳で……それは歴史が検証するしかないとはいえ。
ただし、結果的にはその「大丈夫だ」も「私を信じてついてきて」も政局上は、”正解”であったことになる。それが歴史につづられる。
しかし希望の党、ジョーカー小池側から見れば「負けに不思議の負けなし」である。
彼女の負けは、「ひとことの”失言”」がきっかけだったと、すでに衆目は一致している。安倍氏から見ても、たとえばリベラル論客からみてもそうであろう。
本気で政権を取るつもりだったが、目算を誤った
――希望の党は、安全保障関連法について「適切に運用し、現実的な安全保障政策を支持する」と掲げ、保守票を奪おうとしました。
彼女が本気で政権を取るつもりだったということでしょう。自民党がハト派の首相だったら、保守層は希望の党に流れていたかもしれません。でも、相手は保守の看板を掲げた安倍政権ですから、岩盤の支持層は崩れないのです。その点は、小池さんは目算を誤った。結局、安全保障関連法に反対する人は、立憲民主党に流れてしまいましたね。
都知事を辞めなかったことも、希望の党には響きましたね。民進党議員の中で考え方の違う人を「排除する」と言ったことも、感じが悪かった。「皆さんに来ていただくのは大変ありがたいが、安全保障政策については確認をさせていただく」と言っていれば、全く違う結果になったかもしれません。一瞬、絶頂期を迎えて、高飛車な態度になってしまったのですかね。
「絶頂期を迎えて高飛車な態度」を安倍氏が評する、というのも歴史の皮肉かもかもだが(笑)。
ただこの10年の日本政治史で、「あっ、ここで潮目が変わったわ」と素人からもはっきりわかるような事件、発言だったという点では自分もまったく同じ評価をしている。
それを、ついついSF風に表現したことがある(笑)
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この前の話なんだけどね。ある小さな飲み屋で飲んでたら、カウンターにいたちょっと服装の薄汚れた男が素っ頓狂な声を上げたんですよ「ひゃー、『こっちの世界』では安倍晋三がまた首相をやってるのか!?」って。
(略)
「失礼、というと…どういうことですか。詳しくお話を聞かせて戴ければ」ってんでビールをおごりながら話を聞くと、なんと数日前あたり(当人の記憶が曖昧。ちょっとばかり彼の世界からは「さかのぼって過去にきた」かもしれないんだって。
(略)
飲み屋には、1、2カ月ぶんの古新聞が捨てられずに積まれてたので、おかみさんにお願いしてちょっと見せてもらった。その男が、一番驚いてた
「なにこれ」「俺の世界と全然違う」・・・・・・・とね。で、最初に叫んだ通り、あっちの世界では2017年11月の日本国総理大臣は、安倍晋三ではない。日本初の、女性として首相の印綬を帯びた小池百合子総理大臣閣下なんであった。「そっちの『希望の党』って、排除の論理とか、さらさらないとか、立憲民主党の躍進とかでコケなかったんですか?」
「何だそれ?そんなの全然聞いたことない」と・・・・・・
彼が語った、小池新党の天下取りの流れは(後略)
ま、まさに事後諸葛亮の話だけど、こういう流れだったら小池は勝利したであろう、と思う。そして、パッと思いつく限りではこれに匹敵するぐらいに、やはり自民党が揺らぐ場面はここ10年では無かったと思う。
逆に、あるという人のために、こういう思考実験をしてみようか。
「政権奪取時の選挙も含めて、安倍首相再登板時代(2012.12.26~2020.9.16)の計3回の総選挙(2012、2014、2017※…この時が希望の党参戦)の一か月前に、貴方はその後の歴史の知識を保ったまま、安倍首相以外の、日本の政治家1人に転生できる(つまり自分のやらせたいことを自由にできる)、そんなチート能力をつけてあげます。さあ、どの選挙の一か月前、どの政治家を選びますか?」
こんな条件の下で選ぶなら、そこに共感できるとかできないを置いて、安倍自民党を下野させるムーブメントを起こせるIFを構想できるのは、やっぱり小池氏じゃないですかね。
「いや小池新党は本当にヤバかった」という安倍回想を読んで、そんなことを思ったのですよ。
しかしIFはIFとして、現実の世界では2024年、東京都知事の任期満了にともなう選挙が予定されている。(了)