INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

赤穂浪士の徹底批判者としても有名な佐藤直方の「天皇論」名言をウィキペディアに載せた

「恒例投稿」をしたように、(太陰暦ではありますが)12月14日は赤穂浪士の討ち入りの日。
翌日はこの報が世間に伝わり、泉岳寺に行軍した浪士は公儀に投降、おそらく天下騒然となったのでしょうね。

m-dojo.hatenadiary.com



さて、以前こう書いた。

個人的な趣味なのだが

最近、江戸期の初期を中心とした、儒学の日本的な受容と論争の歴史が面白くてしょうがない

(略)
高校生のとき読んだ山本七平「現人神の創作者たち」を読んだ時相当面白かったが、あの当時の興味が持続再燃したという感じかな。でも、当時はところどころ足りなかった基礎知識が蓄積されたから、固有名詞の持つ意味がよりクリアになっている、というべきか。

m-dojo.hatenadiary.com


だもので、忠臣蔵赤穂浪士討ち入り日を機に、再度この本を引っ張り出した。



なんでなのかは説明がややこしいので省くが、赤穂浪士論…特に討ち入りは正義なのか、悪なのか」は、そのまま尊王攘夷論、というか討幕論などに直結する問題なんだよ!!
それはいわば「谷山-志村予想」を証明することが、「フェルマーの最終定理」の解決になる、と同じようなものなんだ(はい、左のはあくまで比喩で、自分はその予想や定理については何もわかってないですが)。


ま、そういうことで、儒学者「佐藤直方」は赤穂浪士論、尊王論どっちにもかかわっているんです…それも、かなり一般的な江戸儒学思想家の「逆張り」として。


山本七平

前にある人から
「同じ崎門の出なのに、佐藤直方はなぜ維新に影響力を持ち得なかったのですか」と聞かれ
何となく無責任に『赤穂浪士を否定したからじゃないですか』と答えたところ、その人は言下に「それじゃ、だめですな」といった……(略)これが今なお、もっとも人々が納得する返事であることは面白い。

佐藤直方、赤穂浪士の徹底批判者(現人神の創作者たち)

と回想している。

その上で、佐藤のこういう言葉を紹介している。
いわゆる、天照大神が、自分の子孫を代々守り続けよう、と宣言した「天壌無窮の神勅」というのがあるのだが…

「天壌無窮の神勅」と呼ばれるのは、『日本書紀』神代天孫降臨章第一の一書に、「葦原の千五百秋(ちいほあき)の瑞穂の国は、是、吾が子孫(うみのこ)の王(きみ)たるべき地(くに)なり、爾皇孫(いましすめみま)、就(い)でまして治(しら)せ、行矣(さきくませ)、宝祚(あまつひつぎ)の隆えまさむこと、当に天壌(あめつち)と窮り無けむ」(原漢文)とみえるもので、日本国を統治する天皇の地位を神授不動のものとする思想の拠り所とされた。

crd.ndl.go.jp


これを、佐藤直方はこう一刀両断する。ほんとの「筆刀両断」はこういうものだよ。

「日ノ神ノ託宣ニ、我子孫ヲバ五百万歳守ラント被仰セタナレバ、ヨクナイコトゾ。子孫ニ不行儀スルモノアラバ、ケコロ(蹴殺)サウト仰セラレタナレバ、ヨイコトゾ」

佐藤直方の「天壌無窮の神勅」批判 現人神の創作者たち

山本七平も「こういう言葉を堂々と口にした人が十七世紀にいたことは面白い」と語っている…

そう、この時期は「何を言ってはいけないか」のタブーも固まっていない江戸思想の黎明期なのだ。abemaTVの放送禁止用語どころじゃない(このネタ、数年後に意味不明になるな…)

この言葉を解きほぐすと、そのまま「赤穂浪士批判」にも繋がるのですが…


まあ、それは後日のはなしとして、「子孫ニ不行儀スルモノアラバ、ケコロ(蹴殺)サウト仰セラレタナレバ、ヨイコトゾ」この言葉は大好きで、令和に代替わりした時とか(笑)、このブログでも紹介してたんですが
m-dojo.hatenadiary.com


ぶっちゃけ全然広がらない。ネットでも見ない。このブログだっていつ消えるかわかんないんだし、資料としてもっと広める方法は無いか……と考えたら、何のことは無い、佐藤直方のウィキペ記事に加えればいいんだ、とひらめいた!ピコーン。


で、入れた。
ja.wikipedia.org


この機会に、自分が知ってる江戸思想家のウィキペ項目を見たら、やはり記述が相当あっさりというか短い。ここになら、自分の知見…というか持っている資料でもいろいろ追加できるかなあ、と思っています。


まずは皆様、赤穂浪士討ち入りに合わせて
その批判者であった儒学者・佐藤直方と、
その佐藤が、天照大神の神託を否定し一刀両断した
「日ノ神ノ託宣ニ、我子孫ヲバ五百万歳守ラント被仰セタナレバ、ヨクナイコトゾ。子孫ニ不行儀スルモノアラバ、ケコロ(蹴殺)サウト仰セラレタナレバ、ヨイコトゾ」


を覚えて、持ち帰ってください。