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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「逃げ上手の若君」解説(監修も?)は本郷和人教授。それへの反応は…?

今知ったんだが、「逃げ上手の若君」1話に続き第2話も公開されてますわ

shonenjumpplus.com

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で、雑誌では、2話の始まる前に1ページの解説があり、それを有名な「本郷和人」氏が担当していた。
そして…

肯定っぽい反応



否定っぽい反応


ん、なんで賛否の「否」っぽいツイートも多いの?中世の専門家でしょ、この人?と思う人もいよう。
しかり、中世が専門である。

ではなぜ、喜ばない論者も多いのか。そんなに権門体制支持者が多く、中世に2王権があったという論を否定しているのか。

石井進五味文彦に師事し、日本中世政治史においては当為(建前、理想論)ではなく実情を把握すべきとし、清水三男の評価を通じて日本中世の「統治」のあり様に言及する著作を発表している。従来の権門体制論を批判し、二つの王権論に立つ
ja.wikipedia.org


いやいや、さにあらず。
たとえば、最近若手を中心に活発に論じられ「麒麟がくる」でも一部描き方に取り入れられた「織田信長は実は中世的な権威に親和的で、保守的とさえ言える」みたいな、論説に対して

本郷和人の日本史ナナメ読み】http://www.sankei.com/life/news/160414/lif1604140004-n1.html


いま学界の主流は「織田信長は、特別な戦国大名では『ない』」という評価です。それはおかしい、信長が特別じゃなければ「天下統一」はないでしょ? と反論すると、いや、彼にとっての「天下」とは近畿地方を意味するんだ、とくる。いやいや、天下が日本全体を指している用例は鎌倉時代から普通にあるじゃないか、と反論しても、戦国時代に限れば、天下=畿内ですよ、と返される。まあ、信長株はどう見ても下落しているわけですね。

 学界のつまはじきであるぼくは、それはおかしいでしょう、と言い続けています。分裂していた日本が一つにまとまる、という大きな変化に、ともかくも注目しようよ。その動きの中心にいた信長が、「特別でない」はずはないでしょ? と。

 ぼくはかくのごとく信長を高く評価しているわけです…(後略)


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と言ったり。


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で、亀田俊和氏が言うてるように作家、非歴史研究の学者らと、数多くの対談をしたり対談本を出したりしてる。

それで、「歴史は派手にホラをふく(要は壮大な仮説を立てる)ほうがいい」と…元は師匠の石井進氏のことばだったそうですが、それをモットーに、対談相手の主張を最大限に許容する、アントニオ猪木ばりの無限の寛容さが、若手から見るといい加減に見えるそうな。




日本史のミカタ (祥伝社新書)

日本史のミカタ (祥伝社新書)

こんな日本史、聞いたことない!
視点をどこに置くかで、まったく違う歴史が見えてくる――。日本には三つの国があった、武士を動かす「おねえさん力」、日本最初の絶対王政室町幕府、寺は租税回避地明治維新の陰のスポンサー……などなど、これまでの常識を覆し、日本史の新たな見方を提供する本格対談。京都史観の井上教授と関東史観の本郷教授がユーモアを交えながら時に対立、時に協調。ヘトヘトになるまで語り尽くした。語り口はやわらかく、おもしろいけれどかなり深いところまで掘り下げる。歴史ファンにはたまらない!<以下、目次>
はじめに――日本史はひとつではない(本郷和人)
序 ここだけの話
第一章 神話と統治
第二章 祭り上げの政治技術
第三章 武士と武芸の源流
第四章 「日本国」意識
第五章 絶対王政室町幕府
第六章 朝廷は下剋上で輝く
第七章 鎖国と米本位制
第八章 明治維新ブルジョワ革命だった
結 日本人と天皇
おわりに――武士と女官とAKB48(井上章一)

武士と女官とAKB48(井上章一)




あー、そうすっとあれか、昨日の井沢元彦-呉座勇一両氏のこれとも繋がる訳か。
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とはいえ、やはり肩書も実績も十分でファンも多いひとで、東西王権論は日本中世の概念把握として画期だったはずだ。
「本郷さんが解説を書いているというなら、『逃げ上手』に興味が出てきた!」という歴史ファンがいても驚かないですよ。




もちろん、解説(監修?)にしても、それがマンガ本編に決定的な影響を与えるほど漫画家のほうもヤワではない。
今後どうなっていくのか、要注目です。



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