はてなブログ「注目記事」に、自分が忘れてたような過去の記事が浮上して、逆に世間の話題を知ることが多い。
これにアクセスが,きのう多かった。
m-dojo.hatenadiary.com
これに関連してる様子。
www.huffingtonpost.jp
で、そのアクセスが多かった当ブログ記事って、前半はアシモフが描いた「ハリウッドで眼鏡をかけた女性の扱いがひどい」という話(先駆的というか…)なんだけど、後半は
「そのメガネ話も収録されていた、アシモフの科学エッセイは数点を除いて現在は絶版になっている、ということに驚いた」って話でした…。
そこだけ再収録。
アシモフの科学エッセイの多くが絶版らしい???
この「アシモフの科学エッセイ」あたしの感覚だと、常に書店本棚に有って「毎年、ずっと定期的に売れているね。最新情報というより基礎的な知識を、愉快に書いた作品だから『定番』としてずっと売れているんだね」と思ってたら…いま、売ってないみたいなんだよね…
「空想自然科学入門」だけはハヤカワが売っている。
www.hayakawa-online.co.jp
あとは……
アシモフの翻訳権とか、やっぱりお高そうだし、ある程度は記述も古くなっているかもしれない。
これらが、毎回のように版を重ねていると思う方が思い込みだったのだ。にしても。
このブログで日食とか、落雷とか、確率論とか、いろいろ語る時にこのシリーズからうろ覚えで引用してたものも多いが、これらは「すぐにみんなが入手できる」という前提で紹介したことあるしなあ…。
とりあえず、ぞんざいに保管してあっちこっちに散逸しているこの科学エッセイを再度ひとまとめにして棚に置き、その上でメルカリではいくらぐらいになるか見てみよう(笑)
で、翻訳とか絶版とかもいまトレンド。
これの関係らしいけど。
『SFマガジン』「読みたくても高騰していてなかなか読めない幻の絶版本を、読んだことのない人が、タイトルとあらすじと、それから読んだことのある人からのぼんやりとした噂話だけで想像しながら書いてみた特集」のイケてる略称をゆるく募集します。こちらのツイートにリプライください。
— 樋口恭介(編著『異常論文』10/19刊行) (@rrr_kgknk) December 1, 2021
何これ…読者同士で遊びでやるならともかく、文芸の雑誌がやるような企画じゃないですよね…「さっさと図書館に行け」以外にこんな企画につけるタイトルは無い。 https://t.co/wekqIzlxL0
— saebou (@Cristoforou) December 2, 2021
そこで、思い出した。上のブログ記事で受けた「なぜあの翻訳名作が『絶版』なのか」に関する、ひとつの回答。
「あの本は読まれているか」を読んでていて、気になったから「ドクトル・ジバゴ」も読みたいと思ったのに文庫は絶版、一番新しいものは定価8000円って…。当時だって禁書だったりノーベル賞をめぐって話題もあるものが現代においても手にしづらいとはなんとも。もう光文社古典新訳文庫とかで出ないの?
— nishigusa (@like_red_sky) September 12, 2021
翻訳小説には契約期間があり、それを過ぎても本を売りたければ、新たに契約金を払う必要があります。でも、元々翻訳小説は日本語の小説ほど売れないので、契約期間の延長をすることも少なく、こうしてどんどん絶版になっていきます😢…翻訳小説好きの皆さま、どうぞ本を買ってくださいね🙇♀️ https://t.co/S8ciMpNio9
— 二見書房 ミステリ&ロマンス・コレクション編集部 (@futami_honyaku) September 12, 2021
一番最初に契約するときにアドバンス(契約金)を払い、作家印税は売上の何%という形で同意して契約します。数年の契約期間が切れるときに、契約延長をするのであればまた新たにある程度まとまった金額の延長料を払い、作家印税も、もちろん払っていく取り決めをします。→
— 二見書房 ミステリ&ロマンス・コレクション編集部 (@futami_honyaku) 2021年9月13日
あまり売れていない本なら、延長料を支払うまでもなく契約終了になり、絶版となります。翻訳小説は、最初のアドバンス、海外作家への印税、訳者への印税、と色々とコストがかかるのに日本人作家の本に比べて売れ部数が少なく、コスパがよくありません。→
— 二見書房 ミステリ&ロマンス・コレクション編集部 (@futami_honyaku) 2021年9月13日
なので、買う人がいなくなれば、出版社ももう翻訳小説を出さなくなると思います。どうぞ、翻訳小説をお好きな方は、買ってください🙇♀️
— 二見書房 ミステリ&ロマンス・コレクション編集部 (@futami_honyaku) 2021年9月13日
へー、と思った。
たしかに、一時は売れたけど、いまは落ち着いた感じ(婉曲表現)の本があるとする。
そこで出版社…
A:「落ち着いたいまも、ぽつりぽつりと売れてけば、その印税はお支払いします。売れなきゃ払いませんけど。/→A’:そういう条件で、販売はします(在庫を置いときます)」
B:「落ち着いたいまも、ある一定の期間が過ぎたら「更新料」を、印税とは別に払わなければいけません。/→B’:そういう条件なので、販売は止めます(在庫は処分します)」
となってしまうよなあ。
そういう基準でいえば、「たしかにアシモフの科学エッセイは良書だし、売れ行きがゼロになることはないだろうが、数点を除き一定期間で訪れる『更新料』込みでペイするほどではなかった」というのはさもありなんな、ナチュラルな話だと、アシモフびいきの俺も思う。
しかし、それは何が正義かは分からない。
「更新料なしにすれば、落ち着いた感じ(婉曲表現)の翻訳本も長く売れるのに!」と無責任な読者は思うかもだが、日本人作家は「むしろ俺たちも、ただ出しておくじゃなくて一定期間ごとに更新料が欲しいよ!」かもしれない(あるのかな?)
こうやって見ると、翻訳の本は一期一会で、その時に見かけたら買うしかないのだなあ。
そして知る人ぞ知る資料性や希少価値がある売れ筋なら、メルカリ転売ヤーとしてその希少古書を、欲する人にリーズナブルな価格でお渡しし、知の橋渡しをすることもできる(自己正当化)
文句はいえねえ…ナンもいえねえが…どいつもこいつもカネ、カネ……。
追記 ブクマで知った情報追加。「来年で期限が切れるから早めに購入を!」みたいな作品も当然あるわけか…
「翻訳本は契約期間があり、売り続けたいなら『延長料』を実績関係なく払う必要がある」(二見書房(談)) - INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-b.hatena.ne.jp翻訳の期限切れの話は思ったより知られてないっぽいんだよな。ドラゴンランスは2022年で契約切れだったりする><a href="https://twitter.com/digi_neko/status/1325765423313215489" target="_blank" rel="noopener nofollow">https://twitter.com/digi_neko/status/1325765423313215489</a> もうちょい詳しい記事があった気がするけど見つけられなかった
2021/12/08 09:51
ドラゴンランス(『レイストリン戦記』を含む)シリーズやダークエルフ物語シリーズ等々の「ダンジョンズ&ドラゴンズ小説」の電子版の販売は、日本では2022年末まで。
— KADOKAWA出版事業グループ教養統括部 編集委員クドー (@digi_neko) November 9, 2020
それまでに購入を済ませた方は基本、その後も再ダウンロードが何度でも可能です(電子書籍の売り場にもよるのかも? ですが)#DnDJ