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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

中国にかんしていろいろと書く

「最近の上村幸治」まとめて

本当は、毎週報告(最近、2Pの隔週連載から1Pの毎週連載に)したかったのだが、怠慢だったり時々書店から無くなっていたりして。
今、手元にあるのは2/12号だが、これは下に関連してくるのであとで。
その後の上村幸治コラムで、もっと賛否含め議論があってもいいものが・・・
ああ、いいや取りあえず上村幸治のコラムは毎週掲載になったよ、ということだけ書いといて単独エントリにしとく。

中国の「言論の自由?不自由?」その1

上の2/12号では「造反する中国知識人−日中で歴史共同研究は可能か」と上村氏は書いた
最初の北京赴任のとき、蔵書の中で100冊ほどが税関に押収されたそうだ。
その目録がふるっていて、まず本人の著作がある。
「書いた本人は中国のビザを取れたのに、本はなぜ許可されないのか。」

さらに笑えるのは
「そもそも不思議なのは押収された本の中に『訒小平文選』が入っていたことである。どうして中国共産党自身が出版したこの本が『許可されていない』のか(略)税関の審査員は、字もろくに読めないのか・・・」



「言論や学問の自由が無い国というのは、ここまでうす汚くなってしまうのだろうか。日本がいま、この国に対して歴史を共同研究しようと呼びかけている。本気で言っているとしたらすごい。日本の資料をどうやって中国に持ち込むのか」


ゼーリックが「日米中の歴史共同研究」を呼びかけ、中国が「北東アジアの歴史には特殊性がある」と断った一件(田岡元帥が「中国が日本を追い詰めたくなかった」と分析したあの話)に関しては

「中国外務省の孔泉報道局長が、例によって意味不明の発言」
「いったい何が特殊なのか、いつものように彼らは明らかにしない。『訒小平文選』を押収するような中国共産党の『特殊性』なら理解できるけど」

と切り捨てる。

しかしこれじゃあ、上村氏が元新聞記者と聞いて「産経新聞?」と誤解されかねん(笑)。
最後に、氏はこう書く。

「中国の記者にだって、職業人としてのプライドはある。昨年だけでも、『新京報』『中国青年報』『南方都市報』の記者、編集幹部が処分を受けたり、更迭されている。・・・・当局に批判的な意見を・・『経済観察報』では言論統制に批判的な記者が集団辞職したという。中国にはなんとも素晴らしい記者がいるではないか。
歴史の共同研究を進めるに際しては、中国にも本当は良心的な知識人がいることを忘れるべきではないと思う。」

言論の自由」その2.氷点問題

その言論の自由で、中国誌「氷点」(ちょっと字が違うが、ご容赦を)の問題がクローズアップされている。これも3週前か2週前に田岡俊次氏が「愛川欽也パックイン・ジャーナル」で話していたんだが・・・・

「発禁だ、弾圧だ、抗議声明だというのは、ここまで中国が自由になった、という証だ。言論を完全に抑圧していれば、そもそも発禁雑誌なんかでないんだから」(大意)


で、私は今回、この田岡氏の発言にけっこう同意している。
やっぱり人間、問答無用で殺されるとなれば良心に基づき行動することはしにくいし、言論人の抗議声明だって、だれかの目に触れることを期待できなければ書けないだろう(これは物理的に、ネットという手段が生まれたことも大きい)。
もちろんそれでも弾圧を受けるということはしんどいもので、勇気と正義感がなければ「氷点」のような英雄的行為はできないものだし、それを、当局がかくのごとく圧殺するのはおろかしい。
http://www.sankei.co.jp/news/060302/kok028.htm

 【北京=野口東秀】中国のメディアを統括、管理する共産党中央宣伝部から停刊処分を受けていた中国青年報の付属紙「氷点週刊」が1日、1カ月余ぶりに復刊した。同紙は宣伝部の要求に従い、停刊処分の理由となった歴史論文を全面批判、党の正統的歴史観に基づいた教育の重要性を強調した研究者の論文を一面全面に掲載した。「氷点」の独自色が消え、当局の指導下で復刊が認められたことが一目瞭然(りょうぜん)の紙面となった・・・

それでも北朝鮮や、前王朝である「毛沢東朝」と比べたら、自由に大きく息が出来る社会になっていることは事実だと思う。「氷点」は逆に、氷が解け始める温度を示した、ともいえる。

ただし、田岡元帥が舌たらずだと思うのは、そこでこそさらに自由社会は「言論弾圧けしからん!」と批判をヒートアップさせるべきだということだ。なぜなら、強権支配と言論統制が溶け掛かった社会にこそ、批判がもっとも効果を生むのだから。まったく固い支配では、批判も減殺される。
それは役割分担であって、今こそ逆に日本の中からも「氷点弾圧はひどい、中国はひどい独裁国家だ」という議論が高まることが効果を発揮する、と思う。

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