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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

読書バリアフリーって要は「電子版を出さない出版社は差別者(河村たかし?)」と翻訳できる…よね?

あとでいつか書こうと思ってたけど、読書週間中だからいま書いておこう。

市川沙央氏が芥川賞を受賞した時に、いくぶんか話題になった。

「はい。『ハンチバック』を書くきっかけは、通っていた通信課程大学での卒論リサーチです。障害者や差別の歴史を調べていて、いらだちを感じることが多々ありました。

 とくに、日本の読書バリアフリー環境の遅れは目につきました。障害者の読書を想定せず、電子化されていないものが多い。重度障害者だってもちろん本を読むということに気づいてもらうために、いろんなものを書く重度障害者の主人公・釈華を設定し、自分を投影させました。

 当時者が当時者として書く『当事者表象』をしようと決めたわけです。重度障害者で、プロを目指して小説を書いている人は珍しいでしょうから、こ
れは自分がやるべきだろうと思いました。
bunshun.jp

最近もあらためて表明したそうな。

市川氏、電子書籍を出さない出版社に失望する

文科省からもいろんな資料が出てる

www.mext.go.jp
基本的施策(9条~17 条)
協議の場等(18 条)
視覚障害者等の図書館利用に係る体制整備等(9条)
・アクセシブルな書籍・電子書籍等の充実
・円滑な利用のための支援の充実
点字図書館における取組の促進 など②インターネットを利用したサービス提供体制の強化(10 条)
・アクセシブルな書籍・電子書籍等の利用のための全国的ネットワーク(サピエ図書館を想定)の運営への支援
・関係者間の連携強化 など
③特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援(11 条)
・製作基準の作成等の質の向上のための取組への支援
※特定書籍・特定電子書籍等:著作権法 37 条により製作されるアクセシブルな書籍・電子書籍
・出版者から製作者に対するテキストデータ等
の提供促進のための環境整備への支援 など
④アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等(12 条)
・技術の進歩を適切に反映した規格等の普及の促進
著作権者と出版者との契約に関する情報提供
・出版者から書籍購入者に対するテキストデータ等
の提供促進のための環境整備に関する検討への支援 など
⑤外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備(13 条)
・相談体制の整備 など
⑥端末機器等・これに関する情報の入手支援(14 条)
⑦情報通信技術の習得支援(15 条)
・講習会・巡回指導の実施の推進 など
⑧アクセシブルな電子書籍等・端末機器等に係る先端的技術等の研究開発の推進等(16 条)
⑨製作人材・図書館サービス人材の育成等(17 条)

www.mext.go.jp

https://www.jla.or.jp/Portals/0/data/iinkai/seisakukikaku/harada20211018kiso.pdf

4.アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等
(第 12 条関係)
著作権者と出版者との契約の在り方等、アクセシブルな電子書籍等の販売等に関する著作
権者と出版者との契約に資する情報提供や助言
電子書籍化できるものの増を目指す
• 出版者が書籍に係る電磁的記録の提供を行うこと、その他出版者からの視覚障害者等に対
する書籍に係る電磁的記録の提供を促進するため、その環境の整備に資する情報提供や助
言等を実施
→書籍を買えば電子データがもらえるような仕組みになれば、すぐに音声で聞ける、拡大文
字で読める人もいる。※購入への支援
• 音声読み上げ機能(TTS)等に対応したアクセシブルな電子書籍等を提供する民間電子
書籍サービスについて、関係団体の協力を得つつ図書館における適切な基準の整理等を行
い、図書館への導入を支援
→図書館で読み上げできる電子書籍を使えれば便利


こういうお役所言葉をとりあえず要約すると
「紙版だけ出して、電子版を出さない出版社は差別者」となるのです(個人的まとめです)

いや解ってます、紙の大版書籍もある。ボランティアなどが読み上げたテープもあります。関係各位の努力に頭が下がります。


しかし、2023年現在、すでにそういうものはごくニッチなマイナーなものであり、障碍者の読書バリアフリー化の1丁目1番地は「電子書籍もある」なのです。

売れる、売れない、売り上げに占める割合は
https://shuppankagaku.com/wp/wp-content/uploads/2023/01/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B92301%E3%80%80.pdf
だそうである。それはいい。
だが、とりあえず電子版があるかないかでいえば、もちろん大手はほぼ出しているようだ、商業的な必要性もある。


だが、「良心的な本を出す」「ごく小さな出版社」のなかに、電子書籍を出さない差別的出版社が多い。
あと、作家のなかに、電子書籍にブレーキ掛けてる差別主義者がいますね。困ったものです。



ふふふふ、そうです。
いま、2023年現在、「電子書籍を出さない」というのに加担するやからはみな等しく、読書バリアフリーの精神に逆らう、差別主義者なのです。ちがうの?ちがってたらすいません。

あ、差別主義者というのはちょっといささか穏当を欠く……といわれたら、こんな話題があったっけ。
news.yahoo.co.jp
www.asahi.com
こう言い換えよう
電子書籍化に反対、あるいは消極的な出版社や作家は、河村たかし名古屋市長と同じである」と。

あれ、こっちのほうがアレかな?


もちろん、いろんな事情があるし、こだわりその他の問題があることは存じあげている。
しかしそれを言ったら名古屋城復元だってそれ以上に事情もほかの問題もあるわけでな。


まあいわゆるポリコレこん棒ってやつだ。
はい、電子書籍を出さない出版社・クリエイターを殴る「読書バリアフリー妨害差別者こん棒」というのがありますよ、と、ここに置いておく、といいますか(笑)……使う使わないは貴方次第。
ちょっとまて、なんでこんなにアマゾンでこん棒売ってるの。

もちろん「だから電子書籍を出せる環境を作れ」という方向性もありえる。

規模の小さい出版社が、とりあえず電子版を出すための費用はすべて補助金、公金で賄う、とかね。
あるいは逆に、図書館内での利用や図書館に登録したハンディキャップのある利用者向けには、紙の本を断裁してPDFなりJPEGにして、それを送信したりすることが許される、とかね。
そういう、読書バリアフリーに関する政策的なアイデアがあれば知りたいところ。すでに実際に法律や制度になっているかもね。