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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「権利はうちにある、公認します。」と主張すれば、誰かが申請に来るかも、なビジネス法(ホームズ、龍馬、漱石…)

きのう、計3回の村上もとか原作、「JIN」ドラマ総集編の放送が終わった。

放送前には宣伝しましたが、皆さんご覧になられたでしょうか。
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で、時々、こういう世間の状況に応じて、過去記事が読まれたりするんだけど‥‥


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坂本龍馬写真の著作権について
記事に補足を入れたが、2020年現在、博物館が10年前に掲げていた版権についての記述は無くなっている可能性が高い。
だから、上の考察は資料として有用なところはあるけれども、今現在は効力を失ったようだ、としておきます。


ただ、2010年のこの「坂本龍馬写真の権利」についての主張はこれでいいとして、
この前から紹介している、この本の記述と繋がったのであります。


いま、ここで読んだ面白い挿話や知識をピックアップした箇条書きを作っているんだけど、そこから著作権絡みの話を要約して紹介…

シャーロック・ホームズものの著者コナンドイルは、1930年7月7日逝去。世界中で、最近までは著作者の死後50年とされていたので1980年に著作権は終了した。
ところが、アメリカが1978年1月から、現在は世界中に広まってしまった著作権延長の先鞭をつけた。このため、「アメリカだけはホームズ物の後期作品の一部が残っている」という複雑な状況が生まれた。

・今でも世界中で視聴されている英国グラナダテレビのジェレミ・ーブレッド主演版「シャーロックホームズ」(GYAOで無料配信中)は、『ホームズの著作権が切れた』という解釈で、堂々と作り始めた作品の最初。
この解釈をめぐってはアメリカで訴訟を起こしてまで確認した(最終的には、和解金を支払って作るようになった)

・法律の解釈ということで言えば「物語自体でなくその登場人物にも著作権が適用される」という解釈について、この本でも少し触れられていて「そういう一派もある」「はっきりした結論とまでは言えないが法廷で説得力を持つ可能性はある」とされている。この問題についてはずっと追ってきたので
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などの複数の記事をご覧ください。

・それでも「まだホームズの著作権を持っている」と主張し、新たなホームズ創作が出てくると難癖をつけてなにがしかの権利料をせしめようという集団や個人はまだ滅んでいない。それに関する各種の訴訟もこの本では記されていてその法廷闘争もなかなか面白かった。
訴訟をさばく判事も業を煮やしたか、こんな言葉でコナンドイル財団を批判している
「コナンドイル財団のビジネス戦略は明白である。すなわち法的な根拠は無いもののさほど高額ではない著作権使用料を要求し「理性的な」、作家や出版社であればその要求の法的根拠を法廷で争うことで、より多額の弁護士料を表示させるよりも使用料を支払うことを選ぶだろうと期待するというものである」


博物館が坂本龍馬について主張していたのが、これと同じとはいわんけどね…
ただ、「鳥獣戯画」がらみで似た話があり…
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夏目漱石」についても…

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本年6月17日付で私のもとに「夏目漱石財団」設立の知らせ及び協力要請の手紙と、一般財団登記の事項説明書コピーが送られてきました…(略)こうした動きには、私も半藤末利子も関与しておりませんし、また協力するつもりもありません(略)…ご存じのように漱石著作権は戦後すぐに消滅しております。その後も、著作物の利用、演劇・映画化など翻案、あるいは漱石写真の利用、漱石イメージのCM利用など、様々な場合の問い合わせが父・純一や私のもとに参りました。が、私の代になってからは、消滅した著作権に関する案件はもちろんのこと、他の利用もすべて一切の報酬を要求せず、介入もしないことを方針にしてきました。

漱石という存在はすでに我が国の共有文化財産であり、その利用に遺族や特定の者が権利を主張し、介入すべきではない」というのが私の理念だからです…上の理念にしたがい、私はこの「夏目漱石財団」に対して反対の立場を取ります…また、この財団が事情を知らない人々への許諾や権利主張によって既成事実化し混乱をもたらすことを恐れます。この件につきまして、できるだけ早く公表周知すべきだと判断し、今回のお知らせとなりました。

yro.srad.jp


夏目房之介氏、立派過ぎるぐらい立派だ、というしかない。

しかし、権利が無くても「うちが、その本家本元(有料で)『公認』してさしあげます」というビジネスは、結構成り立つかもしれないようだ、ということを、この機に再確認しておきましょう。
だまされないように、ということもあるが、「チャンスがあれば騙す側になってもおいしいかもしれない」という意識も正直ちょっとばかりある(笑)