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銀英伝キャラ女性化がまた盛り上がりそうですが、ヤン・ウェンリーを女性化する場合、有能だけど酒呑みで家が汚なくて年下の同居人に家事をすべて任せてるベレー帽の似合う青髪のアラサー女、という最適解が居るのでここに紹介しておきますね pic.twitter.com/B4CdtMw3DQ
— 中島さかえ㌠ (@sakaetype21) 2018年4月10日
おもしろいツイートだけれども、ここから「有能だけど日常生活はだらしなく、そこをしっかり者の【部下、被保護者、目下の者】に管理され頭が上がらず、そこが可愛げの一つ」というキャラテンプレの系譜を作れたら、さらに興味深い。https://t.co/bJ70C5uDsN
— Gryphon(INVISIBLE暫定的再起動 m-dojo) (@gryphonjapan) 2018年4月10日
いると直感的に思ったから提示したんだけど、固有名詞を挙げると案外出てこないな。日常生活というか普段の勤務態度だけど、「鋼の錬金術師」のロイ・マスタング大佐とかか。
— Gryphon(INVISIBLE暫定的再起動 m-dojo) (@gryphonjapan) 2018年4月10日
【他に心当たりあれば教えて】https://t.co/1yj40vLDRH
「銀英伝」アニメのリメイクを記念して、ちょっと自分で思い出をたどってみると、このヤンとユリアンの描写を読んだ高校時代には、 もうすでに物語をメタ的と言うか、お話作りそのものを評論するような視点も思っていて「へー、こういうやり方でキャラクターを立てる(この「キャラ立ち」という言葉は「サルでも描けるまんが教室」で知った)のか。あざといけれど、うまいもんだな」と、メタ的に感心したという記憶があります。
銀英伝が一般的な SF やスペースオペラから頭ひとつ抜けて人気を博している理由の一つは、間違いなくこの関係性もあると思います。
…
「僕が起こさなくてもきちんと7時に起きられますか」
「起きられるさ」ヤンは断言したが、自信や根拠があってのことではなく、極端に言えば反射的に虚勢を張っただけのことである 。
「ほんとうに大丈夫かなあ」
「あのな、ユリアン、こういう問答を他人がもし聞いていたら、ヤン・ウェンリーという男はよほどひどい生活無能力者だと誤解するのと違うか」
質問形式でヤンは抗議したが 、ユリアンは無言で肩をすくめ、自分の声でなくヤン自身の記憶と自制心に期待する風である。
そういうシチュエーションに関して自分が最初に読んだ作品がこの銀英伝なので、そこからその源流をたどるというのも簡単ではなさそうです。
元々、 「しっかり者の子供」だけで、 無邪気で無垢をよしとする少年少女キャラクターの逆を張っているのだから、 色々と出番はある。
ただ、自然な流れとしてフォローする相手は「ダメな父ちゃん母ちゃん」の方が多かった気がします。ぶっちゃけ「じゃりン子チエ」か。映画ってこの前亡くなった高畑勲さんが監督だったとか。
関川夏央は「知識的大衆諸君、これもマンガだ」 という漫画書評集の中で「PaPa told me」という作品を紹介している。これ色々重要な作品だと思うんだがまだ読んだことはないんだよね。
※その後読む機会があった
m-dojo.hatenadiary.com
こっちはやや近い。以下、上記の書評本より。
…若くして妻を亡くした文筆業者が小学生の一人娘と都会のマンション暮らしをしている、その日常を淡々と、 また当世風のお洒落な甘さで描いている。それだけのことだと言ってしまえば済むのだが、何かしら気になる部分がある。
(略)
娘は単に娘ではない。妻であり恋人であり友であり母である。秘書でもある。虫のいい願望だが大抵の中年男が人に隠れて抱いている。
月刊誌の編集者が原稿を取りに来る。「あと5分でできるから」と父が取り次いだ娘に言う。娘が編集者に伝える。「あと30分ぐらいでできますって」。
「1960年代に青春を送った人は、自分のファッションセンスを信じてはいけない」
娘の発言である。インタビューを受ける時の父の服装が気になる。故に娘はその着こなしを考え、買い物をしてきて父に与えている。娘の若い叔母が言う。「父親のワードローブ管理している小学生の娘なんて、滅多にいないわよお。」
いるものか。
この作品、ウィキペディアを見ると、どうも今でも連載が続いているんですが…関川氏の本が出たのは1991年。
https://ja.wikipedia.org/wiki/Papa_told_me
『Papa told me』(パパ トールド ミー)は、1987年からヤングユー(2005年10月、11月号を最後に休刊)にて不定期連載されていた榛野なな恵の漫画。テレビドラマ化、ドラマCD化もされている。コーラスと別冊コーラスでの不定期掲載を経て、現在、Cocohanaに不定期に掲載中。
大人びた思考を持つ小学生の女の子的場 知世と、その父親である作家の的場 信吉、この2人の父子家庭が、自由で創造的な家庭を目指す日々の光景を描いた物語である。
主人公の的場知世から見た日常と世の中に対しての独特の視線と鋭い指摘が、多くの読者に人気を博し、漫画でありながら、この作品の書評が光村図書から出版されている国語教科書の書籍紹介に掲載されるに至っている。
また、的場一家以外の人々の生活にもスポットを当て、都会で孤独に生きる人の心を繊細に描いており、この点も読者の共感を呼んでいる。
第35回(平成元年度)小学館漫画賞少女向け部門受賞。
ただ銀英伝以降、(かな?ここも保留が必要だが)一つのテンプレートとしてこういうヤン・ユリアン的キャラクター、…それも単独というより、有能だが生活無能力のキャラAと、それをフォローする目下のキャラBの「関連性」こみで描かれるというのは増えてると思うのですね。
では増えてる…の結果を今言おうと思ったんだけど、具体名になるとあれっというぐらい思いつかんかった(笑)
作品名 | 有能だが生活無能者 | フォローする目下 |
---|---|---|
PaPa told me | 的場信吉(父親) | 的場知世(娘) |
銀河英雄伝説 | ヤン・ウェンリー | ユリアン・ミンツ |
新世紀エヴァンゲリオン | 葛城ミサト | 碇シンジ |
鋼の錬金術師 | ロイ・マスタング大佐 | ホークアイ中尉 |
ぐらいでした。
このままだと、「それがテンプレになっている」と言うこの仮説自体を捨てなきゃならなくなるんですが(笑)、それももったいないので読者さんに○ミ\(・_・ )トゥ ←丸投げするので、追加してください。
いろいろな声
・ギャラリーフェイクのフジタ
— Danner🐱📖 (@danner_2009) 2018年4月11日
・デスノートのL
・トライガンのヴァッシュ
・スケバン刑事の麻宮サキ
・のだめ
あたりはどうだろ。目下・可愛げ、とはちょっと違うのかな。銀英伝以降とも限らんし。 https://t.co/YwSALCyepW
高島俊男。
— 母里太兵衛 (@mori_tahyoue) 2018年4月11日
パトレイバーの後藤さん
— いしかわ@FSM司祭 (@u1ro_ishikawa) 2018年4月11日
美味しんぼの山岡
こち亀の両さん
なんかはいかがでしょう?
えーっと。。。月に代わってトールハンマー??? https://t.co/GkG04NjHa1
— サブカルクソナース泉ちゃん (@itazgroomy) 2018年4月11日
— 言葉使い (@tennteke) 2018年4月10日
桜庭一樹の GOSICK のヴィクトリカと久城君がそんな感じですかね。
— 栃司八兵衛 (@hbe_t) 2018年4月11日
安楽椅子探偵はだいたい当てはまる気も。 https://t.co/yBgwjFk3sF
昼行燈系(銀魂等)
— ノベライズ太郎 (@Veyhideo) 2018年4月11日
家事スキル無し(研究者タイプ)
年下の世話人がいる(エロゲ系)
と3つの要素に分けると結構居るけど全部となるとなかなか思いつきませんね( 'ω')
gryphon(まとめ用RT多)@gryphonjapan
そういえば「料理ベタヒロイン史」も以前から研究課題にしようと思ってたが手付かず(笑)
女の子が失敗するのにスポットを当てるのは少女漫画からの流れの気がしますね。門外漢ですけど( 'ω')
— ノベライズ太郎 (@Veyhideo) 2018年4月11日gryphon(まとめ用RT多)@gryphonjapan
エスパー魔美を暫定的に元祖認定していますが自信なし今思い出しましたけど、バトルプログラマーシラセはどうですかね( 'ω')
— ノベライズ太郎 (@Veyhideo) 2018年4月11日
曹操?( ・∋・)
— ちゃんまい (@chanmaiX) 2018年4月11日
ブクマでも例が寄せられています
http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/gryphon/20180411/p2
編集者・中津宗一郎氏が語る
途中コピペ処理あり
ヤン・ウェンリーの、「生活力皆無でだらしなさが有るけれども有能で可愛い」って、熊本県出身の田中芳樹先生がアウトローを描写するうえで、「知的」「バンカラ」「肥後もっこす」「男尊女卑」への、親近感や反発といった愛憎から出てきた造形の気がする。まぁ本人に近いというのもあるだろうけど。
— nakatsu_s (@nakatsu_s) 2018年4月11日
@gryphonjapan
そういえば田中芳樹氏は「キャラクターの個性は欠点で決まる」的な発言してたっけ。
そうです、確か何かのエッセイで言われてました/「三四郎」に出てくる、Pity is akin to love.「可哀想だた惚れたって事よ」(漱石)=「恋と哀れは種一つ」っていうのを、小説に応用した感じだと思っています。
— nakatsu_s (@nakatsu_s) 2018年4月11日
khak@k_h_a_k
隙がある方が良いという意味なら、オーベルシュタインの犬。
gryphon(まとめ用RT多)@gryphonjapan
それも記事中に書いた「ヨシキうまいなー、ややあざといけど」という感情を、リアルタイムで感じた箇所です(笑)
@Singulith
同じ事を、藤子不二雄氏(どっちかは忘れた)も、言っておられましたね😃
gryphon(まとめ用RT多)
オバQは犬、ドラえもんはネズミ、チンプイはネコが怖い…と、ややテンプレ的な意味での「弱点」に過ぎた気もしますが(笑)、それでも重要な指摘ですね
主人公像やキャラクター像として、普通の新人作家なら長所を書きたがるんですよね。それをああいう書かれ方をしたのは、ちょっと新人離れしてますよね(とすごい昔のことなんで目線的におかしな書き方になってますが)。
— nakatsu_s (@nakatsu_s) 2018年4月11日
追加おまけ ヤンとミサトの比較への異論反論オブジェクション
ミサトさん、箇条書きにされると恐ろしいほどにヤン提督だね!?
— 硬石山 (@kousekizan_kuma) 2018年4月10日
ヤンは怠け者な有能だけどミサトさんは働き者な無能なのがね
— 甘夏 (@amanatu03111) 2018年4月10日
ヤン・ウェンリーとミサトさんだと、人生の終わり方まで似てるという。
— ななころびさん じゅうきゅうさい (@7korobi) 2018年4月10日
どっちもダメダメになりそうwヤンは心理戦で敵の裏を付くけど使徒には通じないし、ミサトさんは中盤に少佐になった程度のキャリアで一軍を率いたことないからあっさり負けそうだしw(少佐だと駆逐艦クラスの艦長程度)
— Traum とらうむと読むらしい (@Traum1) 2018年4月10日
設定的な特徴を見ればヤンとミサトさんは似た部分あるけど実際には全く人間的に似とらんでしょ
— 家事王 (@kajiking1) 2018年4月10日
女体化ヤン・ウェンリー = 葛城ミサト という衝撃w でもミサトさんはヤンほど有能な戦略家か?というとw ヤンにしてもミサトさんと違って異性に積極的じゃないし > RT
— toku@ねごとや (@negotoya_toku) 2018年4月10日
ミサトさんなー、わかるっちゃわかるけど、セクシュアリティーが人格に影響を与えてる率がデカイのがあんまりヤンっぽくないのよな
— ハワコ@凍土脱出 (@hawamoco) 2018年4月10日
女体化ヤン!もちろん考えてましたがミサトさんかと言われると彼の反権力的なところがね、ぜひにょたヤンにもお願いしたくてね、「私が嫌いなのは、自分だけ安全な場所に隠れて戦争を賛美し、愛国心を強調し、他人を戦場に駆り立てて後方で安楽な生活を送るようなやからだ」とか言って欲しく文字数
— まつむし@女体化の人 (@chin_chiro_rinn) 2018年4月10日
あとミサトさんほどバリキャリ志向じゃないしぼーっとして本読んでるのが好きだし何よりシンジくんはユリアンのごとく大切に育てられて欲しかった……シンジくん……
— まつむし@女体化の人 (@chin_chiro_rinn) 2018年4月10日
ミサトとヤン提督の違いは、理想と復讐心という芯の違いと、理想によって理想が穢される自覚があったかどうかなんだろうなあ
— 戚泰継 (@isyutamu) 2018年4月10日
相手が相手だから仕方ないけど、ミサトさんみたいにヤン提督は敵に憎しみこもってたりしないし、ユリアンにいややめておこう。
— 孝明 (@takaP719601) 2018年4月10日
ヤンとミサトさんじゃ精神的な余裕度が天と地じゃねえかな…
— 小和田@Free Planets (@aks74) 2018年4月10日
ヤンはミサトさんと違って同居人を大成させることには成功してるから・・・
— 松戸系東京都民(27) (@kkk_zara) 2018年4月11日
ヤンを女性キャラかしたらエヴァのミサトさんが最適解と言うけど
— まろばせ@安中さん同盟(夜戦部隊 (@ironsand2009) 2018年4月11日
ヤンはユリアンと進路をちゃんと話し合ったのに対して
ミサトさんは説明なしで「乗りなさい」だもんなぁ…。
(エヴァ内部が安全と言う説明もなし)
…ヤンとミサトさんの最大の違いを教えてやろう。ヤンは有能だが、ミサトさんは無能だ。エヴァで一番好きなキャラがミサトさんである俺がそう断言するのは全く遺憾だが、ミサトさんは無能だ。
— 四式戦闘機弁務官丙型 (@ki84type4) 2018年4月10日
その後、「そもそも血縁でない未成年者との同居、という設定が…」という議論になってました
Gryphon(INVISIBLE暫定的再起動 m-dojo
@gryphonjapan·
2018年4月11日【その後の報告】
(1)「Papa told Me」という神の一手を思いついて、何とか面目を保てた
(2)「ヤン ミサト」でtwitter検索したら異論も多かったので一部収録。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20180411/p2
Gryphon(INVISIBLE暫定的再起動 m-dojo)
@gryphonjapan
·
2018年4月12日【その後の報告2】
皆さんの返信をまとめたりして、ひとつの読み物としてボリュームが大きく、おもしろくなりました
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20180411/p2
言葉使い
@tennteke
·
2018年4月12日誰だか女性が「葛城ミサトの年齢になって、年下の異性と同居なんてどれだけおぞましいことか解った」みたいなことを書いている人がいましたが、バットマンとロビンもポリコレ否定されまして、ヤンとユリアンが許容されるのはヤンが草食系だからでしょうか。
Gryphon(INVISIBLE暫定的再起動 m-dojo)
@gryphonjapan
·
2018年4月12日あれはちゃんと「戦災孤児救済制度」と設定されてるから。(ここもヨシキうまい!そしてあざとい!)
にしても、
一寸面白いのは、少し前まで非血縁者の同居と性的関係への想像(邪推)は同性なら「だって同性だぜ?」のひとことで話は済んでいたが、LGBTへの抑圧が素晴らしくも減少したゆえに(続く)
(続く)同性コンビの同居も旅行も食事も「恋愛・性的関係のお二人かもね」と考えるのが<正しい>になりつつあるかなと。これはドラマ「シャーロック」や日本の旅バラエティで、男二人を店や旅館側が自主的に「カップル扱い」する場面を見てそう思った。(男女だって突き詰めれば同じだけど)
言葉使い
@tennteke
·
2018年4月12日私の連想はズレまして、某骨董屋さんが店番に女の子を雇ったら常連さんが「これかい?」と小指を立てて質問して(そーゆーことしか思わんのか)と心の中で溜息をついたとか、小説で姉が弟の前で下着姿でいたら弟に怒られたら「え?あんたと私は姉弟なのよ?」と意味が解らない時代があったなぁ、です。
Gryphon(INVISIBLE暫定的再起動 m-dojo)
@gryphonjapan
·2018年4月12日敷衍すると
相手を、或いは二人組を前に「性的な存在である(なりうる)という前提でふるまうべきか、それは敢えて『ない』という前提でふるまうのが正しいのか」という問いにできそうです。
↓
LGBTの人には、更衣室や銭湯でどう配慮すればいいのか(「弟の夫」より) -
2023年追記
「葬送のフリーレン」人気を考察するまとめ内に「強いがちょっと抜けてる師匠と、あまり遠慮が無い弟子のバディもの」というジャンル分けが出てきて、なるほどそれはジャンルだと膝をうつ。
togetter.com