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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

【質問】アメリカ「以外の国」はいつ、どう奴隷制を廃止したか知ってる?(日本含め)

BLM運動から派生して、コロンブス像破壊や英国では奴隷商人の像が引き倒されるなどし、過去の歴史にも焦点が当たってきていますが、
こんなツイートから。

※仕様の関係で、以下コピぺします


zeong @zeong_dictator
日本中世史において「奴隷制論」というのが結構ホットな話題であった時代があってな「奴隷制」から「封建制」への移行により中世の始まりと出来るからなのだが…その末葉においては何をもって「奴隷」とし「奴隷制」とするかという所が曖昧になって、果てなき泥仕合となってしまった。
午前11:14 · 2020年6月18日·Twitter for Android


zeong @zeong_dictatorさん
それがどれぐらい酷いかというと、某都内有名大学の中世史専門の教授が「Aさんは鎌倉時代、Bさんは室町後期としているから、ボクは間を取って南北朝期としているんだ」という雑な見解を述べる程だったのよ。「奴隷制」について云々する時は、キチンと定義づけをしようね、独裁者との約束だよ?


@zeong_dictator
因みに私は、経済外的強制によって①去就の自由②財産権③家族権、これら全てを喪失した身分にあるものを奴隷とし、所謂「債務奴隷」を奴隷としない立場を取るよ。例えば帝愛地下帝国の債務者などは「奴隷的境遇にある」が奴隷ではない、みたいな…異論は認めるが、議論するなら定義を共有したいな。


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zeong@zeong_dictator
そこを言わない優しさを、独裁者は持っているのだよ(笑)


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zeong@zeong_dictator
そこ、家族権ですなー。

これなあ。以前、宿題的にあとで調べようと思って忘れていた話題だ。つまり6年前、2014年に
m-dojo.hatenadiary.com


という記事書いた時、日本の奴隷制度の位置付けが、結局のところが、よく分からなかったのだ。

まあ、冒頭に紹介しているこの本をあとで読もうと思いつつ、まだ読んでないのがよくないのだが。

■「人身売買・奴隷・拉致の日本史」渡辺大門 いかなる時に奴隷化は許されたのか
http://type-100.hatenablog.com/entry/2014/06/01/042247

人身売買・奴隷・拉致の日本史

人身売買・奴隷・拉致の日本史

日本人奴隷は、ポルトガル商人によって東南アジア・インド・ヨーロッパへと売り飛ばされたが、悪いのは売ってくる日本人である!?日本人が日本人を襲い、日本人が中国人・朝鮮人を掠奪する。そんな暗黒の時代。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
渡邊/大門
1967年、神奈川県横浜市生まれ。1990年、関西学院大学文学部史学科日本史学専攻卒業。2008年、佛教大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

はてブも活発。
http://b.hatena.ne.jp/entry/type-100.hatenablog.com/entry/2014/06/01/042247


いま気づいたけど、著者の渡辺大門氏は、twitterの歴史クラスタでは1万弱のフォロワーを持つ、存在感ある1人でもあった。
https://twitter.com/info_history1


奴隷は普遍的にある。「(緻密な)奴隷制」を制度化していた文明や国家となると…どこだろう?

6年前も、今回冒頭に紹介したツイートを読んだときも思ったのだけど、つまりは逆に「権利を持つ自由民(市民)」の定義こそが必要かと思った。


日本にも他国にも奴隷はあったはずだけど、『このひとはこういう形で「奴隷身分」、この人はこういう形で「自由民(市民権所持者)」である』と分けて、おそらくは登録したりするような、そんな制度化された奴隷制度は、どこにあったのだろうか?と。


というのは、奴隷というのは、ある意味で戦争などで人を略奪(拉致)して、それでどこかで「こき使う」ことをすれば、自然と(実質的な)奴隷は成立すると思うんですな。
単純なものだから、逆にそれを制度化しないところは制度化する必要がなかったんじゃないかなあ、と・・・・・・・・。
少なくとも、そんなに緻密じゃないところはありそうだ。
さらにいえば・・・・・・・、

【笑い話】
あるサーカスが「そんじゃそこらじゃ見られない、世にも珍しい小人と、巨人が一緒に見られます!」と看板にうたったものの…
見物人「カネ返せ!普通の背丈の男が2人いるだけじゃねーか」
サーカス団長「あれは『世界最大の小人』と『世界最小の巨人』なんです」

と・・・・・
なんで、こんな話を紹介したかというと、『人権意識が低い社会になればなるほど、そもそも被支配者や、労働者はそのまんま奴隷と同じだったりする。だが、少数の支配者意外に、「誰も権利が無い社会」だと、奴隷労働者と自由民の労働者の格差もない』

イスラム社会では、スローガンなのか実質なのか、「スルタン以外はみな、スルタンの奴隷にすぎない」とも言われたりする。だがそうなると、今度は「大臣将軍でさえも奴隷である」となり、それが逆になると「奴隷でさえも大臣将軍になれる」というね。

逆に、イギリスが議会主義のお手本になったのは、もとをたどれば、王にも侵害できない権利、すなわち「特権」を持つ貴族階級が団結し、王も手出しできない、王と拮抗する「議会」を作り得たことが、かえって民主主義を促したわけで。


日本に行くと、日本で「お前は自由民である」と権利を支配者から保証される市民とかっていたのか、ですよね。でもけっこう細分化されている日本の身分制度では、自作農と小作人は違うだろうし、庄屋や豪農はまた違うだろう。しかし、名字帯刀許される、とかそういうのは「自由民」なんだろうか。

そもそも、「お前には一切の権利は無い。いつでもお前を殺すし、お前の財産はいつでも一切合切全部巻き上げるぞ」みたいな状態に自分の支配下のものを置くのは、実は利益が多いようでいて少ないし、それに反してリスクは高い。
やはり、そういう状態の人間は大人しく「服従」してはいられないからだ。
それぐらいなら、やはりある程度の財産権は与えたほうがいいし(金がいるなら「税」でとればいい)、何もしないでおとなしくしていたら、命は保証してやったほうが相手にも安心感があるし、イチかバチか、やけになっての叛乱のリスクも減る。
奴隷制がそんなに、支配者にとって能率的とは限らないのだ。
※こちらの「神が贖う奴隷」もおなじこと
m-dojo.hatenadiary.com


アメリカの奴隷制は深刻だし、今に至るまでの問題を残したけど「反省してるから目立っている」部分もないか?

・「アンクルトムの小屋」に代表されるように「啓蒙主義人道主義、宗教的博愛主義によって『我が国のこの奴隷制度は恥じるべきだ!』と大問題して廃止につなげたから、目立つのではないか?
奴隷制の廃止をめぐって、結果的には大内乱まで起こしたから、目立つのではないか?

みたいな、点を語っておきます。

ロシアのアレクサンドル2世の「奴隷解放令」は知ってる。

これと南北戦争勃発が、まったく同年の1861年
逆に世界史の教科書で「奴隷制度が終わりました」と言及されているのは、要はアメリカとロシア以外は無かった気がするなあ。



そういえば明治初期のマリア・ルス号事件のとき、清国人苦力を奴隷とみなされた同船の弁護人は「日本にも、遊郭という女性の奴隷制度があるではないか」と主張。そうすると苦力や花魁をふくめた「年季奉公(債務奴隷)」と奴隷制度、の話にもなるけど、逆に言うと、そういうものと当時の黒人奴隷はどこまでを同一カテゴリーとするべきなのでしょう、当時としては。




ちょっと構成にも難ありで、列挙するだけになってしまったが、いま、かなり疲れていることもあり、
とにかくここまで「よく分からん!!!」ということだけ書いておきます。


皆さんは「アメリカ以外」での奴隷制度の終焉について、ご存知でしょうか??

追記

このあと、子供の時以来に「ドリトル先生の郵便局」新訳を再読したら、この時の舞台が「英国が奴隷制を廃止直後」の話でした。

また「ダンピアのおいしい冒険」で、なんと近世時にスペイン国王が奴隷を廃止した話が出てきます

ダンピアのおいしい冒険 2

ダンピアのおいしい冒険 2