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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

各種政策で「事務事業コスト」の差し引きが計算できればいいのだけど(その計算担当者の恣意をどう避けるかだなあ…)

もちろん今回のコロナ対策の給付金を受けた話なのだけど、もっと単純にね。

高額所得者を除いて10万円配布する、のと、一律に10万円(あるいは増える分を差し引いて8万円とかでも)配るのと、ふたつの選択肢があるとするじゃん。
この場合、その「高額所得を除く」を実施するための調査、区分、手続き的なことには、やはりある種のコストがかかる。
そういうコストが、どこかで高額所得者を除かず配布する時のコストを上回ったりしないのだろうか。
あるいは、どこかで読んだが(1)まず全員とか全世帯に一律のお金、たとえば10万円を配布する。(2)高額所得者への税率を挙げる。その税率アップが、たとえばおおよそそういう層から、10万円ほど増税をするように設計すれば、行ってこいになるから、結果的に「高額所得者を除いての10万円配布」となり、これは事務的なコストはそんなにかからない…みたいな議論がありました。


一番わかりやすいのは、ベーシックインカム話か。

新聞備忘2 もし最低限、食える所得がもらえる社会なら?「ベーシック・インカム」論じた本が出版。毎日新聞で大型書評。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20080223/p5

そこで書いた感想。

…「善意の政治のわな」つーかパーキンソンの法則応用編というか、
「親切で善意に満ちた複雑な政治制度」を「不親切だけどシンプルな政治制度」が上回る可能性というか。
これは逆に取るほう、税金のほうでしょっちゅう、それこそ新自由主義に近い立場の人が言っているらしいけど、「福祉を考えるとして扶養者控除だとか必要経費なんとかとか、子ども減税とか、いろんな特典をつけたり、また企業でも輸出促進免除だとかなんだとか、とにかくいろんな優遇措置がある。それは、複雑になればなるほど悪用されやすいし、また悪用されなくても、それをいちいち検証、受け付け、判断していくと徴税官僚組織が膨大になり、そこの人件費などが国庫を消耗させるだけだ、ばかばかしい。極論を言えば税金は一律2割。例外は認めない。こういうシンプルなシステムは、強者に甘く弱者に冷たいようだが、そのシンプルさゆえに一番いい税体系なのだ」
 
なんてな理屈がハイエクフリードマン…というよりその亜流のような人々によって俗論的に言われていたこともあった。これらはラディカルな思想、「天下の暴論」というか、頭の体操・机上の空論として言われていた(現実政治としては2000年大統領予備選でこういう主張をする共和党候補が4番手ぐらいにつけたはず)。
ベーシック・インカムは書評引用部にもあるように、この一律税金論を、払うほう、生活保護や高齢者福祉のバージョンとして考えた…とみることもできて、それはなるほど面白いんじゃないかなー、とは思うのでした。

その書評の部分も再度引用しておくね。元は毎日新聞の同書書評。

意外なことに、市場原理主義的な新自由主義者から賛意の声があがる。BIが保障されるのであれば、最低賃金などの配慮なしに、賃金は市場の自由な調整にゆだねることができるというのである。一方、エコロジストからは、人々を賃労働・生産至上・経済成長からの離脱を促すものとして支持される。

m-dojo.hatenadiary.com


あるいは、ホームレスの世話で、個別にあれこれと医療を施したり警察を出勤させるより、まず何の条件も課さずにただ家に住んでもらえば、そっちのほうが安くつく、のだという。

http://blog.livedoor.jp/sho923utg/archives/51803664.html

州政府が打ち出したのが「ハウジング・ファースト(家・第一主義)」政策だ。
従来のホームレス支援は飲酒や薬物の禁止といった条件に従うことが前提で、自由気ままに生きる人たちの中には支援をこばむ人も多かった
そこで発想を転換して、何の条件も課さずにまず家に住んでもらうことを優先した
きっかけは財政コストの試算だった。ホームレスの緊急医療や警察出動といった行政経費は、ホームレス一人当たり年間約190万円…(略)住宅を無償提供すれば、治安が改善するなどして行政経費はホームレス一人約75万円ですむことが分かった。
「これまでのホームレス対策は社会福祉や人道援助の発想だったが、じつは経済・財政政策だったのです」。
州のホームレス政策の責任者はそう話す。ユタ州のホームレスの数は…(略)2013年には約500人と4分の1に減少した。(略)入居後、ホームレスにもどる比率は10%未満だという。



こういうふうにぜんぶ、ひとまとめ、区分しない、おおざっぱに対象を設定する…ことが、厳密な区分と条件調査より、最終的に「事務事業コスト」の差でお得になる、という事象は、世のなかに沢山あるんじゃなかろうか、と。


ただ、その場合は「それをするには、〇〇円の事務事業コストがかかるんです。それをしないほうがむしろ得です」みたいなことを内輪で計算し、またその計算結果を自分の都合で出したり出さなかったりする行政官僚の独壇場にもなり兼ねない。そのへんに注意しないとね