表題について
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中国や北朝鮮は共産圏だし韓国は王を失って、東アジアの中華圏の王権の伝統が残るのは日本くらいか。ある意味、珍しい国になってるんだなあ。
— finalvent (@finalvent) October 22, 2019
まあ、うち2王権(李王朝、琉球王朝)を滅ぼしてそうなったわけなんだけど、そういえばそうではありますな。そうやって分けると、やはりマレーシアのスルタンやタイ王朝は中華の影は薄い。
うち、どのへんにいま中華の風が残っていて、どこから「日本の伝統を創作」したかも、調べれば興味深いものではあるだろう。「高御座」は美しいものではあるが、「作られたのは大正時代」だともいう。もっとも作り自体は古式にのっとっているとも言われ、そのへんはよくわからない。もっと過去の即位式は中華的なニュアンスもあったという。
あーこれこれ。
togetter.com
世界の即位儀式あれこれ。登極か、戴冠か、君臣契約か?
そういえばどなただったか、「日本で戴冠式は…」的な事を仰ってた方が居られたと思うが、恐らく、「戴冠」という行為が即位と同義語として扱われているのはユーラシア世界では欧州だけの伝統だと思う。
— もんけ(歴史) (@mongkeke_tarikh) September 26, 2018
日本でも中国でもイスラーム世界でも、「即位」と「冠を戴く」事それ自体とは直接は繋がらない。
「即位」に類する語彙が「登位」だったり「登極」や「踐祚」と言ったりするが、「その地位に登る、その場所を占める」的な意味合いが用いられており、「冠」そのものはまず語彙として出て来ない。つまり、欧州における throne にあたる単語で表現されるのが一般的だった。
— もんけ(歴史) (@mongkeke_tarikh) September 26, 2018
イスラーム社会での「即位」に関わる表現は、大きく分けると
— もんけ(歴史) (@mongkeke_tarikh) September 26, 2018
1)「(君臣間で即位の)契約が結ばれる」
2)「(即位にあたって受け継ぐべき)場所を占める」
の2種類がある感じだった。
その地位を襲う時、即位する場合、君臣間で未来の君主に対してお互いがその即位を認め合う事を表明する「バイア契約」が結ばれた。
— もんけ(歴史) (@mongkeke_tarikh) September 26, 2018
そのため、歴史書でカリフやスルタン達、アミール達がその地位に就く時は、「(彼への)バイアが行われた」とか「(バイア)契約が結ばれた」的な表現がされた
晴れても大御稜威、雨でも大御稜威、最初は雨で途中で晴れても、虹が出ても…
こち亀画像のパロコラは面倒なんで文章でやるけど
「おまえら、ちょっと勘違いしてるんじゃねえのか!どこがすごいんだ 一体!」
「ちゃんと雨がやんで虹が出たでしょう すごいですよ」
「すごいやつってのは始めから雨なんかふらせねえの!最初から晴れにする大御稜威がすごいに決まってるだろ!」
と、こう来ますなあ(笑)。
とはいえ、虹が出たほうがダイナミックで美しいのもまた事実。上の「神学」ははたして何が正統なのかは今後の神道公会議を待つとして(笑)、なに庶民レベルの、熊さん八つあんの結婚式でさえ晴れれば「お日柄もよく」、雨なら「雨降って地固まると申しまして…」なのだ。驚くにはあたらないし、そもそも、これ以上に練り上げられた神学・伝説の「松岡修造」がいるではないか(笑)
これに関しては
『即位の礼直前になって一瞬でも日が差すの凄ない?陛下完全に天気の子やん』→『天叢雲剣効果?で即位礼正殿の儀直前に東京上空に虹が架かる事案発生とかファンタジーすぎる』などネットユーザの証言 - Togetterb.hatena.ne.jpしかしさいころと、賀茂川の水と、比叡山の僧兵たちは抑えられまい。/コレを憂えるひと(+本気の本気で信じてる人)は「松岡修造」と天気のあれこれに関するネタ話を思い出すがよかろう
2019/10/22 17:53
即位礼正殿の儀の直前 雨上がり虹かかる | NHKニュースb.hatena.ne.jpん、白虹が日を貫いたの?
2019/10/22 18:05
というふたつのおもしろブクマをつけたのだが、あまり反応がなかった(当たり前だ)
kotobank.jp
もうひとつ、思い出したのは、魁!男塾でかの武田信玄が使ったという、戦争前の景気づけのさいころで…六面ぜんぶに縁起のいい言葉が書いてあり、どこの面が出ても兵士の士気が上がる…という。実際にそんなのがあったら、兵士もバカじゃないからそうも喜ばないんじゃないかと思うが、どうせ実際には無いのでいいのだろう。たしか、オチは「絶対に縁起がいい!」といって空中に投げたら、カラスがくわえて持って行った…という
ほら資料があった。
勝利賽子(しょうりジャイツ)
戦国時代、希代の名将とうたわれた武田信玄が、考案したと伝えられる。寿・吉・勝・祝・喜・生の六文字をそれぞれ六面に書き入れたサイコロを頭上高くに投げ、表に出た文字によって戦いの行方を占ったといわれる。しかし、どの面がでても勝利を暗示する文字が書かれているわけで、いうなれば出陣の景気づけの儀式である。
(英学館刊「武家社会に於ける風俗・迷信」第二章「世はいかさま」より抜粋)
trushnote.exblog.jp
魁!男塾 勝利賽子(しょうりジャイツ)-どの面が出ても縁起がいい。
しかし、実際になにかの天体現象や偶然があった時、「これはわが方の吉兆!相手にとっては凶兆!!」と言いくるめる即興性が必要だったことも間違いないようで、要はラップバトルみたいなもんだろうか。
m-dojo.hatenadiary.com
上に関連して。結局、こういう話をどこまで信じているか、といえばこれなんだろう。
m-dojo.hatenadiary.com
からの孫引き。
山本 その例として、こんなおもしろい話があるんです。つまり天皇的ファンダメンタリストがあれば、進化論を否定しなくちゃおかしいですよね。天皇がサルの子孫であるというのは容認できないでしょう。あれは神の子孫のはずでしょう。
小室 ところが誰も問題にしない。
山本 そればかりか不思議なことに、戦争中、平気で進化論を教えているわけですよ。だから私、フィリピンの収容所でアメリカ兵に進化論の説明をされて、こっちははなはだしゃくにさわるわけなんです。このアホ、なにいってんだと。中学校程度の知識をもって、おれに進化論を説明するとはなにごとだ。だから逆にそのときビーグル号かなにかの話をしてやったんです。そうすると相手は驚いちゃうわけです。ところが、先方は「それじゃ、おまえたちは現人神がサルの子孫だと思っていたのか」と。
小室 日本人、誰もこの矛盾に気がつかない。
山本 気がつかない。アメリカ兵にそこを指摘されたとき、こっちはあっと驚くわけです。つまり天皇が現人神だといっていた国には、進化論はあるはずがない、彼らから見ればそれが論理的帰結ですから一所懸命、進化論の説明をしているわけです。
小室 逆に進化論を信ずれば、天皇が現人神であるはずがない。だからどっちか片方信ずるってことはあり得ても、両方いっぺんに信ずることはないと。
山本 あり得ない。じゃ、なぜ日本教において両方いっぺんに信ずるのか、これが日本的ファンダメンタリズムのいちばんの基本問題になるわけですね。

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最後にもうひとつ
佐藤直方
「日ノ神ノ託宣ニ、我子孫ヲバ五百万歳守ラント被仰セタナレバ、ヨクナイコトゾ。子孫ニ不行儀スルモノアラバ、蹴殺サウト仰セラレタナレバ、ヨイコトゾ」
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