「Papa told me」が5/11までの期間限定で10巻無料です。父子家庭の知世(ちせ)と小説家のパパのお話で、知世のキュートさや作品全体のオシャレさもいいのですが、90年代前後の女性と社会(労働)の話がすごく濃厚でそういう意味でも古びない迫力がある……。 #今日の推し本https://t.co/5nUXUh5HR5
— 青柳美帆子 (@ao8l22) May 4, 2021
知世のパパの造形はある意味女性の夢的な、「モテるけど性欲をもたず娘だけに集中してくれるお父さん」であり、かつ知世は「大人びているけどたまに子どもらしく感情を爆発させる人形のような美少女」で、この空気にどっぷりハマりきることはもうできない。子どものころに読んでたら大変だったと思う…
— 青柳美帆子 (@ao8l22) 2021年5月4日
※2021年5月11日までの期間限定無料お試し版です。2021年5月12日以降はご利用できなくなります。【ココハナ最新号配信! つい一緒にいたくなる…世話好き男子特集】知世のパパは小説を書いてます。ママは夜空の星になりました。知世とパパは2人暮らしですが、いつも明るく生きています。自由で創造的な父子家庭をめざして、ドジったりするけど。小学生のちせちゃんが大人を相手にけなげに奮戦する、大好評シリーズ!!
へえ、と印象に残るのは、この作品が関川夏央の「知識的大衆諸君、これもマンガだ」にて紹介されていたからだ。
初出は1980年代後半の論壇誌「諸君!」、当時、そういうお堅い雑誌に、ストーリー漫画を紹介するコラムが載るということ自体が画期的な型破りだったのだ。
いま、入手できるかねえ…?
解説文では、まず「蛇蝎のごとく憎む」「マンガを読むのが恥だ、頽廃だ」という相手を想定して呼び掛けてるんだから、そういう時代だね。
「男の星座」をはじめ知らない作品を読むきっかけにもなり、大いに学恩のある一冊だ。
- 作者:関川 夏央
- 発売日: 1996/04/01
- メディア: 文庫
マンガを蛇蝎のごとく憎むあなたにも、溺愛するあなたにも必読の書。マンガを読むのが恥だ、頽廃だといった紋切型の議論はやめにしよう。いまや日本のマンガが、世界に誇れる表現手段であることは確かなのだから。「ちびまる子ちゃん」から「沈黙の艦隊」までを縦横に論じ、現代日本マンガの可能性を探る。
おそらく、この本で紹介した中で、いまも作品が続いているのは、みなもと太郎「風雲児たち」と、時々いまでも読切が載るらしいこの「Papa told me」だけっす。
紹介を雑誌で読んだ時代以来「へえ、そんなのがあるんだ。どんな作品なのかね」と思い続けて30年以上経った(笑)。この機会に時間があれば読もうかね…
そして自分がこういう一覧を作った時、読んでいない作品なのに、筆頭に挙げたのがこの作品だった(笑)
有能なのに実生活や些事は怠惰で「しっかり者の目下に管理され、それが可愛げになっている」キャラクターを考える【創作系譜論】
また「紙屋研究所」ブログ移転前の旧館には、この作品と「よつばと!」を対比させた記事がある。
…「ほのぼのさ」のうらには、ヲタクが秘めた大いなる野望が隠れている。
出退勤に拘束されない自由業であり、わずらわしい家族や妻との関係は存在せず、気のあう同性の仲間と、子育ての現実的苦労をいっさい感じさせない娘との関係だけが存在する。『Papa told me』の娘・的場ちせが大人社会の虚妄を見抜く「王様は裸だ」進言役だったのにたいして、よつばは日常の退屈やあるいは日常の構造の堅牢さを粉々に破砕してしまう役割を果たしている。娘は、たえず日常を打ち砕いて、どきどきするような事件をおこしてくれる。帯の「いつでもきょうがいちばん楽しい日」というコピーは秀逸だ。