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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

「安倍晋三と潰瘍性大腸炎」から「政治家と病気(の報道)」をあらためて考える。

実のところ、ここ半月・・・いや1カ月ぐらい前からかな、「安倍晋三 病気」「安倍晋三 病名」「安倍晋三 難病」「安倍晋三 体調」で検索して内のブログに来る方が非常に多い。
最近はこの話題が多いから結果が変わったけど、以前はこれが検索上位に来ていたらしい。

安倍晋三の病気(難病指定)を、われわれはどこまで揶揄できるか?権力と風刺と(上杉隆ブログより)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20090228/p7

残念ながらこのときリンクを貼った両方のページともいまは移転?かなにかしていて見られない。
ただまあ、政治状況が変わってまた安倍氏が政局の重要人物となったので再論しよう。


やはり、上でもちょっと触れたが、特に彼らに関して、自ら議員という公職に立候補し、選ばれる立場になっている以上、病気も含めたすべてのことをブラックユーモアも含めて揶揄・風刺されるのはある意味やむを得ない部分がある、とは思う。
いしいひさいちレーガン
アルツハイマー病をみごとにギャグにした一本がある。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20101211/p3

1、レーガン「みなさんに告白があります」
2、「わたしはアルツハイマーを患っています」
3、記者たち「おお、なんと率直な!」「感動した!」
4、レーガン「発病は20年前(大統領在職中)でした」。記者団ずっこける。

ただし、どこかに限界があるのも事実であってね。それはそこにも書いたが週刊金曜日が主催した集会でのパフォーマンス(今上天皇のがん手術の揶揄)が全面謝罪に至ったことなどが例に挙げられる。
 
ま、そんなことで安倍氏が難病指定の病気にかかったのは肉体的な問題であり、誰が悪いということもなく、彼の責任ともいえない。ただ、ギャグに関してだね
「ぽんぽん痛くなっちゃった」「下痢ピー」「うんこもらし」などなど、安倍氏を揶揄する書き込みが首相辞任以降、よく見受けられる。
で、統計的な意味や根拠はないが読んだ印象として・・・どうも、ふだんは病気を含めて「肉体的な問題を笑い話にするとは差別だ!」とかいう側とかぶっているような気がしてね。

この種のブラックユーモアに関して、「でも2007年ごろ、安倍晋三氏の大腸の難病に関してXXXXXXやXXXXXというようなからかいもあったからねえ。それを基準に考えればこれも許容できるんじゃない??」と、あの時の揶揄書き込みをひとつのOKラインにできると仮定したとしたら、、表現の幅は拡がりそうな気がするな。(笑)
それに対してどこかでは、「あれは言いすぎだった」「政治姿勢や思想でなく、肉体的な問題に対しての誹謗中傷だった」と反省の弁があったりなかったりするのだろうか。

まじめに「政治家と病気・健康状態」の問題が取りざたされるのはいいことだ

さて病気に対しての「揶揄、からかい、パロディ、ブラックジョーク・・・」の問題に関してはしょせんある意味、枝葉ですね。
本来的には、政治家に対し、それも軍事や警察もふくめた最高責任者になる可能性が高い政治家に対しては「あなたは健康ですか?病気はありますか?激務に耐えられますか?」ということにはチェックが入るのは民主主義体制下では当然のことで、さらにはここで虚偽の説明をしたらそれだけで資格がない、となる。


日本では、これがすごく遅れていた。脳梗塞をわずらった鳩山一郎、舌がんを隠した池田隼人、倒れた後も深刻な心臓病であることを隠した大平正芳、そして記憶に新しいところでは側近政治家によって意識不明であることが隠された小渕恵三

とくに最後は、青木幹雄が首相代行になる根拠となった「首相が代行をわたしに命じた」という発言ができる状況ではなく、その発言は捏造だったという疑惑がいまも絶えない。もしそれが捏造だったら、ある意味戦後の民主主義体制の正統はここで断絶し、簒奪された・・・のかもしれない。ジオン・ダイクンからギレン・ザビへの権力継承のようなものですよ(へんな喩えするな)。
まあこれは緊急事態の法整備の問題で、ちょっとちがうか。


とにかく、日本の政治家に関していえば「病気を隠す」はそんなに悪徳扱い、責任問題扱いはされなかったという記憶がある。これは民主主義国家では、フランスがかなりそれに近い傾向があり・・・ミッテランの病状はみごとに隠し通された。
これは「病気はプライバシー」という考え方もあるから、それといろいろ絡み合っているのかもしれない。政治家の愛人、浮気、隠し子についてもフランスは寛容。日本との類似点も、相違点もいろいろあるかな。

で、自分の「頂点をめざす政治家に対しては、健康や病歴が公の関心事になって当然!」という考えのモデルになっているのは米国の、予備選挙をふくむ大統領選です。

アメリカも、ルーズベルトケネディの時代には、メディアと共犯関係を結んで秘密にしており、ルーズベルトなんか「車椅子」であることを隠したのだから極端だが…。
その後、こういうことを隠すのは問題だ、という意識になったとおぼしい。

心もふくめた健康状態が話題になったのはジョン・マケインやマイケル・デュカキスだったかな。あとレーガンジョン・ケリーも高齢とかがん経験が争点になった。

アメリカの大統領選挙、とくに予備選を限られた翻訳の報道でみるだけでも目からうろこがおちることが多いのだが「なるほど!公の候補者には、こんなことまで尋ねてもいいのか!!!」「こんな切り口があったのか?」という点では啓蒙されることが本当に多い。
予備選の候補者討論会なんか本当に参考になるよ。
 
ただ・・・「アメリカの大統領選挙は、そもそもやりすぎだよ。あれは特殊例で、マネをするに値するものじゃない」という批判も多くある。クリントンの女性問題とか、若いときに飲酒運転したか?ドラッグ吸ったか?とかね。


そのへんはあるのだが・・・でもやっぱり、ストレートに健康問題を尋ねて「うそは許されない」という風潮をつくるのはトータルではプラスがおおいと思う。
たとえば小沢一郎氏に対しても、現在数十人の政党を率いる党首なのだから「あなたの心臓病の程度を教えてください。ステント治療は行っているんですか?」と聞くのが失礼や非礼かというと違うでしょうね。

最近はアメリカでは候補者に「銀行・金融口座の預金残高、納税額を自主的に発表せよ」と要求する、というのもあったっけ。これも日本に輸入したらおもしろい(笑)

安倍晋三氏の総裁選会見に戻って

「総理在職時、難病で辞職せざるをえない病状だったが、現在特効薬ができて体調はすごく良好」と本人は述べている。

つらつらと感想
エビデンスのない印象論だが『「辞めるときは治療法のない難病だったが、総裁選に出馬できる環境が整った2012年には特効薬ができてる」って都合よすぎるわー。小説じみた、できすぎた話だわー』って思わないでもない。
 
・ただ、素人がぼっとしている間に、医療の分野ではたしかにぐん!と進歩しているってこともよくある話らしく・・・最終的にはその病で逝去したが、ジャンボ鶴田が肝臓病から最初に一命を取り留めたとき「ぼくの病気はどれぐらいの重さだったんですか?」と鶴田が尋ねた医者の答えが「簡単にいうと、3年前なら死んでましたね」だったという・・・。数年で、劇的に変わることはあるんだろうな。大仁田厚も、不潔な道頓堀にダイブして全身から高熱が出たとき「今までの抗生物質は使いまくりで耐性ができていたが、その直前に『一種類』だけ新しい抗生物質があり、そのおかげで助かった」という伝説をきいたことがある。
 
・だからこのへんは、はてなだけでも綺羅星のごとくいる「医者ブロガー」の皆さんに、安倍氏が自己申告するような「画期的な新薬で症状はカンペキに抑えられるようになった」というのはどこまでホントか、ウソかについて書いてもらいたいと思うのです。
 
・あと、この病気については、「ストレス」が引き金になるのも、これは医学的な事実。だから在任時の病気退陣も、本来なら一択の「病気なら仕方ない」だけでなく、
安倍は総理時代、潰瘍性大腸炎が悪化した→同病はストレスも引き金→総理の職はストレスの塊→ストレスで再発のリスクあり→総理の病気は国益を損なう→安倍は総理(を狙える大野党の党首)にはふさわしくない
という論法自体は、ふつうにありえるだろう。
 
・その疑問を払拭すべく、安倍氏が弁明に追われるという状況は、「健康と政治」という大きな問題のひとつの解として、全体としてこのましい状況だと思います。


以上。

勝谷誠彦氏の意見

この問題に関して、勝谷氏はこんな意見をメルマガで書いている、と情報を寄せて頂いた。

私は当時、安倍さんのひ弱さについてずいぶんと批判したものだ。しかしその後、直接会って話すうちに、病気がいかに過酷なものだったかを理解した

私たちの普通の社会生活において、病気で会社を休む、もしくは辞める人がいれば「無責任だなあ」とその場は思っても・・・(略)…治って復帰してくれば「よかったですね」「頑張ってください」でしょう。なぜ安倍さんだけかくも執拗に批判されるのか・・・

付記 コメント欄より

シス 2012/09/14 19:59
政治家の健康問題といえばキッシンジャーイスラエル・アラブ問題でシャトル外交してた時にあるアラブの産油国(王政)の首長にいきなり「そういえば持病の○○の手術が成功したそうでおめでとうございます」とカマして極秘だった指導者の体調を知られてて相手が同様、交渉を有利に勧めたとかいう話がありますね。情報機関はそういうのを調べて外交担当者にレクチャーすることが大国では多いとか。まあノビー・オチアイソースなので信ぴょう性はアレですがw
 
わむ 2012/09/14 22:05
医者ではないですが身内に潰瘍性大腸炎患者がいる私が一言。
潰瘍性大腸炎」は「原因未特定、根治につながる治療法も確立していない」という「厚生労働省指定の難病」です。「原因につながるかもしれない仮説」と「患者によっては有効な治療法」がいくつか存在しますが、一般的に言われる「特効薬」はまだ存在しないはずです。安倍氏はお金持ちの有力者なので認可前の「特効薬」を使用しているかもしれませんが。潰瘍性大腸炎は致死性の病気ではないので、「難病」としては楽な部類かもしれません。しかし、年に数回〜月一レベルでの定期的に下剤を飲み大腸検査を受けなければならないことや食事制限、大便の回数など日常生活にかなり支障のある病気であることは間違いありません。つーかそんな「特効薬」があるならうちの身内にも回してもらいたいくらいですw