ひさびさにサボっていた、新聞書評欄のパソコン保存をやっていたら、こういうのを見つけた。
単体としての書評としても面白いのだが、この当時は報道されなかった「五百旗頭氏の防衛大学長就任」という面から再読すると非常に面白い。
◇五百旗頭(いおきべ)真・評
◇『戦後日本の防衛政策−−「吉田路線」をめぐる政治・外交・軍事』 (慶応義塾大学出版会・5040円)
◇「軽軍備」という文明的自己決定
戦後日本の憲法について、危機をしのぐための対外条約のようなものと、吉田茂が形容したことがあった。たとえ難しい局面にあって存立を図るための緊急措置として行われたとしても、もしそれが危機をこえて、一〇年、二〇年続いたとしたら、どうであろうか。ある時代を特徴づけるものとして歴史的位置を与えられるであろう。たとえば「ワイマール憲法の時代」とか「大正デモクラシー期」などのように。もしそれが五〇年、六〇年続いたとしたら、どうであろうか。立派に持続的な制度であり、国のかたちであり、文明のあり方であるとすらいえるであろう。われわれ戦後日本も、その都度あたふたと対応と手当を連ねつつ走って来たようでありながら、いつしかひとつの文明を築いていたのかもしれない。本書を、防衛政策の面から文明としての戦後日本を切り出す試みと読むことも可能であろう。 ・・・ (後略)
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