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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「眼鏡を外すと美人」のテンプレにアシモフが怒る!!…などが収録されたエッセイ集、もう絶版らしくてビビる

※仕様の関係で、以下コピぺします
きせい卿@kisei_mt
·『生命と非生命の間』第五部「無学礼讃」pp.392-393(ハヤカワNF)
きせい卿
出版年は昭和53年だった。その後版を重ねてるのかは知らない
きせい卿
アシモフの科学エッセイ』シリーズは面白いからみんな読んでね。古い本なので図書館で探すのがお薦めだ


アシモフ怒る、ということでテキスト化しておこう

…もっといい例はハリウッドのお定まりのやつなのだが、これはあまり始終使い古されて陳腐になってしまったので、ハリウッドでさえ、とてももう一度使うわけにはいかないという代物である(まず信じ難いようなできごとだ)。ここでいうお定まりとは、絶世の美女(ローラ・ラブリーと呼んでおこう)がメガネをかけているために醜く見えると仮定する類のやつである。
この手は、何度も使われた。ローラ・ラブリーは図書館員だったり学校の先生だったりするが(ハリウッドの慣習によれば、女性に独身と不幸せを保証する二つの職業である)、もちろんその事実を示すべく大きな鼈甲縁のメガネ(最も知的なタイプだ)をかけている。
さて、観衆の中の五体満足な男性なら誰でも、メガネをかけたローラの姿に、メガネをかけていない時と少しも変わることなく情緒をかき立てられる。ところが、映画の主人公を演ずる俳優の歪んだ眼には、メガネをかけたローラ・ラブリーは平凡な女に見えるのだ。話の途中で、世慣れた親切なローラの女友達が、彼女からメガネを外す。思いがけなくもローラはメガネなしで完璧に見えることがわかり、わが主人公は今や美人のローラと烈しい恋に陥って、ここに申し分なく華やかなフィナーレとなるのである。
(略)
このメガネは、文字どおりのメガネではないのだ。それは単なる象徴知性の象徴にすぎないのだ。観衆は二つのことを教えられる。つまり、(a)教養が目立ちすぎると社会で邪魔になり不幸をもたらす、(b)正規の教育は不可欠ではなく、その気になれば最低に切りっめることができ、その結果として知性の発達がおさえられれば幸せがくる、ということである。

一応念を押すと、アシモフが言ってるのは「メガネをかけた女性の魅力が損なわれることはない」という、いわゆる穏健派で「むしろ眼鏡をかけろ」「メガネを外したら魅力が減る」「メガネこそが本体だ」というような過激派とは違いますからね?(笑)


ここに「サルまん」の、より発展させた(というか日本の漫画、それも少女漫画がこのお約束を受け入れたあとの発展形を考察している)もろもろを紹介しよう。

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サルでも描けるまんが教室」におけるメガネっ子考察
…まんがのなかでメガネ(サングラスを除く)が描かれる場合、男女を問わず次の三つの意味が込められることが多い。
すなわち1:知的 2:内向的 3:中性的の三つの性格付けである。つまり知的ではあるが地味な性格でセックスアピールに欠ける(男なら女々しく、女ならボーイッシュな雰囲気)といったキャラクターがそこに現れるのだ。知性を除けばおおむねマイナスのイメージに満ちているといえよう。したがってこのようなキャラを正反対の正確に変身させるには、メガネさえ取り除けばいい。(旧愛蔵版下巻93P)


しかし、それ以上にちょっと大変な話がある

アシモフの科学エッセイの多くが絶版らしい???

この「アシモフの科学エッセイ」あたしの感覚だと、常に書店本棚に有って「毎年、ずっと定期的に売れているね。最新情報というより基礎的な知識を、愉快に書いた作品だから『定番』としてずっと売れているんだね」と思ってたら…いま、売ってないみたいなんだよね…

「空想自然科学入門」だけはハヤカワが売っている。
www.hayakawa-online.co.jp
あとは……





アシモフの翻訳権とか、やっぱりお高そうだし、ある程度は記述も古くなっているかもしれない。
これらが、毎回のように版を重ねていると思う方が思い込みだったのだ。

にしても。
このブログで日食とか、落雷とか、確率論とか、いろいろ語る時にこのシリーズからうろ覚えで引用してたものも多いが、これらは「すぐにみんなが入手できる」という前提で紹介したことあるしなあ…。
とりあえず、ぞんざいに保管してあっちこっちに散逸しているこの科学エッセイを再度ひとまとめにして棚に置き、その上でメルカリではいくらぐらいになるか見てみよう(笑)