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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

白土三平は「抜け忍もの」ジャンルを作ったのか?/そもそも、あんな非効率的な追跡、現実にはしてないよな?【創作系譜論】

【創作系譜論】白土三平氏訃報が伝わり、しばらくたつ。
追悼の意味を込めて、「カムイ伝」を再読し、面白いところをピックアップして追悼としたいという意志はあって、実家から二十数巻の文庫本も持参した(結構場所とるねえ、おい)んだけど、まだ果たしていないので、先にこのこと書いちゃおう


白土三平は、「抜け忍もの」というジャンルを開始した人間(※かどうか要検証?)、少なくとも確立させた大功労者で(これは当然の事実)、その後、忍者そのものでなくても、趣向を変えての『抜け忍もの』というジャンルが確立された……との言説があります。

www.youtube.com

忍が通る 獣道(けものみち)  風がカムイの 影を斬る孤(ひと)り 孤り カムイ孤り  孤り カムイ風の中を 抜けて行く

少し、訃報関連だけでなく、この言葉で検索してみると結構面白かった。
…※その前に皆さん、当然なのか不備なのか、IMEでは「抜け忍」という単語はありません(笑)事前に登録をお勧めします。


まず、訃報に際しての話では、町山智浩氏がこの言葉を使っていたな

伊賀の地に拮抗する百地三太夫、藤林長門守の二大勢力の間で、「影」に徹して生きる忍者の群の中に、若き日の石川五右衛門がいた。歴史の裏側で暗躍した忍者の世界を、現代の眼で捉えなおした記念碑的名作!


すまん、URLでいちいち埋め込む方式は大変なので、以後コピペさせて!!

NAL / ナルサワトモアキ

@wastedays
2010年7月18日

レポゼッション・メン>“抜け忍もの”の後の終盤は手段が目的の前提をぶっ壊す滅茶滅茶な展開になるんだけど前述の通り有無を言わせぬ壮絶な血みどろの戦闘とこれをエロと思えるのはどんなド変態だレベルの一種のラブシーンで押し切った後で、ああやっぱりねというというオチが待つ。力業、参りました

高岡ゴンザレス

@kiyotek

2011年2月11日

「ザ・タウン」観終わった。面白い抜け忍もの!インセプションキリアン・マーフィーの父親役も演じたピート・ポスルスウェイトが出てたんだ!凄味のある強盗の元締め役が素晴らしい。ジェレミー・レナーも良かったけど、個人的助演俳優賞はピート氏かな。ご冥福をお祈りいたします。
#twcn

田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루
@kakitama
·
2012年10月25日

サイボーグ009』は隠密剣士や白土三平と言った忍者物ブームの最中に生まれた作品で、話の基本構造は「抜け忍もの」であり、分身の術の様な忍術アクションを最新科学ネタ仕込みのSFに置き換えたもの、とも言えそう。基本的には「活劇」と「抜け忍の悲哀」で出来ている。

伊藤 剛

@GoITO
·2011年7月20日

(昭和の)仮面ライダーは「抜け忍もの」という解釈のオリジンは誰なんだろう。

田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루

@kakitama
·
4月4日

仮面ライダーは公の組織の助けを一切借りず、自力だけで自分が捕まり改造され脱出した組織(ここは009と共通する”抜け忍”もの要素)と戦う。それを社会から賞賛される様子も無い。
悪の組織も世界制覇と言いつつ、その遂行能力はテロ組織かカルト団体レベル。戦いは”人知れぬ”ものになっている。
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藤津亮太(連絡先はプロフィール欄に)

@fujitsuryota
·
2016年7月4日

昨日は大阪でアニメレビュー勉強会in大阪を。その前に時間があったので、梅田のTOHOシネマズで『名探偵コナン 漆黒の悪夢(ナイトメア)』をようやく。推理ものというより、スパイ映画(かつ抜け忍もの)に振っていて、過去最大のヒットもわかるサービス満点の内容でした。

遠藤正二朗

@Shoujirou_Endo
·
2012年12月12日

マスターロムをSEGAさんに提出すると、評価報告書がFAXされてきたんだけど、シルキーリップの時は、『今後、ヒーローものとか巨大ロボットものとか抜け忍ものにも期待しています』とのコメントが。『抜け忍もの』だけ妙に個人の趣味っぽくて笑った気が。  #メガCDの誕生日だし思い出語れよ

身崎洋二郎(日々鬱鬱)

@msky2r
·
10月27日

その後デビルマン(マンガの前半とアニメ)やタイガーマスクに受け継がれた抜け忍もの。石森章太郎仮面ライダー以降もキカイダーアクマイザー3など抜け忍もの設定を好んで使用。

前Q(前田久

@maeQ
2018年3月18日

そういや吉田秋生先生がたびたび「『BANANA FISH』は『カムイ外伝』っぽいことがやりたかった」みたいな発言をされていて、以前はピンと来てなかったんだけど、読み返すとたしかに『カムイ外伝』つうか「抜け忍」ものメソッドだった。刺客を倒すと、もっと強い次の刺客がやってくる……みたいな。
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烏帽子九郎/犀の角のように絵描き

@eboshi_kuro
·
7月8日

#デビルマン
TVアニメ「デビルマン」の放送開始日ですか!
子供の頃にアニメを見て他の「抜け忍もの」とともに好きになり、中二病期に「原作マンガ」を見て永井豪ワールドにハマった私は、理想的な付き合い方だったと思いますw

長 高弘 (獣脚類ティラノサウルス科ズケンティラヌス)

2018年2月6日
映画評論家の町山智浩さんも、結構前から映画の説明で「抜け忍もの」と云う言葉を使ってたような……
引用ツイート

葛西伸哉HJ文庫『封印魔竜が〜』発売中!ノベリズム『聖なる彼女に~』連載中)

· 2018年2月6日
「ヒーローが非公然/反社会の暴力組織からの脱走者なので特別な戦闘力を持っているし、同等の力を持っている資格が次々と現れる世界設定に無理がない」タイプを私は抜け忍メソッドと名付けている。タイガーマスクとか仮面ライダーとか。
このスレッドを表示


白土三平以前の貸本劇画、とかの話も出てきて…ここでみなもと太郎氏ご健在なら、一刀両断なんだろうけど!!…本当に惜しい人材、知的遺産を失った。

ただ、起源探索論は、少なくとも自分はどう知恵を絞っても、結局たどり着けないだろうという自信があるので(笑)、そういう「お題」だけ問うて、識者の発言を待つ。
ちなみに初出調べ・参の型「国会図書館デジタルコレクション」内を検索しても0件でした。
dl.ndl.go.jp




案外、外国映画の「いまは静かに暮らす元ギャングor元傭兵」とかがあるかもしれんしね。組織から追われることも含めて。


アルプスの少女ハイジの「おんじ」が、「抜け忍」ってこともないだろうけどさ!!
togetter.com


ただ……白土三平オリジナルの設定にしては、作品の中で、「皆さんは知らないだろうが、抜け忍という存在があって…」という説明というより「説明不要、おなじみの抜け忍ですが…」というテイストのほうが強い気もするんだよな。

ただ、自分が読んだ白土三平漫画って、しょせん氏が大物になってからの代表作の一部にすぎず、「もともとも自分で作って、自分で『説明不要』のお馴染みコンセプトまでにした」というだけかもしれんしな……。


抜け忍概念の、拡大と拡散

このブログでは散々書いた話だけど、ジャンルは「…というジャンルがある」と誰かが言った時に初めて成立する、という面がある。
だから仮面ライダータイガーマスクその他に「抜け忍」の影を見るのは大したものだけれども、上に書いたように、「組織に追われる」という点では海外のマフィア・ギャングものとかも関係しているのかな。

と同時に、「主人公は、超人的な力をなぜ持っているの?」の説明に「主人公は、戦っている悪の組織から抜けた人間。だから両方ともそういう力を持つのです」は、とりあえず説明が簡単(一回で済む)だから、という点もあるのだろう。

www.youtube.com

裏切り者の 名を受けて
すべてを捨てて たたかう男
デビルアローは 超音波
デビルイヤーは 地獄耳
デビルウィングは 空をとび
ビルビームは 熱光線
悪魔の力 身につけた・・・・・・・(後略)


一方で追われるというサスペンス、孤独感、その中で作られる安らげる人間関係、そかし秘密がバレたらそれも終わるだろうという寂寥感……いろいろ発展し得る。


ところで、実際にこの世の果てまで抜け忍を追いかける忍者集団なんかいねえよな??

忍者関連の研究はここ数年で、飛躍的に進んだそうだが
m-dojo.hatenadiary.com
m-dojo.hatenadiary.com
m-dojo.hatenadiary.com


そんなのは調べないでいう!!調べるまでもない!


コストとベネフィットが見合わない!!
だから仮にそういう慣習がブラック忍者集団であっても(たいていそうだろ)上忍が、「働き方改革」や「事業仕分け」して、そんな抜け忍追跡部門なんて、不採算事業から秒で撤退する筈!!

だからこそ、たぶんフィクションであり、それを創始した?か、或いは間違いなくジャンルにまで高めた功績者のひとりであろう白土三平はリスペクトされるべきなのだが。



【創作系譜論】※準タグです。この言葉でブログ内を検索すると関連記事が読めます

コメント欄にて討議・検討(重要情報あり!)

流転

「抜け忍」というネーミングは小島剛夕によると自分の発案とのこと、小島剛夕白土三平は互いに了解のうえで設定などを共有する仲であったとのこと、小島剛夕の作品にも忍法オボロ影を使うくノ一が登場するも作品があります
あと、白土三平の「抜け忍」のイメージには司馬遼太郎の短編「下請け忍者」が影響を与へているのでは?想像してしまいます


Poet

脱走した山南敬助をわざわざ沖田総司に追わせた新選組が、抜け忍の追手のイメージとかぶるのですが、そもそも、よく捕獲できたと思いますね。



通りすがり2

梟の城(1958年、昭和33年)って、敵役の忍者って抜け忍じゃなかたっけ?
主人公も微妙な立場だったような・・・うろ覚えでスマン。


gryphon

コメントすべて参考になりますが、
小島剛夕が名称ふくめ発案者
白土三平と「設定共有」していた

とか、あまりに重要情報過ぎて、逆にソースが無いと広めにくいほど。どこかで、そういうテキストを確認できませんかねえ…?
新撰組は「裏切者・脱走者の粛清」のほか「容疑者を拷問のすえ、大規模テロの計画を寸前で察知して襲撃、平定」とか、たしかにそのままフィクションじゃないか、って感じの事柄が多いのう。

そして司馬遼太郎の忍術もの。そもそも昭和30年代の忍者ブームは彼の主導だ、とも言われてるしなあ。そして氏を通すと、「司馬の独創か典拠があるのか不明」になってしまう、もしそうんら相当厄介だ…
そして江戸時代や戦国時代に「〇〇という言葉/概念 があった」と書くと、そうとうバレにくい(笑) ないことを証明しづらいし、辞書になくて当然だし…
そんなコメント欄をすべて記事の末尾に。


tennteke

別件で「忍者キャプター」1976年4月7日から1977年1月26日までを調べていたら、主人公火忍・出雲大介も風魔忍軍からの抜け忍でした。


流転

どうも、小島剛夕の発言は70年代に出版された、活字本の回想記(?)にあったものです(題名失念・・・これ持っていたのですが、引っ越しの時に紛失してしまいました・・・)この本イロイロ面白い情報が満載で、梶原一騎原作の「惨殺者」の宮本武蔵のビジュアルイメージは白土三平だとか「子連れ狼」が最初に小島剛夕のところにハナシがきたときは現代物(!)で少女を連れたフリーランスの暗殺者のハナシだったとか・・・(これは小島剛夕以外の「関係者」のハナシと大きく異なっていますが・・・)
子連れ狼」の連載前に小島剛夕自身が出していた企画は「甲賀忍法帖」の劇画化であったとか・・・

あと、1963年のボーイズライフ創刊号に発表された白土三平の「ざしきわらし」現在複数の文庫版アンソロジーなどに収録される白土の代表作の一つといえる短編でまさに老いた「抜け忍」を主人公としたものですが、作中「さがせ、おきてじゃ!!」「たとえどこへ隠れようと、見つけ出して切れ!!」という頭領(作中では殿とよばれています)のセリフはありますが主人公ダンズリ(兎の山言葉)の小助は抜け忍とも抜けたとも呼ばれていません、おそらくこの段階では白土三平の中では概念としての「抜け忍」は確固としあったけれども名称としての「抜け忍」はまだなかったのでは?と想像されます



**gryphon

ダンズリ!! 自分は「忍法秘話」収録で読んだ!! 皆にバカにされる、身分の低い忍術だが、ひとつだけオリジナルの術を持っている。その秘密を教えると、いよいよ用済みとして生活もままならなくなるので、その秘密だけ後生大事に抱え込んで下っ端として「生き残り」続ける…相原コージの「ムジナ」って、むしろこのダンズリの話がモチーフのはず!!
…と、本題の、小島剛夕情報が実に貴重。いつかウィキペディアなどにもこれらが記載されるべきです。資料を探していこう。(これらも記事に転載)



資料

「抜け忍」が原点 仮面ライダーの作り手が語る混沌の時代のヒーロー


聞き手・稲垣直人2021年9月13日 19時00分

 1971年4月、藤岡弘、さん扮する仮面ライダー1号のテレビ放映がスタートしてから、ちょうど今年で50年。昭和、平成、令和とバトンをつなぎ、9月には新シリーズ「仮面ライダーバイス」の放映が始まりました。作り手たちはこの半世紀、どんな思いで歴代ライダーを描いてきたのか。平成以降のライダーの制作を手がけてきた東映白倉伸一郎プロデューサー(56)に話を聞きました。(聞き手・稲垣直人)

 1965年生まれ。90年に東映入社。以来、平成期の仮面ライダースーパー戦隊シリーズを数多く手がけてきた特撮ヒーローのヒットメーカー。現在、同社取締役、テレビ第二営業部長。著書に「ヒーローと正義」(品切れ)。

「史上初」の女性ライダーが語る 仮面ライダー的かっこいい人間像
 「私自身、50年前の子どもとして、仮面ライダーをリアルタイムで見ていた一人でした。東映入社後の初仕事も、ライダー20周年記念のVシネマで、以来、平成・令和ライダーの制作に関わってきました。シリーズごとに模様替えをしながら連綿と続けてきましたが、必ず受け継いでいかなくてはならない魂、エッセンスのようなものがあると考えています」

 ――それは何ですか?

 「ヒーローも人間、対峙(たいじ)する敵も人間。陣営は違っても、人と人との戦いということです。仮面ライダーはそもそも、秘密結社ショッカーによって作られた改造人間、つまり悪のテクノロジーが刻印されているという設定です。石ノ森章太郎先生の原作が、本来なら抜け出すことが許されない組織から足を洗った忍者、『抜け忍』の発想がベースにあることは知られています。敵の怪人も改造人間ですから、元をたどれば同族同士。他のヒーローなら、敵は異星人という設定もありうるのですが、仮面ライダーはそういうわけにはいきません」

スタート当時 冷戦下の世界観
 ――白倉さんは「正義とは何か?」というテーマにもこだわってきました。

 「仮面ライダー自身、敵によって生まれたという点で、後ろめたさがあります。初めからアプリオリ(先天的)に正義なのではない。『自分は正義』というなら、その大義を自ら勝ち取っていかなくてはならない。これは放映スタート当時、米ソ冷戦のただ中だったこととも関係する世界観です」


www.asahi.com

2023年の関連ツイート。むしろ「忍者」という言葉の考案者が不明?



ははあ たしかに青空文庫国会図書館デジタルコレクションで検索してもよくわからず
www.google.com

というのは、青空文庫はともかく国会図書館のほうが「忍」「者」の単純な並びだから、ござるござるの忍者かどうか、俺にはよくわからんのだ(笑)
知識人なら分類できるだろうでよろしく。

dl.ndl.go.jp