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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

日本の民主政治の系譜を(おそらく)断絶させた男・青木幹雄氏が逝去。


青木幹雄といえば、今現在も経世会の勢力図に影響を及ぼしている(具体的にいえば茂木敏充氏のことがダイキライ)とか、ただの経験則ながら誰もが無視できない「青木率(内閣支持率と与党支持率の合計によって政権の安定度を図るというもの)」、野中広務との「毒饅頭」を巡る喧嘩別れ、それに至った小泉政権参議院を抑えて、長期政権の道を開いた功罪……などがあるが、


自分的には「「日本の民主政権の系譜を断絶させた」(であろう)という点が、一番歴史的には意味が大きいと思っている。


これは翁長雄志沖縄県知事が在職中に逝去したことを追悼した2018年の記事,、あるいは病気退陣の安倍晋三自民党総裁に返り咲いた2012年の中で、少し書いたことがあった。

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…本来的には、政治家に対し、それも軍事や警察もふくめた最高責任者になる可能性が高い政治家に対しては「あなたは健康ですか?病気はありますか?激務に耐えられますか?」ということにはチェックが入るのは民主主義体制下では当然のことで、さらにはここで虚偽の説明をしたらそれだけで資格がない、となる。

日本では、これがすごく遅れていた。脳梗塞をわずらった鳩山一郎、舌がんを隠した池田隼人、倒れた後も深刻な心臓病であることを隠した大平正芳、そして記憶に新しいところでは側近政治家によって意識不明であることが隠された小渕恵三

とくに最後は、青木幹雄が首相代行になる根拠となった「首相が代行をわたしに命じた」という発言ができる状況ではなく、その発言は捏造だったという疑惑がいまも絶えない。もしそれが捏造だったら、ある意味戦後の民主主義体制の正統はここで断絶し、簒奪された・・・のかもしれない。ジオン・ダイクンからギレン・ザビへの権力継承のようなものですよ(へんな喩えするな)。


むろん、その後、森喜朗氏が首相になったことも、次の小泉、安倍、福田、麻生、鳩山…すべて、国会議員による首班指名を経た以上、民主的正統性は疑いない。


だがA:84代首相・小渕恵三脳梗塞による執務不可能状態)→B:内閣総理大臣臨時代理・青木幹雄→C:85代首相・森喜朗…となる中で、青木幹雄内閣総理大臣臨時代理が、正しい手続きに沿わなかった正統性のないものであったら、もはや取り返しのつかない形で明治憲法以降とすべきか、日本国憲法以降とすべきか…後者のほうが正しいだろうな、その民主主義的正統性の系譜は「断絶」したであろう、と思っているのであります。

内閣総理大臣また内閣総理大臣臨時代理予定者(副総理、副総理格、首相臨時代理等)が死亡・重篤な病気となった場合に国政上問題が生ずる虞れがある(特に臨時代理予定者を常に明示しない方法3だと、国政上問題が生ずる可能性が高くなる)。もし、そのような事態が発生した場合は、「他に方法はないし、また、条理上許される」として首相以外の閣僚による「協議」(首相不在では閣議は開けない)で閣僚の中から内閣総理大臣の臨時代理を指定することができるというのが政府見解である[4]。しかし、この場合は一時的に首相権力の空白期間が生ずる可能性がある。

これが問題となったのが、2000年4月の小渕恵三総理の入院である。小渕内閣第2次改造内閣では臨時代理を予め指定していなかったが、内閣官房長官青木幹雄が「入院中の小渕から代理に指名された」として、臨時代理に就任(方法3)した。

この際、病床の小渕首相が自らの意思で臨時代理を指名することが時間的・医学的に可能であったかや首相権力の空白期間について論争となり、青木の臨時代理への就任の正当性や首相権力の空白が問題視された…
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そんなことを思い出しながら、功罪はひとまずおいて、一人の政治家を追悼する。安らかなれ。