今週末に、にわかに議論が沸騰してしまい、帰省中だった小生は乗り切れなかった「カツカレー談義」。
グーグル検索とはてなダイアリーの検索で適当に
http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp3-20120928-1024232.html
http://www.j-cast.com/2012/09/27147982.html
http://www.j-cast.com/2012/10/01148462.html
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11366833837.html
http://togetter.com/li/380407
http://d.hatena.ne.jp/washburn1975/20120928
メディア論として一寸面白いのは「自民党新総裁・元首相」という”強者、権力者”でありつつ「難病指定患者」という”弱者”でもあった場合、「権力批判」「差別」という文脈に「ねじれ現象」が起きることによるもので・・・(これは安倍氏が初めてというわけではないが)、だから「ワイドショーのコメントをBPOに持ち込む!」なんていう話は、非常に興味深い議論になるので、いっそのこと実現してほしい。
さて、そんな潰瘍性大腸炎の話や、値段の比較の話でもりあがっていた
安倍晋三氏が総裁選直前にたべたカツカレーの話。(その他の候補も食したそうだが)
おれは、このニュースに、本質的なこの政治家たちの危険性を見た!!!!!!!!
「ユリアン、私はいささか歴史を学んだ・・・。過去の例が示しているのは、巨大な力にすべてを集中させ、委ねたい、という民衆の側からの声が、独裁者を生むということだ。独裁者はその声によって生まれる反応にすぎない。」
「そうなんですか」
「だから、カレーのことを考えてごらん。カレーはもともと、豚コマ肉が入っているよね」
「うちは牛スネ肉でした」
「あ・・・そうなの? うん、うちは豚コマか、鳥胸肉だったんだけどね・・・それはともかく、そういう肉もひとつの具として存在していたが、同時に、同じ立場で多くの野菜が煮込まれていた。玉ねぎ、ジャガイモ、にんじん、きのこ、ピーマン、もやし・・・」
「もやし入れるんですか」
「ふつう入れない?」
「水っぽくなるし、貧乏くさいのでうちは入れません」
「・・・・そう?でもお安いしね・・・・栄養もあるので、ここは入れることにしよう」
「そうですか」
「ユリアン、ここからが重要なんだよ。カレーの具の中の肉は、まがりなりにも民意を代表している。野菜と平等に煮込まれて、加熱されて、コクをルーに放出しつつ、他のうまみも吸収できる。民主政治において、平等な選挙や自由なジャーナリズムこそが重要であり、腐敗という問題はそれほど重要じゃないのと同じなんだ」
「カレーの場合、材料の腐敗は重要ですけどね」
「・・・そうだね。それはともかくだユリアン、この民主主義の原則に、カツカレーは根本から反しているんだよ。カツカレーといっても、カツ丼とはちがってカツを煮込むような例はボタン戦争といわれた一時期を除いて存在しない。長時間、皆と一緒に煮込まれた野菜も、そして豚コマも無視され・・・外部からやってきたカツが専制君主として、メインの位置を占め、そこにすべてが無条件で委ねられる。・・・ずいぶんとルドルフ的な料理じゃないか」
「まあ、そうですね」
「しかも、カツカレーだけじゃなく、カツ丼も同じだが・・・上に乗せたカツが、下のご飯を直接支配するよね。つまり人は上にカツがあると、無条件で下のご飯を垂直に切って、下のご飯を上のカツと一緒に一口で食べてしまう。つまり、垂直にご飯が減っていき、5回か6回か・・・カツの切れ目と同じ数で食べ終わってしまうんだ」
「それ、閣下だけじゃないですか?」
「そんなことない!!!統計によると7割の人がこの『立て食い』によって早く食べ終わってしまう。会食のときとか、こっちが早く食べ終わって間が持たないことといったら」
「そうですか」
「さらにいうと、そのカツが本当に実力があるならまだ幸せだろう。ところが得てして、カツはハムより薄かったりする。そして衣を・・・あれどうやって作るんだろうな、肉の二倍に面積を広げて揚げるの。意地でも肉は大きくしないという、あの技術力はある意味たいしたもんだよ。そういう業者が、学食弁当を一手に引き受けているんだ」
「ゾメヤーの連中ですね。めちゃくちゃ狭い範囲でしかこのネタ伝わりませんが、というか私的すぎるネタですね。それにあそこ、別にカツカレーじゃなかったですよ」
「うるさいな。とにかくユリアン、そういうことで民主主義とカツカレーは根本的に相容れない存在なんだよ。それを決戦の日に食べようという連中の思想もしれようというものさ」
「わかりました、提督。でも、それではどうすればよかったんでしょう」
「簡単なことさ、どんな王侯貴族も共和国の平等な一市民にまさらないように、カツカレーの肉も細かく切って、一緒にカレーの具になればよかったのさ。あれだけ厚みがあるなら、角切りでいいな。ごろごろと、存在感のあるぶた肉。これがカレーの中に加わるというのは、カツが専制君主のように上に乗るよりは、ちょっと嬉しい光景じゃないだろうか?そう思わないかい、ユリアン。」
「うちは牛肉です」
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まあ、この種の強引な「食べ物見立て」は、日本の活字界にはこれさえあれば十分なのだが。
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追記
この話が「安倍晋三と病気」からの関連テーマだとすると、
今、この記事も参考になる。
自分がhttp://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120914/p3で書いた「医者ブロガーにこの話を書いて欲しい!」という要望にも答えてくれている一本だ。