「ベーシックインカム月7万円」を竹中平蔵氏がTVで語り、主に否定的な反応が多かったが、逆にタイミングがばっちりだったので驚いた記事がある。ほんのその、1日か2日前の大型記事なのに、あまりに言及が少ない気がしたので…
9月23日の毎日新聞だった。すごく大きい扱いでベーシックインカムを特集していた。
有料記事だけど、ネット経由でも見られるし。
mainichi.jp
ただ、この「サイド記事」の扱いだから別物として掲載されているかな??
BI導入はどこまで現実的なのか。前日銀審議委員で名古屋商科大学ビジネススクールの原田泰教授は「20歳以上の国民に月7万円、20歳未満に月3万円」が財政状況も考慮したBIの適正水準と主張する。
雇用保険や生活保護の削減なども、すでにここで織り込んでいる。※「廃止」論ではない
このあとに、検討しなければならない問題も列挙されているが、全体のトーンはやはり「好意的に報道」と論評してかまわないかと思う。
てか、中公新書でBIの本書いた人かよ
ベーシック・インカム - 国家は貧困問題を解決できるか (中公新書)
- 作者:原田 泰
- 発売日: 2015/02/24
- メディア: 新書
内容(「BOOK」データベースより)
格差拡大と貧困の深刻化が大きな問題となっている日本。だが、巨額の財政赤字に加え、増税にも年金・医療・介護費の削減にも反対論は根強く、社会保障の拡充は難しい。そもそもお金がない人を助けるには、お金を配ればよいのではないか―この単純明快な発想から生まれたのが、すべての人に基礎的な所得を給付するベーシック・インカムである。国民の生活の安心を守るために何ができるのか、国家の役割を問い直す。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
原田/泰
1950年(昭和25年)、東京都に生まれる。東京大学農学部卒業。博士(経済学)。経済企画庁国民生活調査課長、海外調査課長、財務省財務総合政策研究所次長、大和総研専務理事チーフエコノミストなどを経て、早稲田大学政治経済学術院特任教授、東京財団上席研究員。著書『昭和恐慌の研究』(共著、東洋経済新報社、日経・経済図書文化賞受賞)、『日本国の原則』(日経ビジネス人文庫、石橋湛山賞受賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
関係ないが、今その竹中平蔵のベーシックインカム論、はてブで話題なったのはいつかなーと探してたら別の記事見つかってな
中国メディアが竹中氏を形容する際には「日本経済を最もよく知る人物」「改革の総指揮者」「経済改革の皇帝」「日本の王安石(中国宋代に大胆な改革を成功させた官僚)」
gendai.ismedia.jp
ぶわはははは
えーと、なんだったかな…
過去のベーシックインカム論
とくにこれな。2008年の、書評を基にした話
……こうしたBIの考え方に対しては、賛否が分かれる。賃労働への束縛から人々を解き放つその一方で、自らは働かずBIだけを受け取る「フリーライダー(ただ乗り)」が発生し、「怠け者による勤労者の搾取」を招くとの批判もあろう。フェミニストの中には、稼ぎ手たる男性への依存から女性を解放する契機を与えるとして評価する人がいるかと思えば、BIが給付されることによって、女性が労働市場に赴くのを却(かえ)って引き留めることになるとして反対する人もいる。
あるいは意外なことに、市場原理主義的な新自由主義者から賛意の声があがる。BIが保障されるのであれば、最低賃金などの配慮なしに、賃金は市場の自由な調整にゆだねることができるというのである。一方、エコロジストからは、人々を賃労働・生産至上・経済成長からの離脱を促すものとして支持される。つまり、BI構想は、それのみが独立してその効果が発揮されるというのではなく、どのような立場のどのような政策パッケージの中で位置づけられるかによって、その果たす役割が大きく分かれるということなのである。
ところで、BIの財源はどうするのか、果たして実現の可能性があるのかという疑問に対しては、小沢修司『福祉社会と社会保障改革』(高菅出版)が、日本の現状を念頭に計算を試みていることを付け加えておこう。そして、ヴェルナーの特徴は、ここでもいかんなく示されている。財源を、税率五〇パーセントの消費税に求めているのである。
もともと、ベーシックインカムでは、「不親切、だけどシンプル」であり、それゆえに事務や徴収・給付コストを低減する、と行く話はほぼセットでついていたと思ったのだが。
あとひとつは、「善意の政治のわな」つーかパーキンソンの法則応用編というか、
「親切で善意に満ちた複雑な政治制度」を「不親切だけどシンプルな政治制度」が上回る可能性というか。これは逆に取るほう、税金のほうでしょっちゅう、それこそ新自由主義に近い立場の人が言っているらしいけど、「福祉を考えるとして扶養者控除だとか必要経費なんとかとか、子ども減税とか、いろんな特典をつけたり、また企業でも輸出促進免除だとかなんだとか、とにかくいろんな優遇措置がある。それは、複雑になればなるほど悪用されやすいし、また悪用されなくても、それをいちいち検証、受け付け、判断していくと徴税官僚組織が膨大になり、そこの人件費などが国庫を消耗させるだけだ、ばかばかしい。
極論を言えば税金は一律2割。例外は認めない。こういうシンプルなシステムは、強者に甘く弱者に冷たいようだが、そのシンプルさゆえに一番いい税体系なのだ」
この考え方は別に絞るほうに限らず、与えるほうでもあり得るし実行されている。つまり生活困窮者のひとつ、ホームレスに関しては、いろいろ審査して状況に応じた給付をして生活指導やカウンセリングをして…より「とにかくまず無条件に住む場を与える」のほうが効率的で効果的、とかだ。
……ホームレスの世話で、個別にあれこれと医療を施したり警察を出勤させるより、まず何の条件も課さずにただ家に住んでもらえば、そっちのほうが安くつく、のだという。
http://blog.livedoor.jp/sho923utg/archives/51803664.html
州政府が打ち出したのが「ハウジング・ファースト(家・第一主義)」政策だ。
従来のホームレス支援は飲酒や薬物の禁止といった条件に従うことが前提で、自由気ままに生きる人たちの中には支援をこばむ人も多かった。
そこで発想を転換して、何の条件も課さずにまず家に住んでもらうことを優先した。
きっかけは財政コストの試算だった。ホームレスの緊急医療や警察出動といった行政経費は、ホームレス一人当たり年間約190万円…(略)住宅を無償提供すれば、治安が改善するなどして行政経費はホームレス一人約75万円ですむことが分かった。
「これまでのホームレス対策は社会福祉や人道援助の発想だったが、じつは経済・財政政策だったのです」。
州のホームレス政策の責任者はそう話す。ユタ州のホームレスの数は…(略)2013年には約500人と4分の1に減少した。(略)入居後、ホームレスにもどる比率は10%未満だという。こういうふうにぜんぶ、ひとまとめ、区分しない、おおざっぱに対象を設定する…ことが、厳密な区分と条件調査より、最終的に「事務事業コスト」の差でお得になる、という事象は、世のなかに沢山あるんじゃなかろうか、と。